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栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

自閉性を少しでも持っていれば発達障害なら、世の中み~んな発達障害です。

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

スペクトラムという概念の説明に苦労します。唐突ですね、自閉症スペクトラムのことです。社会性やコミュニケーションの障害にこだわりや感覚異常、不器用さなどを併せ持つというのがいわゆる自閉症であり、こういう特徴を自閉性と言うことにしましょうか(ていうか、私はよく使う言葉です)。自閉性にも強い弱いがあって、その中でも不器用さは全くないがコミュニケーション障害が強いとか、本当にいろいろ幅が広いんですよ(これがスペクトラムという所以)。でもって、イコール発達障害なのかというと、全然違うのです。「障害」は生活で困ってることがなければ言わないのです。自閉性がめちゃくちゃ強ければ言葉も出てないので、これはどう考えても生活の中では困るでしょうから「障害」と言っていいでしょう。でも、自閉性がまあまあ強くても社会生活で困っていない人もいます、これは「障害」ではありません。自閉性が比較的弱くても困っている人もいて、これは「障害」です。

 

自閉性の有名な特徴の一つに「こだわり」がありますが、料理人が素材にこだわりを持つといった良いものではなく、いつもと違う状況や事柄に対して強い不安を感じることから、いつもと同じ状況や事柄を求めることです。「同一性の保持」という言い方もされます。少し極端な話をしますと、電車通勤している方で電車を待つホームでの立つ位置が毎朝違う方ってどのくらいいますか?塾や大学の講義などで特に席が決まってない教室で、毎回違う席に座っていた方っていますか?多くの人が毎朝同じホームの乗り口に立ち、いつも同じ席で講義を受けていたんじゃないかと思います。まさに同一性の保持ですね、つまり多くの人が自閉性をいくらかは持っているというわけです。ただ、いつもの席にたまたま他の人が座ってたら、まあしょうがないかと、その日は別の席に座ることをします。不安になってパニックになることはありません。それは自閉性を持っていても強くはないからです。

 

なんで、こんな話をしたかというと、特別困ってないが健診で指摘されたとかネットで見ていて不安になったとかで、発達障害かどうか診断希望で受診される方が多いからです。確かに自閉性があるなと思うお子さんもいるんだけども、自閉性の強弱は年々変化することもあるし、強くても弱くても生活に困ってなければ「障害」ではないわけです。だから、「現状困ってないなら発達障害じゃないですよ、でも自閉性はありそうだから、今後どうなるかはわかりません。」「ですから、〇〇や△△といったことに注意して見ていきましょう」と、30分近くかかって説明して外来終了します。

 

で、看護婦さんから待合で帰り際に「結局、うちの子は発達障害なんですか」と言われてましたと聞いてがっかりする日々なのです。