栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

同時接種が必要な理由をもう一歩深く勉強してみましょう

おはようございます。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

連日の朝から更新です。ふだんの平日は疲れちゃって日記になってしまうこの頃なので、書ける時にしっかり書こうと思いまして。昨日に引き続き、ワクチン。同時接種の必要性について。

 

どのサイトや手引きを見ても、出来るだけ早い免疫獲得が必要だから、同時接種でなるべく早く接種しましょうという文言になってると思います。私はこういうのを見ると、長い人生なんだから、1週、1ヶ月くらいの遅れなぞたいしたこと無いと思われてるんじゃないかと心配になります。

 

ワクチンはいろんな分類がありますが、目的として、①主に一生や長期間の免疫獲得(感染予防)を狙ったもの、②乳児期(0-1歳)の感染予防または軽症化を狙ったもの、に分けられます。例えば、はしか、風疹、水痘、おたふくかぜなどは成人後も含めた予防目的(①)です。だから、数年経って2回目を接種することが多いわけです。一方で、ヒブ、肺炎球菌、結核(BCG)、百日咳(四種混合の1つ)などは効果は成人までもちません。これらの感染は健康な年長児であれば軽く済むけど、乳児が感染発症するとかなり重症化します。この重症化を防ぐ目的(②)です。

 

つまり、乳児期の重症化予防目的のワクチンが同時接種を避けるために遅くなって、乳児期も終わりかける時期に打つとなると、肝心の目的の期間がすぐに終わってしまいます。そして怖いのは打つ前に感染してしまうことです。

 

それならば、生まれてすぐに打てば良いようなものですけど、それはワクチン自体の副作用とか生まれつきの免疫の病気(ワクチンによっては接種できない)の可能性なども考慮して2か月から推奨となっています。

 

同時接種を避ける方の傾向で、四種混合が遅くなってる方がおられます(ヒブ、肺炎球菌を3回打ってから四種混合を開始する)。これだと特に百日咳感染が心配です、けっこうしんどい肺炎になります(こいつも脳炎合併症があります)。百日咳は高齢者中心に罹患している方が多くいて、思われている以上に身近なウイルスです。

 

おじいちゃん、おばあちゃんと同居されている方は特に気をつけましょう。

長文失礼しました。