こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
ご両親や兄弟のアトピー性皮膚炎がひどめの方は、赤ちゃんも早い段階(1ヵ月ころからでも)で強めの湿疹が出てくることが多いようです。顔や首、胸などからひどくなることがほとんどで、アトピーのように肘の内側や膝裏の湿疹は目立たないので、それがすでにアトピー性皮膚炎だと言って良いのかわかりませんが。
この時期の皮膚は、乾燥傾向のあるところと、逆にまだ脂っぽかったり、首やわき、足の付け根などは汗と汚れが溜まってジトジトしているところがあって、完璧にやろうとすると部位によりスキンケア(保湿剤や皮膚保護剤の種類とか使い方とか、体の洗い方とか)も変えないといけません。
あまり酷くなると感染もからんできて、抗生剤、抗真菌剤も併用しないといけなくなり、ステロイドだけ塗ってりゃ良いというものではなくなります。またこの時期の皮膚炎は後の食物アレルギーの原因になることは今や常識で、1歳近くなってのアナフィラキシーショックはもちろん、食物アレルギーの症状としての難治性皮膚炎につながります。だから、出来るだけ早くしっかり湿疹をコントロールしないといけません。
こんなふうに治療が難しくなるわけです。といっても、どんなに酷くても何とか治してはいけるんですが、赤ちゃんの薄い皮膚に強いステロイドは出来るだけ避けたいし、後々の食物アレルギーの発症まで防げているのかは後々までわからないし。まあまあ、ドキドキしながらこちらも治療することになります。
つまり何が言いたいのかというと、ご家族でアトピーのひどい方がおられたら、赤ちゃんの皮膚の状態はよく注意して見ておいていただき、荒れてきたら早めに受診しましょうねってことです。当たり前ですが、軽いうちに早めに治療を始める方が、弱めの薬で早くコントロールできますので。