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栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

ピボキシル基含有抗生剤について(その①)

こんばんは。

滋賀県栗東市に4月16日開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

先日、ある学会に参加したときに聞いた話、まだ一定の数でピボキシル基含有抗生剤による低カルニチン血症(それによる低血糖や脳症)の報告があるとのこと。なんのこっちゃわかりませんよね。

 

順番に説明しますね。まずカルニチンというのは体内でいろんな働きをしている、まあビタミンみたいなものです。一つは食品や薬として取り込まれた異物を解毒して体の外に出すのを助ける作用があります。もう一つは脂肪を分解してエネルギーに変えるのを助けることもします。よくダイエット目的のサプリとして売ってますよね。

 

もしカルニチンが足りなくなったらどうなるかというと、体に入った異物を上手に解毒出来なくなります、また脂肪を分解してエネルギーを作れなくなります。体内のエネルギー産生は主に糖を消費するか、脂肪を分解するかで行われます。カルニチン不足で脂肪を分解出来なくなると、その分糖が消費されて低血糖になって痙攣を起こしたり、脳でエネルギーが作れなくなって脳症になります。

 

で、ようやくピボキシル基含有抗生剤にたどりつきますが、このタイプの抗生剤は解毒(ちゃんと言うと吸収をよくするためにくっつけられたピボキシル基に対する解毒)に多くのカルニチンを消費します。ただでさえ調子が悪く栄養(糖分)を十分摂れない状況で、そういう飢餓状態で活躍すべきカルニチンを、抗生剤に盗られてしまい、エネルギー産生が破たんして低血糖、痙攣、脳症などが発症しやすくなるのです。長期間投与が危険なのはわかってますが、投与後すぐに発症した例もあり、なりやすい体質もあると思われます。

 

私は専門柄、脳症の話はよく聞いていたので、もう何年もこの手の抗生剤は出してません。別にそれでも全然困ることありません。出来れば他の先生にも止めて欲しいですね。

 

最後に具体的な薬品名を。有名どころですが、メイアクト、フロモックス、トミロン、オラペネムです。このへんの薬の話は、後日さらに書こうと思います。