栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

アトピーを一生の病気にしないために

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ看護師、事務、脳波技師を募集中です!よろしくお願いします!

 

アトピーのなかなか治らない年長の子っています。小学生くらいなら、そんなに人目を気にしないかもしれませんが、どう考えても気になってくるであろう中学高校の女の子にも。で、その子たちはどうやっても治らない重症アトピーなのかと思いきや、ほとんどが薬をしっかり塗ればかなり良くなるのに続けられない子たちです。これは私はずっと不思議だったんです、塗れば治るのに。1日1回か2回。たっぷり手に取ってザザッと患部に塗れば2~3分以内で終わる。歯磨きに要する時間より短い。これを続けるだけで水着も着れるし温泉にも行けるのに。欲を言えば保湿剤は1日何度も塗って欲しいし、入浴はぬるめ短め、食事睡眠にも少しは気を遣って欲しいですが、そこまで求めません。そこまでしなくても薬だけでも続ければかなりのレベルまで良くなります。かなり懇々と説明して説得して塗るようになってくれる子もいますが、1~2ヵ月でかなり良くなって、これを続けてくれたら少しずつ弱い薬にしていこうと思っている矢先に結局続けられず悪化して振り出しに戻ってしまいます。もちろんステロイドを続けることへの不安感から止めてしまう人もいますが少数です。


これはもう性格と習慣の問題なのだろうなと思うようになりました。健康を害するくらい太った人はなぜそんなになるまで食べる量を減らさなかったんだろう?時間にルーズで信用を落とす人はなぜ早め早めに動き出すようにしないんだろう?部屋をゴミ屋敷にしてしまう人はなぜそこまでなるまでに片付け始めなかったのだろう(私のことです(笑))?と。わかっちゃいるけど出来ないんでしょう、私だってすぐに部屋も机も散らかっては一念発起して片付けて、これからはこまめに片付けようと思うけどまた散らかる。40年変わらないですもん。

 

性格は持って生まれたものなのでそう簡単には変えられないけど習慣は作れます。歯磨きや洗顔が習慣になってない人はほとんどいませんよね。そのレベルで子どもが幼いうちから、湿疹があるときは薬を、調子が良い時でも保湿剤などでスキンケアをする習慣をつけてあげることです。それにはまず自分で塗ることが出来る年齢になるまでは、親自身が子どもに薬や保湿剤を塗る習慣をつけることが大切です。年長になってもアトピーの治療は可能ですが、厚くなってしまった皮膚や掻き傷の跡まで綺麗にするのは難しいし、完成されたアトピー体質はなかなかしつこくて乳幼児より難治であることは間違いないです。

 

乳幼児の軽いうちにしっかり治療して丈夫な皮膚にしていくと同時に、皮膚をきれいに保ち、悪化時は早めに治していけるように外用を習慣化することが重要です。それにはまず親がそれをしないと話になりません。アトピーは命にかかわる病気ではありませんが、子どもの一生を左右するしつこい現代の慢性疾患でもあります。 頑張って行きましょう!