栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

0.005%の副作用リスクを恐れて、74人に1人が罹患する子宮頸がんの予防機会を捨てますか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
現在は看護師さん、事務さんとも募集中です!よろしくお願いします!

 

子宮頸がんワクチンの話です。全部で3回接種です、高1(女子のみ)の3月末までが定期接種対象期間です。2月中に1回目を接種して、3月末に2回目を接種すれば、3回中2回は無料です(当院で接種してるサーバリックスなら)。3回目は6ヶ月後なのであきらめて自費で接種しましょう。当院では希望者には接種前に痛み止めテープを貼ってから接種しています。注射の痛みが怖い子でも大丈夫です。

 

副作用が心配ですか?回復しない重大な副作用は0.005%です(もっと低いと言う専門家もいます)。それに対して子宮頸がんは女性74人に1人が罹患します。私はいつも外来で不安がる保護者さんに、「外出すると車に轢かれるのが怖いからずっと自宅にこもってるようなもの」と説明しています。正確な確率の数値として同等かわかりませんが、まあそのくらい限りなくゼロに近い低い確率ということです。

 

どのワクチンでも言えるのですが、これだけ勧められて接種させず、これでもし自分の子どもが将来子宮頸がんになったら、その先その十字架を背負って生きていけますか?最後にもう一度言います、74人に1人が子宮頸がんになるのです。

発達障害かなと心配になったら、まずかかりつけ医に相談を

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

現在は看護師さん、事務さんとも募集中です!よろしくお願いします!

 

発達外来の初診が数ヶ月待ちなので、発達の異変に気付いてもすぐに専門医に診てもらえずに不安を募らせる親が少なくないという記事でした(下にリンクあり)。

 

かくいう私も開業前に、その数ヶ月待ちさせている発達外来をやらせてもらっていた時期がありました。その患者さんたちは、

  発達障害の疑いが強く、何らかの環境調整(支援学級とか加配とか)や投薬が必要なケース

  発達障害の可能性があるが、困ること無く楽しく過ごしているので特別今やることはないケース

  現時点でまず絶対に発達障害とはいえないケース

というふうに大きく分けられました。発達専門の外来受診の必要があるのは①のケースのみです。②や③の患者さんは、他児との比較、他人からの指摘やネット情報から不安になったとかで受診されるみたいです。うちは大学病院だったので開業医や学校や自治体などからの紹介が無ければ受診出来ないです。だから、少なくとも親が心配だってだけでは受診出来ないはずなのに。

 

私は③の絶対発達障害ではなく定型発達の範囲内であるときははっきりそう言いますし、②の発達障害の可能性があっても、簡単な対応指導のみして日々を楽しく過ごしてもらうことが一番であることを説明します。いろんな○○療法とかありますが、ほとんど眉唾だと思っているので、基本勧めていません。無料で見てくれる地域の療育を勧めるくらいです。

 

発達障害が可能性が高く、問題行動が出ている段階の初診は、出生歴、発達歴、家族歴などを含めて詳細に聴取し、本人の診察もじっくりするので軽く1時間以上かかることも多いですが、②、③のケースなら15分もかかりません。ヤフーの記事にも書かれてますが、心配になったら、いつも受診している小児科のかかりつけ医に相談されたら良いと思います。専門外来の受診が不要なケースを地域で振り分けられたら、本当に必要な患者さんが数ヶ月待ちになることはかなり減るのじゃないかと思います。

 

追記:15分もかからなくても数分では終われないことも多いので、かかりつけ医での相談も混雑している時間は避けましょう。土曜とか夜診はやめて、平日昼前とかで。

 

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今の私たちに何が出来るか(小4女児虐待死の事件をうけて)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

現在も看護師さん、事務さんとも募集中です!よろしくお願いします!

