栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

自然派で育児をしていきたいなら、あらゆる悲劇を受け入れる覚悟をもって

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。看護師、医療事務ともに募集中です!よろしくお願いします!

 

紙ではなく布オムツとか、離乳食は既製品ではなく必ず手作りとか、そういうのは全然良いと思います。いわゆる「自然派」というのでしょうか。そうでないといけないとも思いません。好きなら良いと思います。

 

でも、湿疹にステロイドは絶対使わないとか、ワクチンはせず自然に感染する方が良いとか。そういう自然派は困ります。それで無事に過ごせる子もいるでしょうが、一部の子は悲惨なことになります。体重が増えないのに完全母乳にこだわるのも賛成出来ません。母乳だけでは栄養が足りてないならミルクを追加すべきです、赤ちゃんにとって栄養不足は体の成長だけでなく脳の発達に影響します。自宅出産とかもありますね、出生直後に羊水を飲んだりして上手く呼吸が出来なくても、軽く吸引したり酸素を与えるだけで何の問題もない人生が送れるところが、自宅で出産するばっかりに吸引も酸素も無くて死んでしまったり、脳に重度の障害を負ってしまう子がいるかもしれません。

 

そりゃ大昔はステロイドもワクチンもミルクも、吸引器も酸素も無かったです。それでみんな上手く行っていたかというとそんなわけないのです(環境が違うから今よりアトピーは少なかったかもしれませんが)。今より多くの子が感染症や栄養失調で、死んだり重度の後遺症を背負って生きて行くことになったのです。そんな悲しいことを含めての自然なのです。「自然派」の育児をしたい人たちはその覚悟を持たないといけません。

 

私はそれが本来の人間の自然の姿でなかったとしても、自然に反する行為であったとしても、今最大限出来ることで子どもの命と健康を守っていきたいと思います。