栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

胃腸炎に五苓散。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

腸炎が流行ってます。なかなか減りません。今日も何人もの方に、口渇の有無を聞いて、五苓散坐薬を入れて、帰って何度もまた嘔吐しだしたときのためのナウゼリン坐薬を処方し(五苓散坐薬は自家調剤なので処方が出来ません)、経口補水療法(お茶や白湯ではなくOS1とか塩分と糖分が入ったものをちょびっとずつ飲むこと)の説明をしています。

 

この度の流行り腸炎は口渇を保ったまま嘔吐(嘔吐しながらも飲みたがる状態)が続くことが多いようで、五苓散はよく効いているようです。今のところ五苓散坐薬を入れて帰った患者さんで、嘔吐が続き再診された方やナウゼリンが必要だったという方は聞いてる範囲でおられません。

 

家族全員に拡がってダウンしているご家庭も多いようで困りますね。潜伏期は1-3日くらいなので、家族に胃腸炎が出た場合、すかさず五苓散内服を始めておいて(市販薬ででも)、予防か軽症化させるという手も良いのではと思います。

ワクチンの接種間隔にご注意を!

おはようございます。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

報道でも今年のインフルエンザ流行がまもなくということを言われ始めてますが、当院でも連日多くのインフルワクチン接種をしています。中にはいつも行くかかりつけ小児科で締め切られてしまい、初めて当院を受診されて接種される方もしばしばおられます。そこで気を付けていただきたいのは接種間隔です。現在の日本では、ワクチン接種後は一定期間(生ワクチンは4週、不活化ワクチンは1週)を空けないといけません。当院かかりつけでずっとうちで接種されている方ならカルテで気付きますが、他院から来られる新患の方は気を使います。問診票に1ヶ月以内の接種歴を聞く欄にちゃんと書いててくれてれば良いですが、あまり読まずに「いいえ」に◯する人もいるでしょう。

 

現在までのところ、うちでは開院以来そういった誤接種は一例もありませんが、直前に気付いたことは何回かあります。また、他の小児科で生ワクチンの10日後くらいにインフルワクチンを接種されてる方を最近見かけました。実際に世界の多くの国にはこんな決まりはなく、翌日に別のワクチン接種したって効果も副作用リスクも変わらないんですけど(同時接種が良いことになってるんだから当たり前なんですけどね)。薬品の添付文書に正式に記載があるので、それから外れた使用で副作用が発生した時には救済制度(補償)が受けられなくなる可能性があるのです。

 

前回接種からの間隔はワクチンの種類(生or不活化)により違いますが、4週空いてればまず大丈夫です。4週以内なら問診票に忘れず記載すること、心配なら接種する医療機関に自分から確認すること。特に普段ワクチン接種をあまりやってない小児科以外の医院で子どもの接種をされるときは十分注意しましょう。

ブログを通して伝えたいことは

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。


今までで一番間隔が空いてしまったのではないでしょうか、久しぶりの更新になります。体調を崩してしまったのと、ここのところ外来がすごく忙しくなって、なかなか書けませんでした。

 

このブログがもっとプライベートの出来事を書くものだったり(以前はそういう記事も時々ありましたが)、匿名だったらもっと気軽に書けるのでしょうけど、私が何を食べたとか何処へ出かけたとか誰も興味ないでしょうし、本名で患者さん方に少しでも参考になることを書こうとするとそれなりの時間がかかります。一つの記事に最低でも一時間はかかるし、それ以上かかって書いて、結局、不適切と判断してボツにすることもしばしばです。

 

とはいえ、エビデンスにとらわれ過ぎると私個人の意見では無くなっていくし(単なるウェブ教科書になってしまう)、裏どりも何もせず書くととんでもない間違いを書きそうになるので(実は過去にチラチラあった)、その辺はバランスをとりながら。

 

ブログを通して、私のこだわりや考え方や性格が伝わって、受診するかの判断材料としてもらえれば良いなと思っております。

咳を減らすには空気の加温加湿の両方が重要です!

