栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

医師に○○後にまた来てくださいと言われたら、ちゃんと行った方がいい

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

心臓、内分泌、神経筋、腎臓、外科疾患と、小児もいろいろ慢性疾患があって、すぐには治療を必要としない状況でも、子どもは成長とともに病状の変化も大きいので、数か月とか1年後とかに変化を確認しないといけないケースは非常に多いです。私は1年後でも極力外来予約を取っています、どんなに先でも予約という行為は、人同士の約束ですから忘れにくく必要性も感じてくれると思っているからです。でも、そんな先生や病院ばかりではありません。口頭で半年後とか1年後にまた来てくださいと指示されるだけのこともあります。そういうときは指示された時期にご自身で予約を取るなりして受診しないといけません。

 

この長期間後の受診を忘れたままにしてる患者さんがけっこう多いです。特にコロナ禍と重なって受診を控えてそのままという方も多いようですね。でも、これは非常に危険なことです。医師から、このまま受診せずに放置したらどんなリスクがあるかまで説明を受けてないかもしれません。残念ながらそこまでいちいち説明する医師の方が少ないでしょう、可能性は低いが怖い予後(将来の病状)の話をしても患者さんが受け入れられないことが多いからです。受診指示に従わずに放置した結果、取り返しのつかないことになることもあります。そんなの聞いてなかったとか、なんで連絡をくれないんだとか言って医師・病院を責めても、カルテに受診を指示した事実が記載されてあれば責任は問えません。ちなみに小児科だけの話ではありませんね、成人でも指示通り受診しなかった結果、ガンが進行してたなんてことは日常茶飯事でしょう。

 

私は3歳半健診をしていますが、ある停留精巣の子を見つけた時があって、確認すると既に1歳半健診のときに指摘をうけて泌尿器科を受診して半年後の再診を指示されていたが、2年間放置していたという方がいました。停留精巣を放置すると、不妊症や腫瘍の原因になることは知らなかったようでした。すぐに受診を指示しましたが、悪いことになってなければ良いですが。

 

医者が○○後に来るように言ったら、それは本当に行かないといけないものなのです。ちゃんと言われた通りに行きましょう。そんなに先の受診で良いということは、たいしたことないんだろうと勝手に判断してはいけません。

11/13以降の水曜午後夜の診療時間変更のお知らせ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ホームページやアイチケットでも案内しているように、今週水曜日(11/13)からしばらく午後~夜の診療時間が変わります。これまで、14~16時は予防接種専用外来(第1水のみ発達外来)、17時以降に一般外来としていました。11/13からの水曜は14~18時を一般外来とします。ただし、これまで通り第1水曜は14~16時は発達外来、続けて16~18時は一般外来になります。

 

これはですね、ちょっと考えてみるとわかるんですが、1週間のうちで水曜夜が最も疲労が溜まる時間(終日連続勤務3日目)でかつ、近隣の小児科クリニックが休診日でそのかかりつけ患者さんが流入して患者さんが増えるというタイミングでして、そういう時間がやはり判断力も落ちている可能性も考えた対策で、14時からゆとりをもたせた外来にしてみることにしました。実験的な取り組みなので上手くいかなければ戻すかもしれません。水曜午後が予防接種専用外来ではなくなりますが、今でも昼間の都合がつかない方は夜外来でもやっているように、水曜午後の一般外来時間で良ければ予防接種は可能なので、お問合せください。

 

14~18時で長い時間のようですが、17時からの外来って結局21時頃までかかることも多いので時間的にはそれほど変わらないし、早く終われる分休めるかなと考えています。「医師の働き方改革」などという軟弱な言葉を使うのはプライドが許さないので、コンディション調整ということにしときます(笑)。いきなり変わるのと、発達外来も残さないといけないので第1水曜だけ違うのと(しかも2025年1月は第2水曜)で、患者さんたちが混乱しないかをけっこう心配しています。

 

これで水曜夜が早めに終われたら、翌日のこと気にせずに、す〇家や、松〇や、〇源ラーメン以外のところでゆっくり夕飯食べれるかなと、少し楽しみでもあります(笑)

