栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

高熱でインフルエンザが疑われる状況で受診したいがどこもいっぱいで診てもらえず困っている方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

今、別のネタで記事を書こうとしてパソコン開いたんですけど、ふと明日の午前の外来予約を見て、開始5分でいっぱいになっているのに気付いて急遽内容を変更して書いています。

 

これはおそらく他院も同じと思われ、SNSを見てると全国的な傾向のようです。ここ数日の動向からもインフルエンザが多くを占めているのは間違いなさそうです。そこで、高熱などインフルエンザが疑われるような状況で受診したいが、どこもいっぱいで診てもらえず困っている方に向けて、何とか凌ぐ案を書きたいと思います。

 

まず、インフルエンザだからといって必ずタミフルなどの抗インフルエンザ薬を飲まないと治らないわけではありません。インフルエンザ薬の効果は発熱期間を1日短くする程度と言われています。だから、基本的には寝ていれば治る病気です。特にワクチン接種している方は重症化するリスクはかなり低いので安心してください。それでも何とかしてあげたいということなら、これからドラッグストアに行って解熱剤(カロナールタイレノールといったアセトアミノフェンが入った子どもに使えるもの)と麻黄湯を買って来ましょう。病院受診すれば、アスベリンだのカルボシステインだの風邪薬をもらえますが、インフルエンザに対してはあんなもん飲んでも飲まなくても大して変わらないから無くても大丈夫です。

 

解熱剤も本人が元気で機嫌よくしていたら無理に熱を下げる必要ないですが、高熱でしんどくて食べれない眠れないなどあれば、積極的に下げてあげて、その時に栄養と睡眠をなるべく取らせましょう。

 

麻黄湯漢方薬ですが、インフルエンザに対してタミフルと同等程度の効果がある上に、もしインフルエンザでなくても急な高熱を伴う子どもの感染症には効果があります。子どもの使用量が箱に書いてあるのでなるべく早く飲ませましょう。早く飲むほど良いです、上手く効けば汗がどっと出ます、薬が効いている証拠なので喜んで下さい。漢方薬なんてまずいもの子どもに飲めるわけないなどという、先入観は捨ててください、意外に子どもは飲めます。チョコアイスとか、お薬飲めたねゼリーとか、ねるねるねるねとか、使ってでも工夫して飲ませましょう。ただし、小学校高学年以上の虚弱な子には麻黄湯が合わないこともあるので、不安なら使わないでください。

 

当院は午前は、午後のワクチン予約外来があって決められた人数以上は診れないのですが、夜診療は出来るだけ受付を止めずに夜遅くなっても診察するので、頑張って凌いでください。乳児など小さい子でぐったりして顔色が悪いなどあれば、ためらわず大きな病院の救急へ行ってください。かかりつけ患者登録されていて私の携帯番号を知っている患者さんは、どんな時間でも対応するので遠慮なく電話してください(診察中は取れないので、そのときはクリニックに電話してください)。

生まれたばかりの子を、頭の良い子にするために一番やってあげると良いことは何か?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ある子どもが生まれたばかりの子をもつ知人から、頭の良い子にするために一番やってあげると良いことは何かと聞かれることがありました。「頭の良い」というのが、脳機能のことという前提で、知能だけでなく運動神経とか社会性とかも含めて考えて、一言でまとめるとどう答えれば良いかを考えました。実際のところ将来の脳の機能は多くの部分が遺伝で決まっていますが、確かに環境によるところも少なくはないです。

 

いろいろとあると思いますが、一言にまとめて一番良いと思うのは、「とにかく一緒に遊ぶ」。これでもかってくらい遊ぶ、興奮しすぎて、喜びすぎて、笑いすぎて死ぬんじゃないかってくらい遊んであげることじゃないかと思います。遊びの内容は、にらめっこでも、おにごっこでも、かくれんぼでも何でも良いです。体を使った遊びが良いですけど、静かな遊びが好みならそれでも良いです。ポイントは出来るだけ一人遊びではなく、誰かと一緒に楽しく遊ぶことです。

 

エビデンスはありません(多分)。でも、現時点で私が行きついた結論です。

 

 

「かかりつけ」といふもの

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ちょっとデリケートな話です。よくかかりつけクリニックとか、かかりつけ患者さんとかいいますが、この「かかりつけ」という定義が曖昧です。小児科クリニックで最近始めているところも多い「かかりつけ登録制」の中での定義では「緊急時や明らかに専門外であるとき以外で最初に受診する医療機関」とあって、この制度の中には予防接種の管理や発達のフォローも含まれています。ですから、乳児期であればワクチン接種をしているクリニックがかかりつけということになるので、クリニック側から見るとワクチンに来てくれてる患者さんはかかりつけにしてくれてるという認識をすることが多いと思います。

 

でも、患者さん側からはワクチンはAクリニックだけど、病気のときにかかるのはBクリニックにしているのでかかりつけはBクリニックと思っている現象もあり得るわけです。この現象の中でBクリニックの立場から見ると、しばしば受診してくれてるけどワクチンは他院なので、Bクリニック的にはこの患者さんはうちをかかりつけにしてるのではないと思っている可能性が高いのです。

 

これ、何かに似てると思いません?自分(Aクリニック)が本命の彼氏だと思っていたが、彼女(患者さん)はAクリニックとは体の関係だけ(ワクチンだけ)で、本命は別の男(Bクリニック)だった。しかし、その別の男(Bクリニック)は彼女(患者さん)と全く体の関係(ワクチン)がないのでただの友人だと思っていたみたいな。なんかドロドロですね。

 

ワクチンの時期を過ぎた患者さんでも、以前はよく来てくれていた患者さんが久しぶりに来られたときにお薬手帳を見て、ずっと他院を受診していたのを見ると、「ああ、かかりつけを変えたんだな、今日はそこが予約でいっぱいで仕方なくうちに来たのかな」って思うこともしばしばありますね。でも、実は逆に自分のところの予約がとれなくて、その患者さんは仕方なく他院を続けて受診していたなんてこともあるかもしれません。まさに男女のすれ違いのようですね。

 

結局、何が言いたいかというと、こういうのややこしいので、「かかりつけ病院」と思ってくれてるならなるべく「かかりつけ登録(6歳未満のみ)」をしてください!って話でした。「かかりつけ登録」って美味しいですよ、小児科医(私)に24時間電話相談出来るし、在庫不足のワクチンの融通も利くし、必要なら後々に発達外来にも入れますからね。

またまたホームページです。治療方針の総論を書きました。いかがでしょうか。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

またホームページですが、今回は私の治療方針の総論を書きました。いかがでしょうか?ご意見いただければ幸いです。以下転載。

 

治療方針:

私は小児科クリニックにおける治療はライザップでないといけない、つまり結果にコミットすることが重要と考えます。病気の治癒または寛解という目標達成のために全力を尽くし、責任を持って取り組むこと。そして患者医師ともに満足出来る状態になるよう最後まで伴走することだと考えています。慢性湿疹であれば、薬で湿疹が無い状態にして、そこから薬を減らしても悪化しない状態にすることですし、便秘であれば正常な便性と排便間隔にコントロールして、そこから減薬しても正常な排便が保たれるところまで行くことです。

 

残念ながら、薬だけ出して終わりのクリニックも多く存在します。その方がたくさんの外来患者を短時間で診れて、クリニックの収入も上がるし患者さんの待ち時間も短くなり良いこともあるでしょう。しかし、そこを受診した患者さんたちが自分流で薬を使って間違った治療をして、結局治らないまま子どもたちが苦しい時間を過ごしているのがしばしば見受けられます。とても悔しい気持ちになります、正しく治療していれば、正しい治療を教わってもらえていれば、この子たちは病気のストレスが無いもっと快適な時間が過ごせていたのにと。

 

私は効率良くたくさんの患者を診ていくことよりも、一人ひとりを確実に治療していくこと。そして、子どもたちの現在とそして将来が少しでも病気に悩まれない幸せな日々となるように努力していきたいと思っています。

