栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

保護者を虐待の加害者にさせないために何が出来るか

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、事務、脳波技師ともにまだまだ募集中です。

 

最近また虐待問題が話題になっていますね。こういうときは毎回、虐待を疑わせる状況を見つけたら児童相談所に通報しましょうとか、児童相談所にもっと強制力のある権限(子どもを安全に確保するために)を持たせるべきとか、児童相談所と警察が連携するべきとか、良く言われます。虐待加害者という犯罪者になった親から子どもを守るためにということですね。

 

しかし、本当にやるべきことはもっと前の段階で親を犯罪者にさせない、虐待加害者にさせないことです。先日の事件も被害者は5歳の女の子でした、いつから虐待が始まったのかわかりませんが、おそらく少なくても1~2歳までは立派に育ててたんじゃないかと思います。なぜ虐待するようになってしまったのか?子どもが病気がちだったり発達が順調に進まなかったり、育児が上手くいかなくて深刻に悩むようになったかもしれない。子どもと関係のないところで経済的問題や家族関係などに困難を抱えていた可能性もある。親自身の身体または精神状態の乱れの可能性も。

 

つまり定期健診、もしくはそれに準ずる機能で、親子を見守り、早い段階で問題に気付いて対応することが必要です。一般的に1か月、4か月、1歳半、3歳半での健診があり、さらに地域ごとに10か月や2歳半などもしていたりします。でも、4~5歳でやっているところは少ない気がします、就学前に幼稚園など行っていれば良いかもしれませんが、義務ではないので通園していない子まできっちり把握しようとすると就学前までは地域がフォローした方が良いのではと思います。

 

診療所としては何が出来るか?現在当院では、最近看護師の人員に余裕が出来たこともあり、予防接種のときに身長体重計測を希望者に積極的にするようにしています。といっても乳児はほぼ全員希望されます。その中で、母乳や離乳食、スキンケア、便秘、出べそなど、いろんな悩みの相談があります。ほとんど看護師が、たまに必要なときは私が対応しています。実際に授乳して乳首の吸わせ方を確認したり(→これはさすがに私は出来ない)や母乳量測定することも。不安があるようなら次回ワクチンまで待たず1~2週後にフォローすることもしばしばです。

 

乳児期早期の育児を始めたころからの疑問や悩みに適切に対応することで、その後の育児を自信をもって続けることの助けになり、少しでも保護者が虐待の加害者になることを防ぐことが出来れば良いなと思っています。

経済的な事情のために乳児期から入園させないといけない家庭には、国から子育て支援として金銭的補助をする方が保育園を整備するよりも親子にとってはハッピーなのではないか

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
 
本当にお久しぶりの更新です。どうしてこんなにブログを書けない体になってしまったのでしょう。ネタは日々の診療でいくらでも浮かんでくるのですが。楽しみにしてくれている方もおられると聞いていますので、少しずつでも書いていこうと思います。ブログは停滞していても、医療事務と脳波技師は引き続き募集中なのでよろしくお願いします。
 
毎年ですが4月の後半くらいから、どうにもこうにも咳鼻が遷延する乳幼児の患者さんが増えてきます。ヒトメタニューモウイルスといったしつこいカゼウイルスが流行することも原因の一つですが、保育園に入りたてで、それまで自宅のきれいな環境にいた乳幼児がいきなり細菌とウイルスの海に放り込まれて立て続けに感染を浴びまくることが大きな要因です。一つの感染が治る前に別の感染が重なるし、咳をしていても元気なら外で自由に遊んでいます。自宅にいる時のように汚い鼻水を拭ってもらえません。保育園に行っているんだがからしょうがないし咳鼻くらい放っておけば良いと言う人もいますが、気道が過敏になり咳が延々続いたり蓄膿や中耳炎になったりと、本当に放っておくわけにもいきません。
 
抗菌薬を始めると一旦治る子もいますが、1か月もしないうちに元通りになることが多いです。そりゃそうです、抗菌薬で身体に入った菌は殺せても、登園している以上すぐにまた感染するのですから。そんなことを繰り返しながら強くなっていく子もいますが、何か月も続く子も多いです。仕方ないので長期で継続しても副作用が少ない去痰剤を長めに投与したり、自宅での鼻吸引を勧めたり、漢方薬を試したり、どうしようもなく繰り返し抗菌薬を追加したりと、あがきながら治療しています。
 
