栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

予防接種外来枠はどうあるべきか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近受診いただいた方はご存知と思いますが、現在診療時間についてアンケートを行っています。ひょっとしたら診療時間を要望を参考に変更するかもしれません。

 

大きな焦点の一つは午後の予防接種専用時間帯です。現在は基本的に予防接種のみの時間帯として、感染症などの一般外来の受診はご遠慮いただいています。そして出来るだけ予防接種はこの午後の時間に、どうしても学校などで都合がつかない方のみ夜診や土曜の一般外来の中で接種しています。

 

こういうふうにした理由は、一つは一般外来の合間に予防接種が混在するより集約した方が効率が良く、スタッフのミスが生じる可能性も低いと考えたこと、 もう一つは感染の問題です。

 

現在一般外来の時間帯でも、感染症の患者さんと、湿疹や便秘などの非感染患者さんとは待合室、診察室ともに分けています。しかし、それでも駐車場で接触することもあるでしょうし、感染患者さんがそうとわからず非感染待合に入っていたこともありました。蕁麻疹や湿疹の悪化と思って受診された方が実はりんご病や溶連菌感染だったりと。現在は出来るだけスタッフの予診段階で気が付けるようにしていますが、いくら待合を分けても感染リスクをゼロ には出来ません。

 

予防接種に来て別の病気をもらって帰るほどバカバカしいことはないですよね。少しでもそういうリスクを減らすために、場所だけでなく時間帯での隔離をしたくて午後を予防接種専用枠とした次第です。なお、予防接種に来られた方も時々患者さん自身や保護者が風邪ぎみという方がいて、もう一つの別の待合室で待っていただくようにしています。

 

一方で幼稚園帰りなどに受診出来るように午後にも一般外来を希望される方もおられます。基本的に求められるニーズに応えて行こうというスタンスなので、アンケート結果によっては見直すかもしれません。ご意見があればメッセージをいただければ幸いです。

春の集団生活開始前に麻疹風疹、水痘、おたふく、B型肝炎のワクチンを必ず接種しましょう

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

もう1月も終わり年度末に近付いて来ましたね。4月から小学校、幼稚園、保育園などの集団生活が始まる予定の子たちも多いのではないでしょうか。ランドセルなどの準備も必要ですが、集団生活でもらう感染症ワクチンの確認も忘れずにしておきましょう。

 

つい半年前に騒ぎになった麻疹は、みなさんほとんど忘れかけてるかもしれません。天災と同じで忘れた頃に感染症はやってきます。その時になって慌ててワクチン接種しても効果が出るまで数週はかかりますし、これまでに一回のみの接種しかしてないと効果は不十分となります。麻疹(麻疹風疹混合)ワクチンは未だに出荷制限はかかっていますが、以前ほどは入手困難ではなくなっています。今のうちに接種しておきましょう。

 

また、水痘やおたふくかぜもコンスタントに小さい流行は見られています。水痘は治療薬があるし、ほとんどが1、2週もすれば治りますが、水痘では水疱跡が顔などに消えずに残ることもあるし、脳炎や脳梗塞を合併することもあります。おたふくでの難聴は今まで考えられていたよりも多いと言われています。この二つのワクチンも2回接種が主流です。受けた記憶がある方も必ず母子手帳で確認しておきましょう。

 

最後にB型肝炎ですが、これは唾液や涙などの接触が多いと考えられる年少児は特にですが、集団生活で感染リスクが高くなります。このワクチンは半年かけて3回接種で終了するので、実はもう4月には間に合いませんが、しないよりマシです。定期接種に該当しなくても必ず接種しましょう。

 

まとめます。麻疹風疹、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎の4種のワクチンを就学、就園、入所の前に必ず接種しておきましょう。年度末ギリギリに打っても効果が出るのに時間がかかるので間に合いませんからね!出来るだけ早くに!

 

発達障害の応急処置やトリアージが出来る小児科医が増えれば良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

以下の記事、元ネタも目を通しました。発達障害者支援法が出来て10年たって、実態はどうなんってるかという報告ですね。ざっくりいうと、教育側には見逃すなよ、ちゃんと引き継ぎしろよって話。我々医療側には、診れる医者増やして、もっと早く診てやれよって話ですかね。

 

教育側(乳幼児健診も含めて)の見逃すなってのは実際なかなか難しいと思います。いろんな病気もそうですが、明らかになって後から振り返るとおかしかったよなってのがあるけど、現実にそれを漏れなく見つけるのは相当難しい。引き継ぎ出来てないってのは、我々もたまに見かけます。これは怒られてもしょうがない怠慢です。すごく大変だったけど頑張って何とか落ち着かせた事例で、次の学年や進学先に全く知らされてなくて、全く配慮がされなくなって悪化したときは怒りを覚えます。医療者も保護者も、教育側で個別支援計画が作られているかどうかの確認は必須です。