クリニック待ち時間問題の検証(番外編)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

待ち時間に関するクレームって、クリニックだけでなくいろんな業種で多いですね。タイムイズマネーですものね、家族の仕事や子どもの習い事の合間をぬって来られる方も多いと思いますし、よく理解出来ます。今回、クリニックの待ち時間が発生することの要因について検証したことを書いてみましたが、改めて思ったのは様々な業種の中でもイレギュラーな事が発生しやすい業種だと思いました。美容院とか整骨院とか歯医者さんとか飲食店とか、何か想定外のことが起こってここまで予定時間がずれることは無いように思います。

 

当院に限らずですが、待ち時間に関するひどい口コミとか見て思うのは、患者さんを長時間を待たせるメリットってクリニック側にも1ミリも無いわけで、そこには何らかの止む得ない理由があるんですよね。で、もし徹底的に待ち時間を無くすことに全振りするなら、出来ないこともありません。

 

一つは全力で一人の診療時間を短縮すること。呼吸音は聴診したふり、喉を見たふりだけして、咳鼻ならどんな経過でも同じ内容の薬をセットで出すだけ。湿疹なら塗り方も期間も説明せずステロイド軟膏出して塗っといてで終わり。症状が良くなってなくても同じ薬を出し続ける。これなら多くは一人2~3分で終われます。もう一つは、予約枠を思いっきり少なくする。15分とか20分に一人を診ることにすれば、ほとんどお待たせすることもないでしょう。でも、それだと1日に20人ほどしか診れないので、多くの患者さんの診察希望をお断りすることになってしまいます。いずれも現実的ではないし、こんなクリニック嫌ですよね。前者についてはちょっとそういう感じのクリニックはあるかもしれませんけど(笑)。

 

いっそのこと、予約なんて無しにしてひたすら順番に来る人を診るっていうのも一瞬考えたことありました。予約なんてものがあるから待たされると苦情したくなるんだし、最初っから来たもん順にすりゃ良いじゃないかって。確かに休日診療とか夜間救急はそうですしね。予約システムにかけてる費用も浮きますし。でも、診察開始時に一斉に人が来ると受付は混乱するし、駐車場は危険だし、近所迷惑にもなるしで難しいでしょうね。いつか待ち時間クレームにぶち切れたらやるかもしれません(嘘です)。

 

とはいえ、まだ診療時間を効率化できる余地はあるかもなので、待ち時間短縮のため出来る限り工夫と努力はしていきたいと思っています。

 

 

クリニック待ち時間問題の検証③(重症の患者)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

クリニック待ち時間問題の検証の三つ目です。患者さんの症状の重い軽いは予約をいただいた時点ではわかりません。来院のときにスタッフにより重篤であることに気付かれることもあるし、診察室に入って診察して発覚することもあります。「こんなん絶対あかんやつやん!」って医療者である私たちがすぐに気付いても、家族にはわからないことありますよね。開院以来、4~5回救急車を呼びましたが、当院ではほとんどは感染や喘息などによる呼吸障害でした(ちなみに初救急車は赤ちゃんの百日咳)。救急車まで行かなくてもすぐに済生会へ行ってもらった方が良いってのは月に何回もあって、そういう時は患者さんの応急処置をしながら、済生会の小児科医に電話して状況を伝えないといけないし、紹介状もすぐに作らないといけないなどで、15分とか、ひどいときは30分とか平気で外来がストップします。

 

電話で前もって連絡があって受診される方もいます。多くが食物アレルギーによるアナフィラキシー(○○食べたら皮疹が出てしんどそう)とか、外傷や誤飲が多いですね。結局はほとんどが軽症なんですけど、電話での言葉の情報では重症なのを否定できないのですぐに来てもらって、予約の患者さんに割り込む形で診ることになるので、これで待ち時間が増えてしまいます。もちろん本当に重症のこともあります。

 

緊急性のある重症ばかりではありません。湿疹ひとつにしても、虫さされ程度ならすぐに終わりますが、未治療(または不適切な治療)の重症アトピーなら薬の塗り方(どこに、何の薬を、どういうふうに)から、今後の方針、スキンケアのことまで説明がいるので時間がかかります。朝起きれなく学校に行けないんだが起立性調節障害(OD)かもだから薬をもらうように言われたと、どうみてもODではない患者さんが土曜や連休明けに来られることもあります。問題は違うところにあるということを説明しないといけないですが、この説明を5分以内に終わらせるのは非常に困難です。これもある意味、重症ですね。

 

