こんばんは。
本年4月に滋賀県栗東市に開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
今夜は点滴について。子どもの点滴を希望される保護者の方は一定割合でおられますね。老若男女問わずですが、ちょっと年配の世代が多いようです。そこで、冷静に点滴について考えてみましょう。
子どもに外来で入れられる点滴は通常200ccで、その中には塩分と少しの糖分は入ってますが栄養はほとんど入ってません。入院した子に点滴で入れる1日の水分量は10kgで1000ccですので、1回の点滴で1日分の2割が入るだけです。
点滴の時にじっとしてられるくらいの小学生以上の子なら良いです。しかし、熱や嘔吐があるとはいえ点滴を暴れて拒否できる程度の幼児の場合、親から引きはがされ、バスタオルにグルグル巻きにされ、2, 3人の自分より何倍も大きい大人にまたがられたり羽交い絞めにされて、無理やり針を刺されます、子どもなので細い見えにくい血管に入れるのですから1回で済むとは限りません、3回、4回と刺されることもしばしばです。
はい、ここで自分たちに置き換えて想像してみましょう。ただでさえ具合悪いところに、見ず知らずの自分より何倍も大きい200kg以上あるような小錦とか曙とか水戸泉みたいなのに囲まれて、上から乗っかられて押さえつけられて何度も針を刺されるんですよ。それでせいぜい一食分程度の水分が入るだけです。
どうですか?受けるストレスや恐怖と、得るものの割が合わないと思いませんか?暴れる元気無いほど脱水があったらどうかというと、それなら200mlだけ水分いれてもほとんど意味が無いので入院です。もちろん低血糖とかショック状態(血圧が下がってしまうくらい悪い状態)とかなら別です。
私たちが点滴を渋るのときは、決してめんどくさいからとかでは無いですよ。子どもにとって利益にならないからだというのを、わかっていただければと思います。