特に2歳未満の人間という生物には、免疫力的に集団生活を健康に生き抜くには無理があるのではないかと思います。お金のためではなく仕事復帰するために早くから保育園に入れる方も多いでしょうし、それは仕方ないとは思います。でも経済的な事情のために乳児期から入園させないといけない家庭には、国から子育て支援として金銭的補助をする方が、保育園を整備するよりも親子にとってはハッピーなのではないかと、いち小児科医としては思います。

朝ドラ主人公のような悲劇を繰り返さないために、おたふくかぜワクチンを接種しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ワクチンねたばかりですいません。今日午前外来終わりにたまたまSNSで今朝の朝ドラでムンプス(おたふくかぜ)難聴の話が出て来たことを知りました。まだ1回も見たことなかったのですが、昼の再放送を見ました。こういう話だったとは知りませんでした。

 

ムンプス(おたふくかぜ)難聴の発症したときの様子や、症状、予後の説明までわかりやすくされていた上に、家族の嘆き悲しむ姿まで描かれていました。40年くらい前の話で、当時のおたふくかぜワクチンがどれほどメジャーだったかわかりませんが、ワクチンに関しては全く触れられてませんでした。

 

今でも年に何人もおたふくかぜの子を見かけます、感染者の数百人に1人が発症するムンプス(おたふくかぜ)難聴は過去の病気ではありません。といっても、それは日本くらいで、先進国のほとんどがこのワクチンを定期接種化していて、過去の疾患になっています。情けないことです。

 

定期接種化しない国が悪いと言ったところで、難聴になってしまったら元に戻すことは出来ません。1回5000円くらいですが(2回必要)、朝ドラのような悲劇にならないために必ずワクチン接種しましょう。初回は1歳になってすぐ、2回目は年長くらいで、2回接種が必要です。

4月からの年長さんは出来るだけ早く麻疹風疹ワクチンを接種しておきましょう。いきなりワクチン不足になったときに困らないために。

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
 
事務、看護師とも採用が決まりましたが、看護師、事務、脳波技師ともにまだ募集中です。よろしくお願いします。
 
私的な忙しさもあってめっきりブログ書かなくなってしまっていました。すいません。また頑張って少しでも子育て中のお母さん、お父さんに役立つことを書いて行きたいと思います。
 
そして、今年度ももうすぐ終わります。先月末も書きましたが年度末区切りで定期接種期間が定まっているのが麻疹風疹ワクチンと子宮頚がんワクチンですが、今回は麻疹風疹ワクチンに関してです。2回の接種が必要で、定期接種は1回目は1歳になったときから、2回目は年長さんになった4月から翌年3月の1年間での接種になります。現在年長さん(もうすぐ小学1年生)で未接種の人はあと3日しかありません!
 
麻疹は前回の騒ぎはいつでしたっけ?数年毎に国内でも流行があってそのたびにワクチンが全国的に不足して、ちょっとしたパニックになります。人生においてたった2回接種すればそれで終わるワクチンなのに毎回そんな風になるのは、流行したときには「接種しなきゃ」と焦る大人が、終息するとそのまま忘れちゃうんでしょうね、パニックが落ち着いたらすぐ接種すれば良いのに。そして数年してまた流行したらパニくるという繰り返し。1歳や年長にならないと接種出来ない子どもたちにとってはいい迷惑です。
 
風疹の方ですが、これは罹患しても本人は軽く終わるので良いのですが、妊婦さんが感染すると胎児が「先天性風疹症候群」といって生まれつき難聴や心臓奇形、白内障などいろいろな病気を抱えて生まれることがあり問題になっています。お母さんだけでなく、お母さんに感染させたお父さんや周りも含めた予防接種をしていなかった大人たちのために、罪の無い赤ちゃんが犠牲になるのです。
 
情けないことに我が国のワクチン行政は本当にお粗末で、流行が起きてワクチン需要が一時的に急増したりとか、製造メーカーが何らかの理由で作れなくなると、あっという間に不足して一本も入荷出来ない事態に陥ります。本当にビックリするくらいいきなり無くなります。2回接種出来ていない大人はもちろんのこと、この春から年長さんになる子たちは4月になったら早いとこMRワクチンは接種しておきましょう。いきなり無くなってパニックにならないために。

子ども達を「かゆみ」というストレスから守るために

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近、園医を担当している幼稚園の入園前健診が続いています。うちに赤ちゃんのワクチンの頃からよく来てくれている子たちもたくさん来られました。開院してもうすぐ3年だから、その頃赤ちゃんだった子はもう入園前なんだなあと感慨深く思っていました。