 

この小4女児虐待死事件が毎日のように報道されるのを見て、皆さんも心を痛めていると思います。私も例外ではなく、しばらくこのブログも休んでいたのですが自分の気持ちの整理もかねて少し書かせていただきます。

 

こんなひどい話があるのか、心愛ちゃんの人生は何だったのか、この子を救えない社会って何なの?、この国って何なの?。こういうとき、何が悪いのか、誰が悪いのかって考えて非難するのではなく、私はいつも今の自分に何が出来るのかを考えるようにしています。

 

本当に偶然ですが、先日医師会の先生向けに虐待に関する講演をする機会をいただいたのですが、そのときに示した図(以下に提示)があって、虐待をする親の予備軍として育児不安を抱えていることが多いというものでした。心愛、こんなに愛情に満ちた名前をつけたときの両親自身、まさか自らがこんなひどいことをするようになるとは思ってもみなかったでしょう。今回のケースはDVが主な要因だったのかもしれませんが、育児支援という形ででも、子どもが小さい頃からお母さんが密に相談できる存在があれば防げたのではないかと思います。そう、鍵は育児支援だと思っています。

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当院は今でもワクチンでの来院時に身体測定を組み込むなどして、育児相談に出来るだけ対応してはいますが、まだ足りないかもしれません。これまで以上に育児の不安や相談を吸い上げられるようにするにはどうすれば良いか考えたいと思っています。子にとっても親にとってもこんなにひどい悲劇が二度と繰り返されないように。

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スキンケアの第一歩は洗うこと

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務ともに募集中です!よろしくお願いします!

久しぶりの投稿になりすいません。ちょっとずつでも更新していこうと思います。

赤ちゃんは生まれて1~2か月くらいは皮脂も多めなのですぐには乳児湿疹になりにくかったりするのですが、1か月にもならないうちから酷く皮膚が荒れて受診される赤ちゃんもいます。その中で意外と多いのが、耳たぶの裏、首、わき、足の付け根(鼡径と言います)などの皮膚のしわの深いところに白い垢がべっとり溜まって赤くかぶれているケースです。赤ちゃんは代謝が活発なので垢汚れが溜まりやすいのと、しわの中なのでお風呂で洗い残ししやすい場所なのだろうと思います。

すでに炎症を起こして真っ赤になっているとステロイド軟膏で一旦抑える必要もありますが、もともとは垢や汚れが原因なので良く洗うようにするのが大切です。ゴシゴシこする必要はないですが、石鹸をよく泡立てて、その泡を使って洗う人の指をよくすべり込ませて洗いましょう。そして最後に泡成分が残らないように良く流しましょう。スキンケアの第一歩はまず洗顔って、どっかのCMでも言ってましたね。

乳児保健というものに力を入れていきたい

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師を随時募集中です。

当院では乳児期のワクチン接種に来られた患者さんで希望される方には接種後に体重測定をしています。主に当院の保健師が対応しています。これがけっこう好評でほとんどの方が希望されますし、やはり栄養が十分かどうかは皆さん気になるところのようです。母乳とか離乳食とかはいろんな情報があふれているから、悩むことも多いのでしょう。母乳相談も出来る保健師なので遠慮なく相談して欲しいです。

ワクチン接種の時に私に聞いてくれても良いようなことも、ちょっと聞きにくいこともあるのか計測の時にいろいろ質問されるそうです。栄養以外にも、湿疹、おむつかぶれ、出べそ、股関節が硬いと言われた、寝てる時間が長いが大丈夫か、離乳食開始前に検査をした方が良いか等々。お母さんが気にしてなくて保健師の方が気付いて指摘することもあります。程度や種類によっては改めて私が診察します。

保健、つまり「健康を保つ」という目標で、体重増加不良にしても湿疹にしてもアレルギーにしても程度が軽いうちに対応したり、発症を予防するということに力をいれてやって行きたいと最近特に思っております。もちろんワクチンも保健の一つ。やはり、病気になってから、ひどくなってからでは、治療に難渋することもあるし、本人にも家族にも負担がかかりますからね。

