栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

第10回ワクチン勉強会(四種混合)

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

今日こそは四種混合ワクチンのこと書きます!四種とはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオです。このうち私が経験したことのあるのは百日咳のみです。おそらく我々世代(40代)以下の小児科医はほとんど同じだと思われます。そのくらいワクチン施策の成功例ですね。というわけで、重要性について自分の言葉では極めて書きにくいわけです。

 

一応教科書的に一通り触れておきます。ジフテリアは上気道症状から始まる細菌感染です。2000年以降は国内での報告は無いらしい。カゼとの違いはその症状がかなりひどくなることがあり、窒息するくらい喉が腫れたり、O157みたいに毒素を作り心筋炎に至り心停止となることもあったそうです。破傷風はそのへんの土壌にもいる細菌で、山や畑でケガして土で汚染されたのをきっかけに感染、かなりひどい体の硬直やけいれんが続くそうです。だから、救急外来に汚染された外傷で来られると、成人なら破傷風ワクチンをとりあえず打ったりしてました。現在でも年間100例くらい報告があるそうです。ポリオですが、腸で増殖して脳炎を引き起こす、かなり恐ろしいウイルスだそうです。戦後まもない頃は年間数千人の報告があったそうです。いわゆる「小児麻痺」とはポリオによる脳炎の後遺症のことを指します。ちょっと前まで経口生ワクチンでしたが、副作用としての麻痺症状が有名になり、不活化ワクチンに替わり混合ワクチンに組み込まれました。

 

うーん、経験無いけどどれも恐ろしい病気ですね。唯一、時々遭遇する百日咳はこの中では軽症に見えますが、目の前にするとかなりかわいそうなくらいの咳の赤ちゃんの肺炎を起こします。 

 

四種混合は乳児期の感染を予防するのと同時に、なるべく成人まで持つような免疫をつける目的もあり(なんつっても恐ろしい病気ばかりですし)、11歳になってからジフテリア破傷風の混合ワクチンであるDTワクチンを追加します。ここでわざわざ外された百日咳が、しばしば巷で流行ってるのですから、素直に百日咳(P)も11歳の追加に入れてあげれば良いように思いますが、どうなんでしょうか。