 

医療側の専門的に診る外来を増やせってのも無理があります。しっかり診ようとすると、初診で1ケースに1時間以上かかることも多いし、よほど落ち着いてるのでなければ再診でも数十分はかかります。発達障害に該当する子が全体の6%いて、実際にはそうでないけど疑われて受診する子も含めたら(さらにドタキャンする患者まで含めたら)、どれだけ外来枠を増やしてもパンクしますよ。

 

でも、実際に外来やってみると、すぐには細かい診断も投薬も必要ない子もいるし、とても発達障害とはいえない子もいます。そういう場合でも数か月待ちで受診されてるし、保護者の不安もあるので、時間かけて話をするんですが。反対にこれはもっと早く診てあげないといけなかった、かなりこじれちゃってる事例もあります。

 

私が考えるのは、専門的に診断まで下したり薬を出すのは出来ないけど(一般小児科医にとって精神科で扱う薬を出すのって心理的にハードル高いんです)、とりあえず今の状況ならこうしとけば良いよとか、逆に急いで専門医に診てもらった方が良いよとか、応急処置というかトリアージのようなことが出来る一般小児科医を増やすのが現実的な解決策と思います。誰がやるって?少なくとも校医をされてる先生は対応出来るようにすべきでしょう。当院でも発達外来としての初診は止めてますが、簡単に相談に答えたりはしてます(数分で終われるくらいですけど)。

 

今頃の小児科クリニックって「子育て支援」とか掲げてるところも多いですよね。発達の問題は子育ての問題なのだから、そういうところには堂々と受診して相談されても良いんじゃないでしょうか(ただし土曜とか夜診とか忙しい時間帯は避けましょう)。

 

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カサカサが治らないけどワクチンデビューの時にでも相談しようと思ってるなら、そこまで待たずに早めに受診した方が良いですよ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

クリーム塗ってるんですけどなかなかカサカサが治らないんですって患者さん。前回の記事では進んでしまった乾燥肌で保湿剤を塗る回数が足りない場合を書きました。もう一つはすでに乾燥だけではなく湿疹になってるケースがあります。特に1-2ヶ月の赤ちゃんでお母さんは湿疹という認識がないことが多くて、湿疹になってますよと言うと驚かれることもあります。顔、胸腹、肘の内側、手首、膝裏、足首など、乾燥肌の中に強めの発赤を伴ってる状態は湿疹を伴ってることが多いです。こうなると保湿剤だけでは治りません。躊躇せず にステロイド剤を使って一度ささっと治してしまいましょう。下手に保湿剤だけで粘ると皮膚はますます壊れて行きます。一度良い状態に戻してから保湿でキープすることを目指す方が上手く行きます。

 

こういう話のやりとりが2ヶ月のワクチンデビュー時にとても多いです。あんまりひどい時はステロイド剤を処方して1週後くらいに再診いただき、治癒の程度を確認させてもらって、そのまま定期受診になることもあります。まあワクチンデビュー時でも良いんですが、早く治療に入る方が早くきれいになるし食物アレルギーの発症予防にもなるので、しつこいカサカサで発赤が目立つ時は2ヶ月まで待たずに早めに受診して下さいね。

スキンケアは1日さぼると3日遅れる

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

「乾燥肌のスキンケア」とかけて「楽器の稽古」ととく、その心は「1日さぼると取り返すのに3日かかります」。

 

乾燥性湿疹の患者さん多いですね、診察の時に「まだ乾燥してますね、もっと保湿してくださいね」って言うと、「やってるんですけどね、すぐにガサガサになっちゃうんです」と返されるお母さんおられます。わかります、一旦乾燥肌になってしまうと保湿剤塗ってもすぐに乾燥してしまいますよね。それでもね、根気よく何度も保湿剤を使ってると、徐々に乾燥しにくい肌になっていきます。逆に保湿剤塗ってもろくに効かないとして、塗るのをさぼってるとますます乾燥しやすい肌になってしまいます。

 

私は学生時代は音楽に明け暮れていたので楽器となぞかけしましたが、スポーツでも勉強でも、他の習い事でも継続が大切なものは1日さぼると、取り返すのに倍以上かかると言いますよね。スキンケアも同じで、乾いても乾いてもめげずに保湿を続けることが大切です。いつか何もしなくても乾燥しない肌になっていくはずです。

 

