栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

乳児の頚定から独歩までの発達の遅れを心配している方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

乳児の発達で首が座ってから一人で歩くまでの段階の遅れで相談されることがしばしばあります。確かに頚定はほぼ3~4か月だし、独歩も1歳2か月頃までというのはわかるんですけど、この間の寝返り、一人座り、ハイハイ、つかまり歩きなどは個人差が大きくて、実は私も平均的な到達時期の記憶があいまいなくらいです。健診で指摘されるとしたら10か月健診だと思うんですが、どういう基準で保護者に指摘してるのかよくわかりません。

 

個人差というのは全体的な発達の速さというのもあるし、到達項目でいうと例えばハイハイをほとんどしないまま、つかまり歩きをしちゃうとか、そういう特性もあります。純粋に脳の発達の個人差によることもあれば、体重が平均より重ければその分寝返りは遅めになり得るし、自宅の環境でつかまるものが無い大広間で過ごすことが多ければ移動のためハイハイするでしょうけど、狭い部屋でソファとか机といったつかまる所がすぐそばにあれば、ハイハイよりもつかまり立ちが早くなるかもしれません。歳の近い兄や姉がいるかどうかや、早いうちに保育所に入ってるなどで同じ月齢の子との接触が多いかどうかでも違うかもしれません。

 

この時期の発達の遅れに関して私に相談したときに、診察を見たことがある方はわかると思いますが、寝返りさせてみたり、ハイハイさせてみたり、つかまり立ちさせてみたりなどはほとんどしません。足を引っ張り上げたり、腋をつかんで持ち上げたり、反対方向に腕を引っ張ったり、ハンマーであちこち叩いたりしてますね。筋力、筋緊張の発達を評価して、正常範囲か病的かどうか、病的なら病巣はどこかを診るチェック項目は、専門的には寝返りとかハイハイをいつ出来たかというのとは別次元にあります。

 

ということで、乳児期中~後期の発達は個人差が大きいので心配し過ぎないでください。もちろん不安ならワクチンのときにでも気軽に相談してください。