栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

HPVワクチンを「何かわからんけど怖いらしいから接種しない」から「何かわからんけど接種しといた方が良いらしい」に変えていくのは

 

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近以下のリンクの記事(厚労省元担当官へのインタビュー)がSNSで話題になっていて、読んでみるととても興味深かったので私の意見を書きたいと思います。久々のHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)に関してです。

HPVワクチン 厚労省はいつ積極的勧奨を再開するのですか?(岩永直子氏 2019.7.26) https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/shoubayashi-3

 

私が気になった厚労省側意見の要点として、①HPVワクチンが危険だという世論はマスコミが作り上げたもの、それにより厚労省が積極的勧奨を再開したからといって国民が安全なんだとは思わない(⇒接種率は上がらない)、②勧奨再開には国民の理解が重要、というところです。

 

①は私もすごく思う、多分今の状況で厚労省が積極的に勧めても何にも変わらないと思います。それは直接患者さん(の保護者)に話をしていてわかります。接種に躊躇する理由は「何かわからんけど怖い副作用があるらしい、しかも周りは誰も接種してない」にほぼ集約されてます。ほとんどの人は定期接種かどうか積極的勧奨がどうとか全然知らないし、国が積極的勧奨を再開しても全く響かないと思います。日本の国民の大多数は、よく理解して周囲がどうしてるかに関わらず自分が納得して接種するというところまで行けないだろうと思います。例えば今ほとんどの人が何の迷いもなく四種混合ワクチンを接種していますが、どれだけの人が四種の病気を知ってるでしょうか?接種する理由は「何かわからんけど周りがみんな接種してるから」ということでしょう。だから③の国民の理解なんてものを待ってたら永久に勧奨再開なんて出来ないでしょう。

 

「何かわからんけど怖いらしいから接種しない」から「何かわからんけど接種しといた方が良いらしい」に変えていくのは記事で厚労省が言ってるようにマスコミの誘導なのかもしれません。だいたいみんな厚労省のいうこと聞かないですよね。アムロに抗菌薬適正使用を叫ばせたって耳鼻科や小児科の一部ではわんさか抗菌薬処方し続けてるし、冴羽に風疹ワクチンを勧めてもらっても世のおじさんのほとんどが無関心です。

 

私としては以前から言ってるように、HPVワクチンは市井の一医師として淡々と目の前の患者さんに勧めて、一人でも多くの方に接種していくだけです。積極的勧奨を再開するかどうかとか、ワクチン肯定派のジャーナリストが裁判に負けたとか、どうでもいいことなのです。