患者さんとのトラブル、つまり強い苦情を言われることは医者なら誰しも何度か経験することです。これ世間で思われる以上に医者にはダメージありますね、ほとんどの場合、悪気のないちょっとした言動や対応の不十分さなどから発展するケースなので、特に若くて真面目な医者ほど堪えます。見方によっては医者として成長するためには避けて通れない試練ともいえます。医者って比較的穏やか社会で生きてきていることが多くて、人と争うことにあまり慣れてないというのもあるのかな。
患者さん側からしても、自分たちではわからない身体の不調を診てもらってるという立場から苦情を言うのは、そうとう堪りかねた状況でしょうし、つらいことだと思います。私も学生の頃に、自分の楽器を修理してもらおうと訪ねた職人さんの対応に納得いかなかったことがありましたが、大事な楽器を適当に修理されたら嫌だったので、悔しいながらも黙って言われるがままにしてました。楽器ですらそうなのだから、子どもを診せている小児科医に対して不満を言うのは相当勇気のいることだと思います。
実際にそういう状況を見ると、明らかに医療側に非が無いケースもしばしばありますが、患者側は自身や家族の身体の不調を抱えているという、いわば弱い立場にいる前提を加味しないといけません。だから我々医療側は、どれだけこちらに分があったとしても、まともに対決してはいけないのです。むしろ、誤解であったにしろ誤解を与える対応をしていたことを、我々に気付かせてくれたことに感謝すべきかもしれません。
ただし、明らかに初めから苦情にしようとあげ足をとるつもりでいる輩がいるのも事実。そこは毅然と対応しますよ。