うちだけではなくクリニックの口コミを見ていると、〇〇時に来るように言われて行ってみたら1時間以上待たされたと憤慨してるコメントがありますが、診る順番の直前に上記のような患者さんが重なることも少なくないんですよね。重症患者さんが入ることにより待ち時間が長くなることに関しては、いつ自分も同じ重症の状況になるかわからないわけですし、お互い様だとご容赦いただければと思います。

他人にうつすリスクを想像する(待合室でもワクチンでも)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

先日、感染症状のある患者さんはそれぞれ個室待合で隔離している話を書いたのですが、それに関するコメントやDMで複数の方から、自分の子が他の子に病気をうつすことを心配しなくて良いので助かるといった言葉をいただきました。そういうお考え、素敵ですね。感染患者を全員隔離して待ってもらうのは、他の子から別の病気をもらうことを防ぐためという文脈でご理解いただいてると思ってたので、うれしい驚きでした。

 

以前、感染者用と非感染者用という待合室2つだけで運用していたときは、咳鼻が出ていても、これは風邪じゃなくてアレルギー症状だと言い張って非感染待合に入ってこられる方がいてトラブルになることもありました。咳鼻がアレルギーによるものか感染症によるものかは正確にはわからないので、あやしければ感染待合に入ってもらっていましたが、本当にアレルギー症状の咳鼻で感染待合に入って別の風邪をもらうのは確かに嫌ですよね、それはよく理解出来ます。同時にアレルギーの咳鼻と決めつけて非感染待合にいる他の患者さんに感染させるリスクは何とも思わないのかなとも思っていました。

 

まあ、とりあえずは感染症状があれば、それぞれがお互いに接触しないのが最適解というのは明らかなので、余計な待ち時間が発生する可能性はご容赦いただき、現在は個別隔離を行っております。

 

似た話がワクチンでもあります。基本的にワクチンを勧めるときは、予防する病気に感染する頻度だとか症状とか後遺症とか、接種する本人の利益にフォーカスして話をします。でも実は感染して他児にうつしてくれるなっていう目的も大きいのです。皆さんが思っている以上に、ある種の病気や治療で免疫を抑制されていて、ワクチンで予防するようなウイルスに感染すると命を落としかねないほど重症化する子どもがいます。割合的にいってもお子さんが通っている幼稚園や保育園に何人かはいます。そしてその子たち自身はワクチンを打ちたくても打てません。

 

うちの子にワクチンはさせない、自然に感染する方がいいって言って、例えば水痘に感染して顔に消えないような水疱の痕が残るかもしれないけど、脳梗塞になって半身麻痺になるかもしれないけど、まあ死にはしないでしょうよ。でも、免疫抑制されている子が水痘をうつされたら結構な確率で死にます。で、それで死んでしまった子の親は感染はわざとではないから仕方がないとワクチンをさせなかった親を責めることはないだろうし(ていうかわからないし、感染源になったという証拠もないし)、感染源になった子の親はそんなことは知らずに、またどこかで他のお母さんにやっぱり自然に感染するのが一番だとかドヤ顔で言うことでしょう。

 

巷の噂では、今年は全国的にインフルエンザワクチンの接種者数が少ないと聞いています。今一度、感染症の予防は自分のためだけではないことを想像してもらいたいと思います。

クリニックの待ち時間問題の検証②(処置や検査)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

クリニックの待ち時間問題検証の2回目です。経過と症状を聞いて診察して診断を伝えて薬を出すだけなら、3分以内に終わることも多いです。でも、処置や検査が入ると想定の数倍以上時間を要することがあります。

 

処置について。例えば、子どもの腹痛って思われている以上に便秘が多くて、浣腸して出してあげると嘘のように痛みが無くなるし、それで笑顔になった子どもを見るとこちらも嬉しいし、やっぱりどんなに混雑してても省略できない処置があります。喘息の吸入なんかも同様ですね。でも、そういえば外来で点滴とかほとんどしなくなりました。開院して3年くらいは1年に1人くらいしてたかな、ここ5年以上は一人もしてませんね。待合で経口補水療法するので十分だし、外来点滴しなきゃいけない状態なら入院した方が良いと思っているのですぐに紹介してます。だって小さい子どもの外来点滴なんて1回で200mlそこらの水分しか入らないんですよ、あんな怖くてい痛い思いをさせられて。

 