 

それにしても湿疹(アトピー)の子が多い、子どもだから外見は気にしないだろうけど、掻き傷もひどく四六時中掻いているような子ばかりでした。これだけかゆい状態が続いていたら発達にも影響するんじゃないかって思います(エビデンスは無いと思いますが)、絶対ストレスになってますもんね。全員のお母さんにそれに関して話をしていたら、永遠に健診が終わらないので、よほど酷い子以外はスルーでしたけど。

 

でも、その中でもうちによく来てくれている子たちは、みんな肌がきれいで良かった。自分がやろうとしてきた結果が思わぬところで実感できてうれしかったです。赤ちゃんの頃から湿疹自体をコントロールすることと、お母さんのスキンケアへの意識と習慣を育てることは、後に子ども達を「かゆみ」というストレスから守るために大切なことです。うちではデビューワクチンのときから必ず意識して診るようにしています。

 

かといって湿疹治療は入園年齢から始めても全く遅くありません、乳児よりちょっとだけ治りにくいかもしれませんが。でも、いつだかも書いたように小学校に入ると途端に治療しにくくなります。子どもが傷がつくほどいつもボリボリどこかを掻いてるようなら、なるべく早めに治療に連れて行ってあげて欲しいと思います。

年長さんと高1女子は急いでワクチンを!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ほとんどのワクチンの定期接種対象期間(つまり無料で受けられる期間)は年齢で区切られてるのですが、MR(麻疹風疹)ワクチン2回目と、今話題の子宮頸がんワクチンのみ学年で区切られています。MRは年長さんの1年間、子宮頸がんは小6から高1までです。つまり期限が迫っています!

 

まだ接種してない人は、MRは3月末までに接種すれば良いですが、体調不良などで受けれなくなることも考えてギリギリにならないように早めに接種しましょう。

 

子宮頸がんは半年かけて3回接種なので、これまで全く未接種の人は3回目は残念ながら自費になりますが、2月中に1回目を接種すれば、2回目まで定期接種が可能です。

 

当院ではワクチンは直接電話で予約が可能です。大急ぎで接種しましょう!

インフルエンザの治癒証明は無意味です

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ、まだまだ看護師、医療事務、脳波技師を募集中です。

 

インフルエンザ騒動を振り返って。といっても、まだ結構おられるんですが、一時の殺到ぶりは落ち着いてきました。いろいろ思う事があったので、書いてみたいと思います。

 

まず、インフルエンザの患者さんも多かったですが、そうでない患者さんも多かった。普段ならこのくらいのカゼ症状なら受診しないであろう小中学生まで、念のため検査してもらえって言われて来られてました。当院では待合室は感染と非感染で分離してますが、感染待合でそれぞれの感染症の種類ごとに来院時から分離することなど不可能ですから、念のために受診して何かのウイルスに感染して帰ることになる可能性もあります。インフルエンザもカゼのうち。軽ければ部屋でゆっくり休んでいるのが一番です。

 

ふだんめったに来られない女子中学生が来院されるので、インフルエンザでふーふー言ってるのを尻目に、子宮頸がんワクチンを勧めることが出来ました。といっても、超絶忙しかったのでちょっとだけ話して、あとは私のオリジナルの子宮頸がんワクチンを勧める資料をお渡ししたんですけど。

 

改めて迷惑だったのは登校(園)開始のための治癒証明。そこかしこで既に言われてますが本当に無意味。水痘のように皮膚の状態を治癒基準にしているならわかりますが、インフルエンザの登校停止期間は発症日(発熱日)翌日から数えて5日かつ解熱した翌日から2日(幼児は3日)以上経過していることです。ですから、患者さんの自己申告をもとに我々は日数を数えるだけです。患者さんがウソついててもわかりません。ちょっと考えれば無意味であることくらいわかりそうなものなのに。別に忙しくないときなら良いですよ、すぐに終わりますから。でも、患者さんが多すぎて定数に達したらお断りせざる得ない状況で、治癒証明依頼目的の受診のために本当に診てあげないといけない患者さんが診れなくなるし、患者さん自身も無駄な受診のためにまた別の感染をもらうことだってあるのです。

 

実際、治癒証明を受診させてもらって来させる学校(園)は少数派ですが、意外と有名私立中学とかに多いです。通ってる子どもは賢いのに、学校自体はあまり賢くないようですね。