追記:保湿にはワセリンパックが最強だと思います。良かったら以下のリンクの過去記事を参考ください。

とっておきの乾燥肌対策!(と思う) - 栗東よしおか小児科の院長ブログ

「脅すんじゃねえよ」という突っ込みに対して、「脅してるんじゃありません本当のことです」という返答を準備して、ヒブと肺炎球菌ワクチンの大切さを書いてみた

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

年が明けてから、それこそ水痘だとかインフルエンザだとか感染症が増えてきました。その中でも小さい子(というのは、3か月未満の乳児期早期の赤ちゃん)の発熱が多いようです。RSウイルス感染もありますが、何かわからない熱も。風邪症状があるので感染症には違いないでしょうけど。

 

一昔前、というのは10年くらい前なら3か月未満の乳児の発熱を診たら我々は大騒ぎでした。深夜だろうが何だろうが、そういう子が来たら即入院でsepsis workupと呼ばれる細菌感染の徹底的な検査と治療をするのでした。血液、尿、髄液、便など体のあらゆる部分からとれる検体で細菌を含めた検査を行い、強力な抗生剤治療をするのです。乳児期早期の赤ちゃんの細菌感染は高率に重症化するからです。特に細菌性髄膜炎は市中病院クラスでも年間数例はおられたし、これを見逃して治療が遅れると重大な脳の後遺症につながる、見逃すことは小児科医としての生命を絶たれかねない病気の代表格でした。

 

ところが、原因菌の多くを占めるヒブと肺炎球菌のワクチンが出来てから、細菌性髄膜炎は激減します。そのため、乳児期早期の赤ちゃんの発熱を診ても、以前よりは冷静に慎重に判断できるようになりました。まあ、sepsis workupは今でもやるときはやりますけど。

 

ただし(ここから重要!)、これはワクチンでヒブや肺炎球菌が減ったからではありません。今でも、保育園に通ってる汚い鼻水が続く子で細菌培養検査に出すと、ほとんどにヒブや肺炎球菌が出てきます。つまりウジャウジャいるんですよ。麻疹はワクチンでその存在そのものが減ったけど、ヒブと肺炎球菌に関してはワクチンは重症化(髄膜炎合併)を予防するだけで、ちまたの菌を減らす効果はほとんど無しです。

 

麻疹風疹ワクチンはその接種を拒否している方も、そのワクチンの恩恵に預かってますが、細菌性髄膜炎については接種したものだけが得をするのです。だから、接種歴が無い高熱の赤ちゃんには、小児科医は以前と同じように検査(sepsis workup)をためらわないことでしょう。何度も注射して血を取り、背骨の中まで針を刺し、尿道に管を突っ込んで、赤ちゃんに「ごめんね、熱でつらい中、痛い検査ばかりで。これも君のパパとママが君にワクチンをしてなかったせいだからね」と心の中でつぶやきながら。

現在地とこれから

あけましておめでとうございます。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

開院して二度目の新年を迎えることが出来ました。患者様をはじめ、周囲の医療関係者、各業者の方々にも恵まれ、ここまで来れました。感謝しかありません。

 

開院当初から自分がやりたい事をやりたいだけやるのではなく、それが求められているかを意識していました。そして、常にあらゆる事に関して質を上げていく。

 

昨年は小児在宅医療を始めました。もともと成人含めて在宅医療の経験もなく始めたので、質としてはまだまだ未熟だろうと思います。地域に小児在宅をしている医療機関がほとんどなく感謝されることも多いですが、それで勘違いすることなく求められる医療を模索し提供していきたいと思います。

 

そして、お盆と年末年始診療が出来ました。診療所が同時期に一斉に休診することは、患者さんにも勤務医にも過度な負担がかかることは明らかな問題です。ゆくゆくは日祝外来も出来ればと思ってます。ゆくゆくというのは、さしあたり信頼できる非常勤医の確保ですね。

 

上手く行ってないのは発達外来です。申し訳ないことに現在新患を制限しています。1人の外来に時間がかかるところに、直前キャンセルや当日連絡なく来院されないことが多いためです。これはうちだけでなく全国的な問題のようです。そのために需要が増えるワクチン外来を制限するのは、ワクチンも全力で推進したい私としては本意ではありません。しかし、発達外来の需要があるのも間違いなく、非常勤医の確保しだいで発達外来新患も再開していければと思っております。

 

てんかんはボチボチといったところ。日中に学校や仕事で受診しづらい方のために夜診や土曜に受診いただいています。脳波検査は土曜午後に技師さんに来ていただいて時間を確保してるので発達外来同様に直前キャンセルは極力しないようにお願いしますね。

 

以上、当院の現在地です。もっと求められる理想のクリニックに近づけて行くべく努力していきます!