栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

集団生活のスタートの前に②(B型肝炎ワクチン)

こんばんは。

滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

先日書いたようにB型肝炎ワクチンは今年10月から、4月以降出生した赤ちゃんを対象に定期接種化(公費化)される見通しとなりました。まあ、定期化にならないよりは良いですが、すでに生まれてる子どもたちも含めて接種を拡げないと意味がありません。なぜなら心配されている水平感染は主に年齢別でクラス編成されてる幼稚園や保育園で懸念されてるわけで、平成28年度以降の出生児のワクチン接種率が上がっても、それ以前に生まれた子たちの水平感染予防にはほとんど効果が期待出来ないのですから。

 

というわけで、集団生活を前にの2回目はB型肝炎です。何度もB型肝炎ワクチンについては書いてるんですが、今回は患者さんからよくある質問や誤解について書きたいと思います。

①みなさん、そんなに接種されてるんですか?

⇒説明を聞いても本当に必要かわからないけど、他のみんながやってるなら接種しとくかという方は少なからずおられると思います。はい、ほとんどみんな打ってます、と言いたいところですが、ある民間機関が調査した結果では33%と3人に1人程度だそうです。うちのクリニックではほとんどの方(8~9割)が2か月から接種してるんですが。

②周りにB型肝炎の人はいないので必要ないって、おばあちゃんが言ってるんですが。

⇒そう言うおばあちゃん、あなたはキャリアじゃないですか?日本には100人に1人くらいB型肝炎キャリアがいて、その多くは本人がそのことに気付いてないと考えられています。健診などあまり受けてないような自身の健康への意識が低い年配の方との接触が多いなら、早めに接種しましょう。

③お兄ちゃん、お姉ちゃんは未接種ですが、今から受けても遅いですか?

⇒そんなことはありません。確かに早い方が抗体獲得率は高いですが、何歳からでもしないより良いです。格闘技や体の接触が多いスポーツなどされてるなら特にお勧めします。

④経済的に厳しいので、もうちょっと後で受けたいのですが。

⇒お気持ちはわかります、ロタワクチンが後にずらせませんからね。でも、B型肝炎は低年齢の感染ほどキャリア化率が高く(1歳以下で90%)、低年齢で接種するほど抗体獲得が良いので、接種を無駄にしないためには早いほど良いです。しかも3回接種を半年かけて行いますので、早くに保育所に入る予定なら急いだ方が良いです。

 

4月からの集団生活までに、これから開始しても3回接種が間に合わないと思われるかもしれませんが、初めの2回(4週間隔)だけでも50%は抗体獲得するとされてるので、無意味では無いです。未接種の方は急いで始めましょう。