おはようございます。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

咳というのは本来気道に貯まった分泌物(痰)を押し出すためにするもので、気管支炎や喘息の時にはその痰が増えたり気道が狭くなることで、咳が増えて、逆にその咳で身体がしんどくなるわけです。治療はいかに咳の原因になってる痰を柔らかく少なくするか、狭くなってる気道を拡げるかということになります。前者の痰を柔らかくすることについて出来るだけ吸気の湿度を上げて水分を供給することが重要になります。前置きが長くなりましたが、今回はこの吸気の加湿について。

 

中学校の理科の話になりますが、一定の空気に含むことが出来る水分量(飽和水蒸気量)というのは決まっていて、そのギリギリまで水分を含んでいれば湿度100%ということになります。その飽和水蒸気量は気温が高くなると上がっていきます。wikipediaによると10℃で9g/㎥、20℃で17g/㎥と倍近く違うので、10℃で湿度100%でも20℃に気温が上がると湿度は50%まで下がってしまうのです。

 

つまり、どれだけ外が雨で湿度の高い日でも、寒くてエアコンで空気を温めた時点で乾燥した空気になっちゃうのです。では、あまり暖房を使わずにコタツに首まで潜って室温を上げなければ良いかというとそうでもありません。人間の身体は37℃あるので呼吸で体内に入った空気は37℃に向かって温められます。ですから、湿度が高くても冷たい空気を吸うとその温度差で余計に体内で乾燥した空気になってしまいます。

 

というわけで、寒い時期の咳の治療は空気の加温加湿が重要で、そのどちらか欠けても気道内は乾燥して痰が硬くなって咳がひどくなりますよっていう話でした。部屋は暖房だけでなく加湿器を、外ではなるべくマスクをして吸気を温めるのをお勧めします。

発達障害のグレーゾーンと言われてる方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

発達障害の診断に関してです。一昔前は発達障害には早期診断が大切と言われていました。当時から違和感を感じていましたが、やはり最近はあまり言われなくなりましたね。誰かが早期診断→早期絶望なんて言ってましたが、ほんとそんな感じになっていました。このへんの話は1年前の記事を参照ください。

早期診断したってガンみたいに完治するものではありません - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

 

で、最近よく聞くのは「グレーゾーン」って言葉。発達障害と断言はしたくないけど(しかもよくわからないにもかかわらず)、「あなたの子はおかしいですよ」と保護者に伝えたいときの教育関係の方の便利な用語になっているような。それで病院行って診断してもらってこいと、出来れば大人しくさせる薬もらってこいと。

 

診断については我々の頭の中では脳みそフル回転で考えていますよ、この子は何でこういうことしちゃうのか?出来ないのか?それで、出来るようにするには周囲はどうすれば良いのかを考えるのに診断はやはり重要なのです。診断っても単に自閉症かどうか、ADHDかどうかなんて単純なものではないです。自閉症の特徴の中でもこだわりが強いタイプなのか、コミュニケーションに不安が強いのか、多動性が合併しているのか不適切な環境からの二次障害なのか、抑うつ傾向もあるかとか。そうやって保護者や本人の話を聞きながらぐるぐる考えて、まずじゃあその問題行動にはこう対応してみてはどうでしょう、と提案するのです。

 

今まで発達外来初診の患者さんには、一から疾患概念から説明して診断を告げていたのですが、最近控えるようにしています。一番はやはり内容が難しすぎて短時間では理解してもらえないのと、上記のように単純に自閉症スペクトラム(以下ASDと略します)といっても色んなタイプがいるので、あるASDの子に上手くいった対応が別のASDの子にも上手くいくとは限らないのです。上述したような私の中でぐるぐる考えていることを説明しても良いのですが、余計に難しくなるし、そもそも私の分析が正しいとは限らないのです(後から修正が必要なこともしばしば)。

 

