栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

たかがオムツかぶれとはいえ、ひどくなる前に治療しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」です。

 

多分、初めてオムツかぶれについて書きます。最近、それほどひどくならない下痢主体の腸炎が地味に流行ってるようで、胃腸症状は軽度だけどオムツかぶれがひどい子をしばしば見かけます。オムツかぶれは他の部分の湿疹とは状態も治療もだいぶ違います。

 

他の部分の湿疹が乾燥肌をベースとして悪化するのに対して、お尻はオムツ内にあって湿った環境にあります。だから、乾燥肌の軽度の湿疹なら保湿剤だけで良くなることもありますが、お尻にぬると余計にベトベトするだけであまり意味が無いのです。なお、ぽっちゃり赤ちゃんの首の湿疹なども同様です。時々、ヒルドイドとかワセリンをせっせと塗ってくれてる方もいて、まあ保護剤としては全く無意味とは言えないと思いますが。

 

オムツかぶれの定番軟膏はエキザルベで、だいたい我々が研修医の時に初めに教わる薬です。一番弱めのステロイドと混合死菌浮遊液なるものが入ってます。この死菌浮遊液はなんだかよくわからないんですが抗菌作用があるそうです。ある痔の定番薬にも大腸菌死菌浮遊液が入ってるので肛門周囲の感染予防になるんでしょうか。

 

オムツかぶれで多いのは、湿った環境なだけあってカビ(真菌)感染を伴う時です。エキザルベを塗ってても一向に治らない時は可能性があります。理論上、カビにステロイドだけ使ってると悪化するので、エキザルベが効かない時は早めに受診しましょう。抗カビ剤を使わないと治りません。

 

私は亜鉛華軟膏をよく使います。これは白いセメントみたいな塗り薬で、余分な水気を取って炎症を抑える効果があります。ステロイドが入ってないので、1日に何度も塗り直すことが出来ますし、仮にカビでも悪化させることはありません(乾かす効果で幾分はカビにも効いてる気もします)。ひどいかぶれで皮膚がえぐれてるような時はこれでもかってくらいタップリ使って病変にフタをするような使い方もします。排便して拭くたびにやります。こうすると下痢便から物理的に保護出来ます。

 

というわけで、軽めのオムツかぶれには亜鉛華軟膏のみで、ちょっとひどい時にはエキザルベをかぶせて、かなりひどい時は上記の亜鉛華軟膏タップリ療法を勧めています。タップリっていうだけだとわかりにくいので、こちらが実演して見てもらってます。これでほとんど皆さん良くなります。先生によって治療は様々のようで、やっぱりワセリンを勧めてる所もあれば、アズノール軟膏を出されてる所もあります。アズノールは効くそうですけど私はあまり使ったことありません。

 

オムツかぶれとはいえ、えぐれるくらい進むとかなり痛そうですよね。ひどくなる前に早めに診せて下さいね。