卵白を始めるのを遅れないようにしましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務、脳波技師とも随時募集中です。

 

最近、離乳食を進めるのが遅い方、特に卵を始めるのが遅い、もしくは卵黄しか進めてない方が多いのが気になっています。理由を聞くとアレルギーが怖いからと。これ全く反対です。鶏卵アレルギーの発症は、早く開始するほど少なくなることが研究で証明されています(以下のリンク先参照)。卵黄だけは何も始めてないよりましでしょうが、卵黄はほとんど抗原性(アレルギーを引き起こす要因)がないので発症予防という意味ではあまり意味がないのです。

離乳期早期の鶏卵摂取は鶏卵アレルギー発症を予防することを発見(成育医療センター)

 

卵白は早いと5か月から開始を勧める意見もあります、せめて6か月から離乳食を開始して時間をおかずに卵白(20分以上の固ゆでで)を開始して、1歳までに卵1/2個くらいを目標に進めていきましょう(10年以上前に出た厚生労働省の離乳食ガイドラインでは鶏卵は7-8か月から開始になっていますが、それでは少し遅過ぎなので次の改定で訂正されるとのうわさです)。なお、何も症状が無いのに離乳食開始前にアレルギー検査をするのは無意味どころか有害なので止めましょう。アレルギーの数値が高くても食べられている可能性が十分あるのに、お母さんが数値を見て怖くなり該当食品を与えられずに何年も経過している例をよく見かけます。

 

もしすでに離乳食時期にアレルギー検査をされている方は、今後の対応について具体的に詳細に医師に相談しましょう。〇を1日〇グラム食べるようにして、〇(日or週or月)間隔で増量していくのか?必要ならいつ頃に負荷試験など行うか?などと。いろんなものを食べれるようになる離乳期を大切に過ごしましょう。

風疹は検査不要、風疹単独ではなく麻疹風疹混合ワクチンを接種しましょう!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
看護師、脳波技師とも随時募集中です。

さて関東を中心に風疹が流行しているようです。風疹そのものは感染しても麻疹ほど重症化することなく、発疹は派手ですが症状の程度は軽く治ります(だから別名「三日ばしか」とも言われます)。問題はそれを妊婦さんに感染させたとき、先天性風疹症候群という眼球奇形、難聴、心奇形、脳障害などを持った赤ちゃんが生まれることがあることです。

マスコミやSNSを見ていると、抗体検査をして風疹抗体価が上がっているか確認をとか、風疹ワクチンを早めに接種をとか、言われていますが、どっちも間違っています!!!

すぐに麻疹風疹混合ワクチンを接種!、その一択です!

抗体検査して数値が高くても数年すればまた下がってくることも多いです、現実的なところ麻疹にも風疹にも直に接触する機会が少ない現代で、十分抗体値が上がっている方は少数派と思います。仮に抗体値が高くてワクチン接種して何か不都合があることはありません。わざわざ自費で抗体検査してワクチン接種するなんてお金も時間も無駄です!

そして、麻疹も同様ですが、折角混合ワクチンがあるのに単独ワクチンを接種する必要ないです。麻疹が流行してるときに麻疹風疹混合ワクチンを接種してれば風疹が流行しても慌てる必要ないし、その逆も同様です。混合ワクチンの方が少し高いですが、それぞれ別々に接種するよりはるかにお得です。もうね、麻疹も風疹も単独ワクチンなんて製造終了すれば良いのです!

というわけで、麻疹も風疹も自分のワクチン歴に不安のある方はさっさと混合ワクチンを接種しましょう。ちなみに、20歳台の若い方で親に聞いたら麻疹や風疹に感染したことあると言われたという人が時々います。その情報は怪しいです。実際、ここ20~30年の流行はいずれも散発的なので、親御さんは水痘か何かと勘違いしている可能性があります。怪しければ接種しましょう。