栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

発達障害の応急処置やトリアージが出来る小児科医が増えれば良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

以下の記事、元ネタも目を通しました。発達障害者支援法が出来て10年たって、実態はどうなんってるかという報告ですね。ざっくりいうと、教育側には見逃すなよ、ちゃんと引き継ぎしろよって話。我々医療側には、診れる医者増やして、もっと早く診てやれよって話ですかね。

 

教育側(乳幼児健診も含めて)の見逃すなってのは実際なかなか難しいと思います。いろんな病気もそうですが、明らかになって後から振り返るとおかしかったよなってのがあるけど、現実にそれを漏れなく見つけるのは相当難しい。引き継ぎ出来てないってのは、我々もたまに見かけます。これは怒られてもしょうがない怠慢です。すごく大変だったけど頑張って何とか落ち着かせた事例で、次の学年や進学先に全く知らされてなくて、全く配慮がされなくなって悪化したときは怒りを覚えます。医療者も保護者も、教育側で個別支援計画が作られているかどうかの確認は必須です。

 

医療側の専門的に診る外来を増やせってのも無理があります。しっかり診ようとすると、初診で1ケースに1時間以上かかることも多いし、よほど落ち着いてるのでなければ再診でも数十分はかかります。発達障害に該当する子が全体の6%いて、実際にはそうでないけど疑われて受診する子も含めたら(さらにドタキャンする患者まで含めたら)、どれだけ外来枠を増やしてもパンクしますよ。

 

でも、実際に外来やってみると、すぐには細かい診断も投薬も必要ない子もいるし、とても発達障害とはいえない子もいます。そういう場合でも数か月待ちで受診されてるし、保護者の不安もあるので、時間かけて話をするんですが。反対にこれはもっと早く診てあげないといけなかった、かなりこじれちゃってる事例もあります。

 

私が考えるのは、専門的に診断まで下したり薬を出すのは出来ないけど(一般小児科医にとって精神科で扱う薬を出すのって心理的にハードル高いんです)、とりあえず今の状況ならこうしとけば良いよとか、逆に急いで専門医に診てもらった方が良いよとか、応急処置というかトリアージのようなことが出来る一般小児科医を増やすのが現実的な解決策と思います。誰がやるって?少なくとも校医をされてる先生は対応出来るようにすべきでしょう。当院でも発達外来としての初診は止めてますが、簡単に相談に答えたりはしてます(数分で終われるくらいですけど)。

 

今頃の小児科クリニックって「子育て支援」とか掲げてるところも多いですよね。発達の問題は子育ての問題なのだから、そういうところには堂々と受診して相談されても良いんじゃないでしょうか(ただし土曜とか夜診とか忙しい時間帯は避けましょう)。

 

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