栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

発達障害を診る医師の役割は診断と処方だなんて、ちゃんちゃらおかしいですね

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ここんとこ冷え込むようになってきましたね。私は自宅から職場まで徒歩で5-6分かけて通勤してますが、朝はまだしも夜の帰宅時に風が強いと結構きつくなってきました。今日もこれから帰るのが憂鬱です。

 

最近、ある発達障害で高名な先生の講演を聞きました。のっけから、発達障害の診断が自分はよくわからなくなってきてますで始まりました。それを聞いて、ちょっと嬉しくなりました。私自身もそう思っているからです。

 

てんかんにしても、喘息にしても、感染症にしても、経験を積むほどわかることが増えていると思いますが、発達障害の診断については診れば診るほどわからないことが増えてきてる気がします。表面的な症状やエピソードだけでなく本質的な部分を見抜いて診断しようと頑張るのですが、診断を否定するかのような行動や予想外な変化が起きたりと、迷うことばかりです。

 

外来でお母さん方には正直にまだ診断はよくわからないと告げることも多いです。でも、はっきり言ってあげた方がしっかり対策出来そうなお母さんなら、私自身が少し迷っていてもはっきり診断名を伝えることもあります。その辺は子ども周辺のキャラクターを見ながら臨機応変に話をしています。

 

本当言うと、別に診断名なんて急いでつけなくても良いし、診断つけられない医師がダメってことはないんですよ(むしろちゃんと迷いながら慎重に考えてくれる方が名医だと思う)。子ども本人と話をして、家族や学校から様子を聞いて、「この子はこういう個性があるようだから、こういう問題行動が起きるのなら、こういう風に対応してみましょう」といった、意見がどれだけ言えるか、引き出しを持っているかが、発達障害を診る医師の実力と思っています。そしてその引き出しは、日々患者さんたちから勉強させてもらい増やしていくしかないのです。

 

発達障害での医師の役割は診断と投薬で、カウンセリングは臨床心理師に任せるべきだっていう医師もいます。ちゃんちゃらおかしいですね。