 (2024/12/17)

当院の治療方針(基本方針) - 栗東よしおか小児科(公式ホームページ)

ホームページに今度は便秘の治療方針を書いてみましたがいかがでしょうか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ホームページに今度は便秘治療の方針を書いてみました。ご意見ぜひともお願いします。ブログでもインスタでもFacebookでも、コメントでもDMでも良いですし、質問でも苦情でも経験談でも要望でも何でも良いです。

 

以下転載です。

はじめに:

便秘というと便が出ない状態が続くことと思われるかもしれませんが、それだけではありません。確かに便が3~4日以上の間隔でしか出ないなどありますが、毎日出ていてもコロコロした硬い便が少しずつ押し出されるような排便も、特にそれに痛みや出血などの排便困難があれば立派に便秘として治療対象になります。子どもはこの排便痛などがあると排便を嫌がり我慢するようになり、ますます便が硬くなるという悪循環となります。小児では便秘により以下のような様々な障害が発生します。

・痔になる。

 子どもでも便秘を放置すると痔になります。

・体重増加不良の要因になる。

 出て行かないから食欲が落ちます。当然体重が増えません。

・オムツが外れない。

 トイレトレーニングが上手くいきません。便意を感じた時に容易に排便出来る状態を維持しないと難しくなります。また、トイトレ自体も便秘の原因となります。

・夜尿が続く。

 便秘があると膀胱機能が落ちるので、尿を夜間に膀胱に蓄えることが適切に出来なくなります。

・過敏性が強い子に便秘が多い

 疳の虫が強くて夜泣きや人見知りが極端に強く過敏な子は、やはり発達障害を疑いますが、発達障害に便秘を伴うことが多いのは明らかになっています。だから便秘が原因ではないでしょうが、日々のストレスを減らすためにも治療は積極的にするべきと考えます。

 

治療:

治療はまず便が溜まってる状態があれば積極的に肛門綿棒刺激や浣腸(イチジク浣腸など)、坐薬などで出すようにします。浣腸ばかりしてると癖になって自分で出せなくなるのではと心配されることがありますが、それは大丈夫です。むしろ腸に便を溜める癖をつけてしまう方が問題になります。

そして、定期的に受診していただき、内服治療(年齢や便秘のタイプにより薬は違います)で少し柔らかめの便が短い間隔ですっきりと出る状態をしばらく維持します。それから徐々に減らしていきます。もし減薬時期にトイトレが重なるならトイトレを優先して、オムツが外れてから減らすことが多いです。短いと1~2か月で終了出来ますが、通常は数か月、長いと数年継続することもあります。でも、便秘状態を続けるよりは上記のような二次障害を防ぐために治療を続ける方が良いです。なお、水分を多くとったり、野菜やヨーグルトなどの食事療法で治療を試みる方がいますが、現実的には食事だけで解決することはとても稀です。

 

 最後に:

薬の調整は必ず外来で相談して決めます。次回受診までの間でこうなったらこうするように的な指示をすることもありますが、基本的には当院で管理します。病院で一度にたくさんの便秘薬を処方してもらい、それを保護者の判断で勝手に飲んだり止めたりを繰り返して全然治ってないケースをしばしば見かけます。こういう時は薬も効きにくくなって、さらに治療困難になっていることが多いので、くれぐれも注意してください。

当院の便秘の治療方針 - 栗東よしおか小児科(公式ホームページ)

子どもの発達の遅れに直面したとき、不確実な将来を思い悩むのではなく今出来ることに目を向けるマインドに少しでも近付くこと

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

乳幼児健診だとか保育園だとかで発達の遅れを指摘された患者さんの家族から相談されることがあります。いろんな段階のいろんな遅れがありますが、2歳頃のまだ言葉が出てないか、単語が少ししか出てないくらいの子の話を書きます。

 