検査は、尿検査はもちろんのこと、採血も看護師さんがほとんどやってくれてます。いつの間にか私より上手くなっていて助かります。採血結果は後日にお伝えするような内容がほとんどです。以前は熱が続いてる子に白血球だのCRPだの迅速検査してましたけど、実際の症状と診察所見以上の情報にならないことに気付いて(異常無くても敗血症だったとか何例もあったし)、病院に紹介しないといけないならまた点滴のときに採血されるし、無駄に子どもに怖い思いをさせたくないのもあり、やらなくなりました。だから、今では血液検査で私の診療が停滞することはあんまりありません。

 

ウイルス迅速検査についてです。世の中進歩したもので、私が医者になった頃は外来ですぐに結果が出るウイルス検査は、インフルエンザA型が出たばっかりでした。ですから症状だけでインフルB型もアデノや溶連菌やRSウイルスなど診断してましたし、入院になった場合にのみ血液で抗体検査に出すくらいでした。当然ながら患者さんからも検査を希望されることはありませんでした。私は個人的には特別な治療法のない感染症に関して、症状出てからすぐに診断する必要は無いと思っています。保育園などはやたら検査してもらってくるように保護者に言われますが、何かコレクションでもしてます?原因ウイルスの違いで現場での感染対策の方法が変わるのですか?しかし、インフルエンザや溶連菌だけは治療できる薬があるので検査することも多く、結果の説明をして処方するとやはり想定以上に一人当たりに時間がかかります。時間短縮のために希望された迅速検査を医師診察前に看護師がするところもあるようですが、やはり私は侵襲的な検査(痛みや事故のリスクがある)の必要性は自分で判断したいし、検査そのものも出来るだけ痛くないように安全にやりたいので、検査前に必ず診察することにしていて時間を要することがあります。

 

私の個人的なこだわりもあったりで、こんな感じでやっています。大人と違って子どもの処置や検査は本人の協力が得られないことがほとんどで人手も要したりで、待ち時間に影響してしまいます。でも、出来るだけ効率よくこなせるように日々考えております。

クリニックの待ち時間問題の検証①(感染患者の個別待合室の渋滞)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

しばしばご指摘を受けるクリニックの待ち時間問題について検証したいと思います。予約して時間通りに行ったのに長時間待たされたとクレームいただくことがあります。本当に申し訳ないです。クリニックはおそらくどこも同じと思いますが、だいたいの一人の診療にかかる平均時間を想定します。それは人により検査や説明に長く時間がかかったり、逆にキャンセルや時間通りに来れない人が出ることも踏まえつつ、予約枠を作っていきます。すべて想定通りに進めば待ち時間はほぼ無いのですが、現実的にはなかなかそうも行きません。ちなみにうちでは一人あたり4分の想定で予約枠を作り、待ち時間表示をしています。

 

想定が崩れる要因はいくつかありますが、当院で大きいものの一つは感染症状がある患者さんの待合室渋滞問題です。うちでは感染症状(発熱、咳鼻、下痢嘔吐、感染が疑われる発疹など)があると家族ごとに個室でお待ちいただいています。現在3室で回していますが、感染患者さんが連続して来院されると部屋が足りなくなり、部屋が空くのを待つために駐車場で待機いただくことがあります。実は開院当初は、感染患者と非感染患者とでざっくり分けてただけで、感染症患者さんどうしで同じ待合室で待ってもらってたんです。コロナ対応が必要になったときに今の体制に変わったんですが、別にコロナじゃなくても同じだよねって話で、コロナ対応が必須で無くなった今でも継続しているんです。RSウイルスが治りかけで咳がまだ続くと受診した赤ちゃんと同じ待合室にインフルエンザの子がいたら、そりゃ赤ちゃんがまたインフルエンザにかかるじゃないですか。開院当初はなぜこんな当たり前のことに配慮が出来てなかったんだろうと恥ずかしく思っています。

 

一応、出来るだけ感染患者さんが連続しないように予約を組んでいます、例えばアトピーや便秘などの定期受診の予約などは感染症状が無く来院されると想定して分散して予約を入れています。でも、実際は定期受診で来院されるときに咳鼻症状があれば、感染待合が空くのを待っていただかないといけなくなります。もし風邪ひいてなければ非感染待合に入ってもらいすぐに診察に入れていたところを。

 

今後クリニックを改築出来るなら個別待合室をなるべく多く整備したいと思っています。でも、うち借家なんで難しいかな。待ち時間問題の検証はまだまだ続きます。今日のところはこのへんで。