こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
最近感染症も少なめになり、平日午前外来の後半はほとんど皮膚科になったかのように湿疹治療の患者さんが続くことがしばしばです。
当院では乳児湿疹もアトピー性皮膚炎も、治療の基本はプロアクティブ療法と呼ばれる、見た目の湿疹が消えてもすぐに薬を止めずにゆっくりと再発しないように外用回数を減らしていく方法をとっています。といってもどこかで減らさないといけなくて、そのタイミングの見極めは結局は私の勘に頼ることになります。開業以来かなりの数のプロアクティブ療法をやっていますがそれでも減らすタイミングに悩むことがありまして、何か指標になるものはないかと考えて導入したのが下の写真のものです。
経皮水分蒸散量(TEWL:transepidermal water loss)の計測器です。このTEWLは皮膚バリア機能の指標となり、湿疹が再発しにくい、乾燥しにくい正常なバリアをもつ皮膚かどうかを調べることが出来ます。皮膚に10秒ほど押し当てるだけの痛くも痒くもない検査です。参照:https://www.kao.com/jp/binkanhada/skin_02_06/
また、湿疹が治ってステロイド剤を減らしても毎日のスキンケア(保湿剤など)は欠かさないようにお願いしていますが、つい見た目がきれいだと保湿剤まで塗らなくなってしまう保護者もおられます。そうならないようにTEWL値を示して、まだまだ湿疹が再発しやすい状態で保湿剤は継続する必要があることを納得していただくのにも使っています。
実際問題、ステロイドのプロアクティブ療法にしろ、1日2回以上の保湿剤にしろ長期間続けるのは大変だと思います。でも、初めに頑張って皮膚のバリアを強くしてあげれば、将来的には湿疹が再発しにくい、保湿剤を多少さぼっても乾燥しにくい肌になるので一緒に頑張りましょう。