栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

おむつかぶれはステロイドを使わずに治します

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

今日は比較的地味なテーマでおむつかぶれです。意外と治らず悩んでいる方が多いです。治らないことの多くは頻回下痢などによる直接刺激が強すぎることと真菌(カビ)感染を伴いやすいことが原因です。

 

20年近く前、私も研修医の頃はおむつかぶれと言ったら、非ステロイド系抗炎症薬(アンダームとかスタデルムとか)かエキザルベ(一番弱いステロイド)でした。ところが、前者の非ステロイド系薬はほとんど効果が無い上に接触性皮膚炎を起こしやすいことがわかり、今小児科医で使う人はほとんどいません。しかし、たまに1ヵ月健診で診た産科の先生が出してたりして、悪化してることがあるので注意しましょう。後者のエキザルベは今でも小児科からよく出されていますが、真菌感染を併発すると逆に悪くなってしまいますし、頻回の下痢など合併すると攻撃因子の方が強くて治りません。そんなわけで私もエキザルベはほとんど使わなくなりました。

 

当院含め、おむつかぶれにステロイドを使わないところも増えています。おむつかぶれの治療はとにかく尿や便の刺激から皮膚を保護することと、真菌感染を悪化させないことが重要です。そこで治療の主体はこまめにおむつを変えて清潔にし、皮膚保護剤を頻回に外用(うちでは亜鉛華単軟膏ですがアズノールを使ってるところもよく聞きます)します。真菌感染があればだいたい皮膚を見ればわかるので、その際はこの保護剤治療に抗真菌薬も併用します。これでどんなにひどいおむつかぶれでも治らなかったことはありません。治らないときは保護剤の塗り方が薄いことが多いので、診察室で実際に塗って見せてどのくらい塗らないといけないか理解してもらいます。

 

ただ最近、エキザルベと抗真菌薬を混ぜて処方している病院もあって、そこに真菌感染があると治ってないけど、部分的に治ってたりして真菌かどうかもはっきりしない、訳がわからなくなってしまった状態で当院に来られる方もいます。こういうのは本当に困ります。これで治るケースもあるから処方されてるんでしょうか?理解に苦しむ。心当たりがあったら相談してください。

 

おむつかぶれは外見上目立ちませんが、赤ちゃんにとっては酷くなると四六時中その痛みに苦しむことになるので、肛門周りは時々よく観察して赤くなってたら早めに受診しましょう。