栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

日本語って、ほっておいても勝手に出来るようになると思っていませんか?

運動会はどんなことしたの?→忘れた~、ふつう~、びみょう~

曲がりなりにも発達外来をやらせてもらっていて、診察目的で子どもと雑談します。ネタとしてはその時期に応じて、夏休み、運動会、お正月などどうだったか聞くのですが、事実を聞いているだけなのに、上記のような答えしか返ってこないことがしばしばあります。

 

初めのころは単に心を開いてもらえてないだけかと思っていましたが、そういう子たちに発達検査(特に言語に関して)をすると、総じて幼児期(2歳くらいから就学前)の言語習得でつまづいている所見が出ることに気付きました。その時期に得るべき語彙が乏しく、表現力も無いので、単なる出来事を説明することも難しく、適当な返事で回避しているように思いました。そんな状態で、自分の気持ちや希望といった形のないものを伝えることなど出来るわけありません。

 

日本語って、ほっておいても勝手に出来るようになると思っていませんか?意味のある言葉が出始めて(1歳頃)から、社会に入っていく(幼稚園、小学校)期間の言語習得はとても重要です。私は、ご家族には、家庭でなるべく子供から園や学校であったことの話を聞いて、たくさん話しをさせるようにお勧めしています。年少ほど、内容をほとんど理解できないことも多いと思いますが、たくさんリアクションをしてあげて、もっともっと話したくなるようにしてあげて欲しいです。きっと豊かな語彙と表現力を得て、人を感動させ説得させる言葉をもった大人になると思います。