栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

麻黄湯とインフルエンザとRSウイルスと

こんにちは。

本年4月に滋賀県栗東市に開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

インフルエンザには麻黄湯が効くというのは、先日私も書きましたし、ネットで検索してもたくさん出てきますね。確かに効くことも多いですが、ある体質の人たちには強すぎることがあります。

 

漢方薬治療の考え方に虚実というのがあって、ざっくりいうと体が弱い体質を虚証、強い体質を実証として、それにより使う薬が変わります。虚証の人に実証系の薬を使うと強すぎて副作用が出ることがあります。葛根湯は中間からやや実証より程度なので、仮に虚証の人に使って効かなくても、それほど害は大きくないのですが、麻黄湯はしっかりとした実証系なので、ちょっと気を遣います。

 

赤ちゃんは小さくて、か弱いから虚証なのではと思うかもしれませんが、普通の赤ちゃんはほとんどが実証です。心臓病、便秘、喘息、体重増加不良などの持病があって通院してるとか、風邪ひくたびに入院するくらい悪くなるとか、でなければ、実証と思ってて大丈夫と思います。もちろん子ども全体でも同様ですが、年長児なら、よく朝礼などで倒れるとか、食が極端に細いとか、体調不良を訴えることが多いとかなら、一応注意します。

 

インフルエンザに限らず麻黄湯を使うと、身体が良い感じに熱くなる感じがして、布団に入ってると汗が出ます、汗だくになって夜中に目が覚めると、濡れた不快感以上に体が軽くなってて熱が下がり始めてるのに気付きます。この薬は、熱が上がってるのに汗が出てない段階が良いタイミングです。解熱剤を併用しても効かないことはないと思いますが、出来れば使わない方が効果が高いような気がします。

 

熱だけでなく急性の咳にも良く効きます。赤ちゃんの大敵RSウイルスの気管支炎にも良いのですが、生後半年未満の乳児が多いことや、インフルエンザに対する効果ほど知られていないせいか、あまり使われてないようです。RSウイルスにはインフルエンザのように直接ウイルスに効く薬が無いので、親御さんが希望されればぜひ使ってみたいと思っています。

 

とっくにお気付きのように、私は漢方好きですが、それに興味の無い患者さんに無理に処方したりしませんから(ていうか、ちょうど良い西洋薬が無い時や、患者さん自ら希望されない限りは勧めません)、ご心配なく。