でも、それだと「グレーゾーン」なんてこと言われてきた保護者は納得されないかもしれませんね、今日こそは白黒はっきりすると思って来られた方もいるでしょう。まず「黒」などという診断は、カナー型自閉症と呼ばれていたような全く言葉が出ず、乳児健診の度にパニックになっているような子ならともかく、かろうじてでも通常学級に就学している子に対しては言えませんよ。「白」にいたってはASD要素もADHD要素も全く無い人間なんてこの世の中にいませんよ(過去記事参照)。

自閉性を少しでも持っていれば発達障害なら、世の中み~んな発達障害です。 - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

「グレー」なんて言葉を使うのが許されるなら、あなたのクラスの子全員グレーです。そして黒に近いグレーでも、1年後に本人の成長や担任が変わったり良い友人が出来たり、夢中になれる趣味が出来たりなんかで、白に近いグレーに変わっていくこともあります。

 

大切なのは、現在、黒に近いグレーで困っていても、白に近付けて困りごとの少ない生活に変えていくには何をどうすれば良いかを、じっくり子どもの言動を観察して考えることです。保護者だけでなく、その子を取り巻くすべての大人が。白黒(診断)つけたところで急に問題が解決するなんてことはありません。

 

そして、もう一つ言いたいことは、どんなに発達障害の名医でも、子どもを一目見て、一度保護者の話を聞いたくらいで、その子のすべてが分かることなんてありません。子どものことを理解するという点で、毎日接している家族や学校の先生に我々がかなうわけがないのです。我々が出来ることは医学知識や他の患者さんを診た経験から解決の手がかりを少しばかり提供できるくらいでしょうか。 

11月からネット予約受付開始時間が変わります。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

11月1日から午前一般外来のインターネットによる予約(アイチケットによる順番取り)の受付開始時間を9:00から8:45に変更いたします。

 

今まではネット予約がどうしても難しい方がおられることに配慮して、8:45~9:00に来院されれば9:00以降のネット予約に先んじて順番が取れるようにしたのですが、最近では混雑する日は9時のネット予約開始時点で順番がすでにかなり進んでしまっていることがあったり、逆に空いている日はネット予約してすぐに順番が回ってくるも、すぐには来院出来ず混乱が生じることが増えてきたからです。これではインターネットで予約をしていただく患者さんに不利な状況が多くなってしまいます。熟考した上で、直接朝に来院される方にもネット予約してから来院される方にも著しく不利にならないように、8:45にネット予約開始としました。

 

8:45にすでにクリニック入口に並ばれている方にはネット予約開始前に順番を先にお取りしますので、引き続き直接来院を希望される方は8:45に来院いただければ今まで通り早めの順番をお取りすることが出来ます。

 

なお、17時からの午後診療のネット予約受付開始は今まで通り11:45です。

 

変更でご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。

熱性けいれんのある方はインフルエンザワクチンを接種しましょう!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。今日3回目の更新です。

 

インフルエンザワクチンについての考えを書かせていただきます。まず、熱性けいれん(てんかん含む)のある方は接種した方が良いです。インフルエンザの熱は非常にけいれんを誘発しやすいです。なぜでしょうね?脳への作用が強いウイルスのでしょうね。熱せん妄も脳症も多いですからね。とにかく他のウイルスの熱に比べて圧倒的にけいれんしやすいです。幼稚園まで熱のたびにけいれんしてたけど小学校入ってからは治ったわ~という小学校高学年の子がいきなりけいれんしたりします。また、喘息の方も接種をお勧めします。喘息がベースにあるとインフルエンザの呼吸器症状が重症化しやすいのは有名な話です。

 

1歳未満(6か月以降)の乳児には効果が少ないとのことで接種を勧めていない医療機関もあるようですが、私は基本的には勧めています。効果が少ないといっても1歳未満で副作用が出やすいというわけでもないし、やはり脳症が1歳前後で多いですからね。

 

当院ではネットでの予約枠はもうほとんど埋まってしまってるようですが、当院定期受診中の方やかかりつけの患者さんで希望される方は、極力対応しますので直接医院までお問い合わせください。