栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

点頭てんかんを疑った時はロタワクチンやBCGを接種する前に必ず相談して下さい

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近なぜか赤ちゃんの点頭てんかん(west症候群)疑いの患者さんが相次いでいます。どういう症状かというと、ビクンと両手を伸ばして、頭もうなづくようにする一瞬の発作で気付かれます。モロ反射という音などにびっくりして同じような動きをする無害の不随意運動もありますが、モロと違って何の音も無いのにビクンとするようになり、ネットを調べると点頭てんかんが出てきて心配されて受診されます。

 

典型例だと発達退行(笑わなくなったり、目で追わなくなるなど)を伴ったり、シリーズ化といって発作が連続して短い時間に続くことが多いので、それらが無ければほぼ点頭てんかんでは無いのですが、なかなか症状と診察だけでは完全否定はしづらいです。もし本当に点頭てんかんなら治療開始の遅れが一生に関わる脳障害を引き起こすので、我々も慎重になります。ただこのてんかんは脳波がとても特徴的なので、ほんの短い時間でも脳波が録れれば確実に白黒つきます。ですから、点頭てんかんを疑う患者さんが来られた時は、しのごの言わずに早めに脳波を録るようにしています。

 

もし点頭てんかんだった場合は多くで特効薬的な免疫療法が行われます。それで気になったのはワクチンです。ヒブ、肺炎球菌、四種、B肝などの不活化ワクチンは良いですが、ロタワクチンやBCGなどの生ワクチン接種後だと、しばらくその免疫療法が出来ないことがあり治療が遅れてしまうのです。前述のように点頭てんかんは治療が遅れると修復困難なダメージを脳に与えます、だから治療は少しでも早く開始しないといけないのにです。

 

接種してしまった後に発症したのなら仕方がありませんが、接種前から点頭てんかんかもしれない発作症状がある場合は、ロタワクチンやBCGの前に必ず相談して下さい。かかりつけ医さんにと言いたいところですが、小児科でもてんかんのことをよく知らない先生がいるので、この件に関しては私に相談して下さい!