栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

もしこれを機会に軽い症状なら受診せず、自宅で休んでいれば治ることに気付いてもらえるなら、とても良いことだと思います

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

新型コロナの影響でか全体に感染症の患者さんが減っています。毎年、3月は意外といろんな感染症が流行って比較的多い月なのですが、今は病院が新型コロナ感染の場になり得るとして、軽い症状なら受診を控える動きに加え、学校が休校になり実質学級閉鎖状態で感染症が減ってるからと思われます。

 

もしこれを機会に軽い症状なら病院に受診しなくても薬をもらわなくても、自宅で休んでいれば治ることに気付いてもらえるなら、とても良いことだと思います。何より患者さんにとって、しんどい状態で病院にわざわざ行かなくてもよくなるのですからね。

 

クリニックの経営のことを心配して下さる方がいるかもしれませんが大丈夫です(笑)。突発的な感染症の受診が減れば、その分かねてから力を入れたく思っている育児支援、成長発達のフォロー、湿疹やアレルギー、便秘など慢性疾患の治療を手厚くすることが出来ます。ワクチン枠もちょっと余裕が出来るかな。これまでは感染症患者さんの増減は予測が難しくて、外来が混乱しないように出来るだけ枠を確保していたのですが、それを今後は縮小出来るんじゃないかと思っています。

 

これからの小児科クリニックはひどくなった病気をその都度治療する場ではなく、一人一人の子どもの成長発達に寄り添っていく存在であることを望まれています。それは近々ある診療報酬改定の内容から国の方針でもあることが明確です。私自身、まだ何とか体力のあるうちは、この方針に応えて行きたいと思っています。

新型コロナに感染したときのために

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

うーん、コロナについて書かなきゃいけないのかなと思いながら、タイミングを逃して更新がこんなに空いてしまいました。気の利いたことは言えません。なんで学校での集団発生は起きてないのに全国休校になるの?とか、幼稚園や学童なら行って良いとか休校してる意味あるの?とか、ジムや屋形船でクラスターしてるのになんでそっちが閉鎖にならないの?とか、感度が70%程度なのに(ウイルスがいても70%しか陽性にならない)なんで検査したがるの?とか、みんなが思っていることとほぼ同じです。

 

感染予防についてはマスクとか手洗いとか、みなさんしっかりされているなあと思います。しかし現時点で残念ながら感染者は全国で増加の一方で抑えられる気配が見られません、そのうちインフルエンザのようにありふれたウイルスになるかもしれません。みなさんがやるべき事は感染しないように努力だけでなく、感染しても自力で治せるように体調を整えておくこと、風邪症状が少しでも出てきたら早く休むこと(栄養摂って暖かくして寝る!)。それは他のウイルスかぜでも同じで、治療の大前提です。新型コロナは治療がないんですから、なおさらですね。

 

個人的には新型コロナそのものより、マスクやアルコールが無くなることや、無邪気に本物の感染者が待合に入ってきて私たちが濃厚接触者になり業務停止になることの方がよほど怖いです。

乾燥肌は根気よく治していきましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

今年は暖冬ですね、雪も全く降る気配もありません。とはいえ、冬は冬なんで夜は寒いし、暖房つけると空気も乾燥します。やはりこの時期は人のお肌も乾燥しがちですね。

 

空気の乾燥も原因の一つでしょうが、子どもの場合はお風呂の温度や長さも一因になっているようです。カゼひかないようにと40℃以上の熱いお湯に長く入れて体を温めようとすると、うすい赤ちゃんの皮膚には刺激が強すぎてバリア機能にダメージを与えてしまうし、保湿に必要な脂分も剥がれ落ちてしまいます。お風呂はなるべくぬるめ、短めにしましょう、赤ちゃんは湯冷めしませんから。

 

