栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

親のアトピーがひどくても絶対に子どもの湿疹は治るので、積極的に治療に取り組んで欲しい

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

コロナと関係ないこと書きます。お子さんの湿疹の治療に積極的でない方がいます。ステロイドを断固拒否して他府県の○○病院まで行って治療しているような方ではないです。これはある意味熱心に治療されてると言えるでしょう。そういうのではなく、湿疹を指摘されて薬はもらうけど、指示通りに外用している様子もなく、治したいと気持ちが見られないような保護者です。

 

もちろんそれでは治りません。そんな保護者にはご自身が割と重症のアトピー性皮膚炎であることが多い印象があります。「自分がひどいアトピーだから、遺伝で子どもがアトピーになるのは仕方がない」とか、「自分もステロイドを塗ってきたが治らなかった」とか想いを聞かせてくれるお母さんもいました。

 

結論からいうと、それは全く間違っています。親が重症アトピーでも、子どもは必ず治すことが出来ます。理由はアトピー(湿疹)に対する治療方が全然違うからです。例えば、、、

昔:ステロイド剤は副作用があるからなるべく少なめに使う

今:ステロイド剤は必要量をしっかりとたっぷり使う(フィンガーチップユニット)

 

昔:ステロイド剤は副作用があるから長期連用をさけ、良くなれば早めに中止する

今:ステロイド剤は湿疹が良くなってもすぐに中止せず、塗る間隔を空けながら、皮膚の良い状態を保ちつつゆっくり減らしていく(プロアクティブ療法)

 

昔:そもそも保湿剤を子どもに塗る習慣がなかった

今:生後すぐからでも保湿剤を塗ることで湿疹を予防出来ることがわかった、また効果の高い保湿剤が作られるようになった

 

昔:ステロイド剤しかなかったり、ほとんど効かないばかりか接触性皮膚炎の原因になる非ステロイド系抗炎症剤(スタデルムだの、アンダームだの懐かしい!)がよく使われた

今:プロトピックのようなステロイドではない優秀な外用治療薬の選択肢が出来た

 

こんな感じです。昔っていってもそんなに前ではありません。ほんの10~20年前、下手したら今でも昔の治療をしてるところもあるかもしれません。ステロイド剤の考え方は今と昔ではほぼ正反対ですね。医療の世界は結構こういうことがあります。

 

保護者のアトピーがひどいかどうかは関係ありません、必ず子供の湿疹は適切に治療すれば良くなります。特に小さいうちから治療した方が上手くいきます。保育所入所、小学校入学、中学、高校となるうちに段階的に治療は難しくなります。なぜなら、皮膚を清潔に保てない、薬や保湿剤が塗れない時間が増える、本人が外用を嫌がる、体が大きくなり外用する範囲が増える、といった増悪因子が増えるからです。なるべく早い段階から、ぜひ積極的に湿疹治療に取り組んで欲しいと思います。