栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

乳幼児健診はお母さんを安心させる場ではない

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

もう開院して1年たったんだから、そろそろお前も協力しろという要請で今月から栗東市の乳幼児健診に行き始めました。これから毎月第2木曜午後に1歳半健診に行きます。

 

で、先日はその初回に行きました。健診自体は嫌いじゃないのですが、自治体に出向いてする健診はかなり久しぶりだったのでちょっと緊張してましたが、最初からよく知っている子たちが続いたので、良い具合にほぐれました。ありがとう!一応神経発達専門なので歩く姿を確認したいので、なるべく歩かせて入って来るように保健師さんにお願いしたら、ほとんど泣いてて抱っこじゃないと入ってこれませんですって。それって、こちらの健診の前に歯科健診するからじゃないの?

 

その際にあった出来事でも何でもないのですが、ときどき健診に関して聞く誤解について書きたいと思います。健診に行ったら、「病気があるかもって不安にさせられた」「体重が増えてない(発達が遅い)からちゃんと育児が出来てないって言われた」など、憤慨されているお母さん方がおられます。まず健診は、①隠れた病気を早く見つけるための場です、②お母さんを安心させる場ではありません、③お母さんの育児を採点する場でもありません。

 

これはね、もちろんお母さんが本来問題ないことを心配しているなら、だいじょうぶだよって安心させることはします。ただ、「成長発達とも順調です」っていうのは、別にお母さんを安心させるためではなく、お母さんの育児を誉めてるわけでもなく、ただ客観的に「現時点で問題ありません」っていうのを伝えているだけです。だから、「ちょっと○○が心配だから専門の病院で診てもらいましょう」っていうのが、育児が出来てないって言っているわけではないのです。普通に健診医も心配になっていて、専門の先生に診てもらい必要なら検査もしてもらって、大丈夫ならそれで安心出来るし、治療やリハビリが必要ならひどくならないうちに見つかって良かったと思えるし。

 

例えば、体重増加がゆっくりな子を診たら、もちろん栄養摂取状態を確認しますが、それより栄養を摂っていても体重が増えない病気(先天性の心臓病、ホルモン、消化器などの病気)が隠れてないかを一番心配しているのです、このへんの病気はほとんど治療法があるから、早く発見してあげる方が良いのです。(お母さんの食事のあげ方ばかりを問題視する保健師も一部にいるようで困るのですが)

 

また、1歳半で全く言葉が出てなかったら、一番に難聴がないか気にします。聞こえてるように見えても、十分に聞こえていなかったり、雰囲気で言われた内容を理解してる子もいます。生まれてすぐの聴力検査で異常がなくても、あとから難聴になることもあります(知らぬ間におたふくかぜにかかっていたとかで)。早く気付いて補聴器をしてあげれば言葉の発達への影響が最小限に出来ることもあります。聴力に問題なければ自閉症か、ただ言語発達がゆっくりなだけか。自閉症なら育児方法をちょっと変えると上手くいくようになることがあります。

 

健診で何か言われると、不安になったり、嫌な気分になることもあると思います。特に病気を疑われたときは、そのときは同じように医者も不安になっていて、申し訳ありませんが受け入れていただければと思います。こういうときこそ、かかりつけの先生にも相談するっていうのも、良いかもしれませんね。