乾燥肌は乳児湿疹を悪化させる大きな要因です、湿疹自体はステロイドで治しても乾燥肌のままだとすぐに再発してしまいます。一度乾燥肌になってしまうと保湿剤を塗っても塗ってもすぐに乾燥してしまいます。そうなったらしょうがないので何度も何度も保湿剤を塗るしかありません。当院ではワセリンパック(下のリンク参照)なるものを勧めたりもしますが、日中はやっぱり保湿剤を使わないといけません。それでも根気よくやってればそのうち乾燥しにくい皮膚になっていくので頑張りましょう。

 

yoshi830.hatenablog.com

1歳半くらいになっても言葉が出なくて、遊び方や行動などから我が子が自閉症なんじゃないかと心配している方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

私の月1回ある乳幼児健診の担当は1歳半健診です。1歳半では心臓とかの大きな病気というより、体(身長や体重)、運動(歩けてるか)、知能(言葉が出てるか)の発達の確認が主になります。その中で言葉があまり出てないお子さんで自閉症じゃないかと心配している保護者にしばしば出会います。一人遊びが多いとか、目が合わないとか、すぐに迷子になるとか、、、お母さんが自分から気になる行動として話される内容で、「ああ、自閉症とか発達障害を心配しているんだな」とわかります。お母さんの話を聞きながら、子ども自身を眺めてると、アンパンマンを指さししてアピールしたり、保健師にあやされながら楽しそうに遊んでたりして、むしろ自閉症じゃなさそうな行動が見れたりします。

 

でも、それだけでその子が将来自閉症にはならないとも言えないんです。もちろん自閉症とも言えない。自閉症スペクトラムなので、そもそもがはっきりしないものなのです。専門家でも予想することが難しいことがあります。もし、はっきりわかるっていう先生がいるなら、その先生は怪しいなって思います。たくさん患者さんを診てきた先生ほど、わからないって言います。

 

だから心配なのはわかるけど、将来のことはいくら悩んでもわからないときはわからないんだから、今出来る事をしましょう。ほぼ共通しているのは、①どんな子でもその子なりに発達する、②穏やかで楽しい環境が最も伸びる、ってことです。それ以上は子どもによっても違います。もし発達外来に通院している(これから受診予定含め)方は、診断がどうか将来どうなるかとかより、今子どもに出来ることが何かを相談するようにしましょう。

 

HPVワクチンを「何かわからんけど怖いらしいから接種しない」から「何かわからんけど接種しといた方が良いらしい」に変えていくのは

 

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近以下のリンクの記事(厚労省元担当官へのインタビュー)がSNSで話題になっていて、読んでみるととても興味深かったので私の意見を書きたいと思います。久々のHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)に関してです。

HPVワクチン 厚労省はいつ積極的勧奨を再開するのですか?(岩永直子氏 2019.7.26) https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/shoubayashi-3

 

私が気になった厚労省側意見の要点として、①HPVワクチンが危険だという世論はマスコミが作り上げたもの、それにより厚労省が積極的勧奨を再開したからといって国民が安全なんだとは思わない(⇒接種率は上がらない)、②勧奨再開には国民の理解が重要、というところです。

 

①は私もすごく思う、多分今の状況で厚労省が積極的に勧めても何にも変わらないと思います。それは直接患者さん(の保護者)に話をしていてわかります。接種に躊躇する理由は「何かわからんけど怖い副作用があるらしい、しかも周りは誰も接種してない」にほぼ集約されてます。ほとんどの人は定期接種かどうか積極的勧奨がどうとか全然知らないし、国が積極的勧奨を再開しても全く響かないと思います。日本の国民の大多数は、よく理解して周囲がどうしてるかに関わらず自分が納得して接種するというところまで行けないだろうと思います。例えば今ほとんどの人が何の迷いもなく四種混合ワクチンを接種していますが、どれだけの人が四種の病気を知ってるでしょうか?接種する理由は「何かわからんけど周りがみんな接種してるから」ということでしょう。だから③の国民の理解なんてものを待ってたら永久に勧奨再開なんて出来ないでしょう。

 

「何かわからんけど怖いらしいから接種しない」から「何かわからんけど接種しといた方が良いらしい」に変えていくのは記事で厚労省が言ってるようにマスコミの誘導なのかもしれません。だいたいみんな厚労省のいうこと聞かないですよね。アムロに抗菌薬適正使用を叫ばせたって耳鼻科や小児科の一部ではわんさか抗菌薬処方し続けてるし、冴羽に風疹ワクチンを勧めてもらっても世のおじさんのほとんどが無関心です。

