栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

咳を減らすには空気の加温加湿の両方が重要です!

おはようございます。「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

咳というのは本来気道に貯まった分泌物(痰)を押し出すためにするもので、気管支炎や喘息の時にはその痰が増えたり気道が狭くなることで、咳が増えて、逆にその咳で身体がしんどくなるわけです。治療はいかに咳の原因になってる痰を柔らかく少なくするか、狭くなってる気道を拡げるかということになります。前者の痰を柔らかくすることについて出来るだけ吸気の湿度を上げて水分を供給することが重要になります。前置きが長くなりましたが、今回はこの吸気の加湿について。

 

中学校の理科の話になりますが、一定の空気に含むことが出来る水分量(飽和水蒸気量)というのは決まっていて、そのギリギリまで水分を含んでいれば湿度100%ということになります。その飽和水蒸気量は気温が高くなると上がっていきます。wikipediaによると10℃で9g/㎥、20℃で17g/㎥と倍近く違うので、10℃で湿度100%でも20℃に気温が上がると湿度は50%まで下がってしまうのです。

 

つまり、どれだけ外が雨で湿度の高い日でも、寒くてエアコンで空気を温めた時点で乾燥した空気になっちゃうのです。では、あまり暖房を使わずにコタツに首まで潜って室温を上げなければ良いかというとそうでもありません。人間の身体は37℃あるので呼吸で体内に入った空気は37℃に向かって温められます。ですから、湿度が高くても冷たい空気を吸うとその温度差で余計に体内で乾燥した空気になってしまいます。

 

というわけで、寒い時期の咳の治療は空気の加温加湿が重要で、そのどちらか欠けても気道内は乾燥して痰が硬くなって咳がひどくなりますよっていう話でした。部屋は暖房だけでなく加湿器を、外ではなるべくマスクをして吸気を温めるのをお勧めします。