栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

脱ステ治療の全部がデタラメではないでしょうが、あまりに勝ち目が乏しく失うものが大きいです

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

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しばらくいわゆる脱ステロイド治療として一切ステロイドを使わずに湿疹の治療をしている方を見かけなかったのですが、最近になりたまたまか数人の方を診る機会があったので、ちょっと思うところを書いてみようと思います。

 

うちは乳児湿疹もアトピーも全力ステロイド推しでやっています。などと別に偉そうに言うことではなく、現在最も標準的に勧められている治療をやっているだけです。ネットで脱ステ治療をやっている方のブログや治療記録を見ていると、目を背けたくなるようなひどい状態の赤ちゃんが数ヶ月~数年経過してきれいになったという記事をみかけます。別にどこかの健康食品会社や医療機関の記事ではないので、嘘が書かれているわけではないと思います。私の知っている脱ステしている患者さんもまあひどい状態から治っていませんが、半年以上経過して変わらず脱ステしている割には悪化がそれ以上進行せずに止まっているようにも見えました。

 

おそらく脱ステしてきれいに治る子がいるのは事実なのだと思います。でも圧倒的にひどい状態のままの子の方が多い。ごく少数がステロイド中止して自力で治るのじゃないかと思います。理由はわかりませんが、どこかの時点から体がこのままじゃヤバいと感じて自身の体内からステロイドを作るようになるのかもしれません。でも、治る子だとしても数ヶ月~数年はかなりひどい状態を続けています。

 

乳幼児期って心や体の発達にとても重要な時期です。あまりにひどい血が滲むような広範囲の湿疹で低栄養になったり、一晩中眠れないほどのかゆみを経験させることが、子どもの心と体の発達に良いわけがない。そんなことしてまで勝率の少ない、運良く治るにしても発達を犠牲にして脱ステ治療を続けますか?

 

上述したように当院は標準的なステロイド治療をしているだけですが、ごく軽度の方を除き原則治るまで(保湿剤だけで良い状態を維持出来るまで)、しつこいくらいに再診予約をとり継続定期受診をしてもらっています。その都度、薬の塗り方やスキンケアなど確認して指導し、状態に応じて薬を増減していきます。治るまで離しません。多くの皮膚科や小児科のように薬だけ出して次回受診の指示もせずに、ちゃんと良くなっているかの確認もしないような治療はしていません。ときどき薬が無くなるまで来なくなる患者さんもおられますが、そういう方には当院での治療をお断りしています。だってそれでは絶対に治らないし、薬が欲しいだけならドラッグストアをおすすめしています。

 

ステロイド治療が全例デタラメとは言いませんが、その治療はあまりに勝ち目が乏しく、失うものが大きい、そこまで顔中、体中を血だらけにして、地獄のようなかゆみに何ヶ月も耐えてまで選択する治療ではない。乳児湿疹やアトピーは正しくステロイドを使えば、そんなに苦しまずとも治る病気なのです。