 

私としては以前から言ってるように、HPVワクチンは市井の一医師として淡々と目の前の患者さんに勧めて、一人でも多くの方に接種していくだけです。積極的勧奨を再開するかどうかとか、ワクチン肯定派のジャーナリストが裁判に負けたとか、どうでもいいことなのです。

保湿剤を塗ってるが皮膚の乾燥が治らないという方々へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

久々に皮膚のことを書きます。よく保湿剤を塗ってるが乾燥(カサカサ)が治らないといわれる方がいます。原因はほぼ以下の二つのどっちかです。

①すでに乾燥を通り越して湿疹になってる

⇒湿疹になってしまった部位は保湿剤をどんだけ塗っても治りません(極々軽い段階を除いて)。感覚的に皆さんが言う「カサカサ」や「ガサガサ」は湿疹のことが多いです。軽いうちにステロイド軟膏で抑えないといけません。

②乾燥肌が酷すぎて保湿剤が足りてない

⇒乾燥肌(湿疹含めて)になってしまってから期間が長いと皮膚のバリア機能が崩壊してるので、1日に1~2回さらっと保湿したくらいではあっという間に乾燥します。保湿剤が合ってないと言われる方がいますが、それよりも量と回数が足りてない事の方が多いです。

 

実際、上記のような判断は一般の方では難しいです。さらにいうと、風呂の湯が熱すぎるとか(39℃までくらいで)、トビヒになってるとかいろいろあります。とにかく、自分の判断であれこれするよりひどくならないうちに受診しましょう。ひどくなってからでも治療は出来るけど、時間も労力もかかります(医者はあーしてこーしてと指示して薬処方するだけだけど、実際治療するのは保護者ですしね)。

熱があってもそんなにしんどそうでなければ自宅で休んでる方が良いですよ。受診して本物のインフルもらっちゃいますよ。

あけましておめでとうございます。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。年末年始しっかり休みを取られた方は明日が仕事始めでしょうか。私は例年通り年始はクリニックで3日から、個人的には元旦朝から休日診療所で外来やってました。まだまだ他院と一緒にたっぷり休むような身分ではありません。なんて偉そうに言ってても来年はどうなるかわかりませんが(笑)。

 

で、やっぱりインフルエンザが多いですね。今年はわりとわかりやすい気がします。高熱でしんどそうにしてると検査も陽性で、熱あるけど38℃台とかで元気そうだとほぼほぼ陰性です。だから、熱あってもそんなにしんどそうでなければ自宅で休んでる方が良いですよ。自分が楽したいから言ってるのではなく、受診して本物のインフルとかもらっちゃうのを懸念してるんです。仮にインフルエンザであっても軽いなら薬なしで治りますしね。

 

多少咳鼻があればインフルエンザでなくてもムコダイン等くらいは出しますが、わざわざ体調悪いのに出かけて行って、待合でいろんなウイルスを浴びながら数時間待ってまでもらって飲むほどの薬ではありません。解熱剤が欲しければ「アセトアミノフェン」が入ってる解熱剤をドラッグストアで買えば良いと思います。飲めるならとりあえず葛根湯も良いと思います(高熱になってたら効かないけど)。ちなみにアンパンマンシロップはダメです、けいれんのリスクがある私の大嫌いな第一世代抗ヒスタミンや、1ミリも効かない咳止めとか入ってます。自宅にあるなら即刻捨てちゃってください!

 

インフルエンザは特にそうですが、高熱が続いたのちに解熱してから咳鼻が悪化することがあります。回復期にそうなるケースは多いです。熱が下がってきてれば肺炎になんてなってません、大丈夫です。だけど咳が多ければ熱が無くても安静にしていましょう。でないと週単位で咳が続くことになります。安静にしてても咳が全然減らないようなら喘息になってることがあるので受診しましょう。