栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

アンチホクナリンテープの私がホクナリンテープの間違った使い方の話をする回

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

私はホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)のアンチです。ホクナリンテープは気管支拡張剤です。気管支が喘息などにより細くなって発生する咳に対して効果ががある薬であって、喉や声帯の炎症からの咳や、鼻汁や痰が増えて生じる咳には無効です。その上、他の去痰剤などと違い心血管系への副作用(動悸など)が起きることがあります。ですから、この薬の使用は医師の聴診により気管支が細くなっている状態を確認(または予測)した上で、効果が期待出来る状況に限って使用されるべき薬です。ところが、実際には多くの患者さんがストックしておいたこのテープを、「ちょっと咳出てるから貼っとこ~」みたいに超絶気軽に使われてしまっているからです。そんなの飲み薬にしたって同じですけど、飲み薬だと保存状態が気になるのか未開封のテープ剤は特に気安くは使われるようです。

 

そんな私でも止む得ず使うこともあります、例えばどうしても薬を飲めない子だとか、深夜~明け方に症状が出やすいケースは内服よりも効果が期待されるので処方することはあります。ですので、使うときは正しく使ってもらえるように少ししつこめに説明します。なぜなら、このホクナリンテープは間違った貼り方をしている方が非常に多く見かけるからです。ということで、今回わざわざ嫌いなホクナリンテープのよく見る間違った使い方について解説したいと思います。

 

①夜に貼って朝になったら剥がしてる

他院からホクナリンテープが処方されて続けてるという患者さんを診察するときに、どこを見ても貼ってないことがあります、どうしたのか聞くと朝に剥がしていると言われます。これは24時間貼りっぱなしにする薬です。朝剥がしたら、1日の半分は薬無し状態です。

 

②周りから浮いていて剥がれかけてる

当然ですけど剥がれてたら効きません。時々、ほんの一部で張り付いてるだけのこともあります。24時間剥がれないように背中など体動が少ない平らな部位に、汚れを落としてよく乾かしてぴったりと貼りましょう。

 

③きょうだいに処方されたのを貼っていて過剰(過小)投与になっている

この薬は6か月以上3歳未満0.5mg、3歳以上9歳未満1mg、9歳以上2mgです。間違えないようにしましょう。

 

とまあ、こんな感じです。こういうふうになりやすいから、内服が良いんじゃないかと私が思う理由でもあります。テープ剤に限らずですが、残っていた薬を自己判断で使うのは勧められないです。解熱剤くらいまでにしておきましょう。