こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。
不登校の小中学生が過去最多になっているそうです。良いですね。不登校してるみんなと、その家族のみなさん、ようやく時代が我々に追いついてきましたよ。というのは不謹慎な冗談としても、いわゆる学校がその子の居場所ではないというだけのことだから悲観的に考えない方が良いですね。
外来では、起立性調節障害(以下OD)で朝起きれなくて学校に行けない、片頭痛で学校に行けない、過敏性腸炎の腹痛で学校に行けない、、、と、何らかの身体疾患が原因で不登校になっていると相談されることが多いです。ODでも片頭痛でも過敏性腸炎も、その存在や診断を否定するわけではないですが、学校に行けない直接の原因ではないことがほとんどに思います。学校にいじめなどの解決しないといけない問題があったり、根本的に学校という環境がその子の特性(発達障害など)や知的レベルに合わない、そしてそれらの問題からうつ状態や適応障害が発症しているなどの可能性の方が高いように感じます。
ODや片頭痛や過敏性腸炎といった身体疾患の診断がつくと、「それが原因で学校に行きたくても行けないのね、かわいそうに、お医者さん何とかして」と家族も学校の先生もなりがちです。それぞれの疾患で薬物療法があるし多少症状は軽減することもあるけど、それで普通に学校に行けるようになることはほとんどありません。だって、直接の原因ではないんですから。でも、それに気付かずに本来早期にアプローチしないといけないこと(学校環境を見直すこと、発達障害や精神疾患に関して相談や受診すること、フリースクールや放課後デイといった学校以外の居場所を検討することなどなど)が後回しになっているケースが多い気がします。
こういうことになる要因として、子どもたち自身も学校に行かないためには、行きたくないという理由では通らないという、意識的にも無意識的にも思い込みがあるんじゃないかと思います。そのために身体症状が現れているのなら、解決策は一つです。もっと気軽に学校に行きたくないと主張出来るようになることではないかと思います。理由も正確に言えないが何となくどうしても行きたくないっていうのもありです(発達特性の問題のときはこれですよね)。それにはまず周囲の大人が、子どもの学校に行かないという選択肢を心から受け入れることが重要と考えています。言うのは簡単で、するのは相当難しいことですが。