診察や発達歴から発語以外の精神発達も含めて確認していきます。それで発達全部がゆっくり進んでいるとか、発語だけがゆっくりで発達は正常だとか、発達に質的障害があっていわゆる自閉症スペクトラムの徴候があるかなど、見ていきます。正直にその見立てを家族に話します。多くの家族はこのへんの話は難しくて理解できないし、そんなことより将来この子がどうなるのかが一番気になっています。それに対してある程度の予測はつくけど実際にはわからないとしか言えないがほとんどです。

 

将来どうなるか正確な予測はつかないが、その時点でわかる情報から、どういうことをしていけばいいか、どんな関わりをするのが良いか、どんな遊びで、どういう環境で過ごすのが適切かなど、少しでも発達を伸ばすために(または発達を阻害しないために)一生懸命説明するんですが、あんまり伝わっていかない感覚を覚えることも少なくありません。

 

専門家として一人の子どもの未来の予測が、一般の人よりもほんの少しだけ高い確率で出来るのだけど、大きく外れることもあります。出来るだけ家族に良いことを言ってあげたい気持ちから、楽観的過ぎる見立てをしてしまう傾向もおそらくありそうです。実際、今やるべきことがわかれば、予測なんて立てる必要なんて本当はないとも思います。

 

重要なのは不確実な将来を思い悩むのではなく、今やらなきゃいけないこと、出来ることに目を向けていくマインドであり、それに少しでも近付くことだと思っています。家族にとって、とても難しくて時間を要することであるのは重々わかっていますが。

 

 

ホームページに当院の乳幼児の体重増加不良の治療方針を書いたのでご意見いただければ嬉しいです

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

今夜もホームページのコンテンツを増やしました。気が付けばクリニックのホームページを患者さんとともに作成していくという、なかなか画期的な企画となっています。こんなことしてるクリニックって他にあるんでしょうか?面白くて毎日更新してしまいます。今回は乳幼児の体重増加不良への対応についてまとめました。もっとこういうこと書いた方が良いとか、それは書かない方が良いとかあれば、ブログのコメントでも、インスタやフェイスブックのコメントでも、DMでも良いので、ご意見いただければ嬉しいです。

 

以下転載です。

当院の乳幼児の体重増加不良の治療方針

はじめに:

体重増加不良は乳幼児健診でも最も問題となる項目です。それは多くの疾患の症状として現れるからです。特に先天性の心臓や内分泌、消化器、血液などの病気が発覚するきっかけになります。ただし、実際にそれで病気が見つかることはそれほどなく、圧倒的に栄養摂取不足によるものが多いです。当院の体重増加不良への対応は、隠れた疾患を見逃さないように注意しながら、栄養摂取に関する問題点を検討して体重増加につなげる治療となります。

 

治療:

治療は年齢により異なります。乳児期早期であれば栄養は母乳やミルクが主体となるので、その時期の体重増加が十分でないときは授乳方法(授乳間隔やゲップのさせ方など)や母乳トラブル(乳腺炎など)が主たる原因となります。当院では母乳相談と栄養相談を利用していただくことで、ほとんどの方の増加率の改善がみられています。乳腺炎や乳口炎などでは治療薬を処方することもします。また、子ども側の原因として便秘や貧血などを伴うこともあり、必要に応じて治療や検査を行うこともします。乳児期後期以降になると離乳食を導入する際の摂取カロリーの減少や、子どもの便秘が増える時期でもあり、やはり栄養相談と医療的治療介入を同時並行して治療にあたります。そして、それ以上の年齢になっても体重増加が十分となるまでしっかりフォローしていきます。

 

 最後に:

特に生まれて間もない赤ちゃんの体重増加は、お母さんたちの育児の自信や充実感に直結しますし、そのトラブルに早期に適切に対応することは子どもの成長はもちろん、母子関係を良好に確立していく上で重要と考えています。そのため当院では母乳相談と栄養相談(健康相談)には特に力を入れています。定期予防接種のときはもちろん、他の理由での外来受診時にも出来るだけ体重計測を行うようにしています。育児において、授乳や栄養に関して不安や困りごとがあれば、気軽に受診相談していただきたいと思います。

 

当院の乳幼児の体重増加不良の治療方針 - 栗東よしおか小児科(公式ホームページ)