栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

鼓膜切開が減ったのは誰のおかげか?

こんばんは。

本年4月に滋賀県栗東市に開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

絶賛、オープニングスタッフ募集中です。やる気のある看護師さん、医療事務さん、医療助手さん、臨床検査技師(脳波可能な)さん、一緒に理想の小児科医院を目指しませんか?締切は今週末23日必着です。草津郵便局留めなので23日の朝に草津郵便局まで持ってきても間に合うと思います。詳しくは公式ホームページまで。

栗東よしおか小児科公式ホームページ http://www.ritto-yoshioka-child-clinic.com/

 

さて、今朝ヤフーニュースに出てた記事です。鼓膜切開が必要なほどの子どもの重症中耳炎が減ってるそうです。その理由を殺菌力の強い抗生剤の使用を新しいガイドラインが勧めるようになったからだとしてます。記事にあるデビペネムピボキシルというやつが商品名オラペネム、トスフロキサシンが商品名オゼックスです。

 

この記事を読んで、少なくない小児科医が「おいおい、ワクチンのおかげじゃね~の?」と思ってるに違いありません。記事にもある難治性中耳炎の主犯格である肺炎球菌もインフルエンザ菌も、ここ数年で普及してきたワクチンがカバーする菌です。私もワクチンだと思います、だってこの肺炎球菌とインフルエンザ菌による細菌性髄膜炎は激減してますからね。絶対そうだと思います。だいたい、学会のガイドラインに特定の薬品名が出てること自体、変な力が働いてるんじゃないかと勘繰ってしまいます。

 

ちなみにこの田舎もんみたいな名前したオラペネム。我々てんかん医にとっては迷惑なやつでして、バルプロ酸(商品名デパケン、セレニカ、バレリン、ハイセレニンなど)という抗てんかん薬において最大シェアを誇る薬と併用禁忌なのです。併用したらどうなるかというとバルプロ酸血中濃度をゼロ近くに下げてしまいます。この薬に頼ってるてんかんの方は、一発で大発作です。これまで続けてきた治療が水の泡になるばかりか、命に関わるくらいの発作になることもあります。私がバルプロ酸を始めるときは必ず文書にして患者さんに渡して、よそで薬を処方されるときには確認するように勧めてますが、本来責任は後から処方する医師にあるので、これを読んでいるお医者さんは注意してください。


子どもの中耳炎治療に殺菌力強い新薬 鼓膜切開減る傾向 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース