栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

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クリニックが子どもにとって痛くて怖い注射や検査をしに行くところとしか思われなくなるのは悲しいです。嫌なこともあったけどロボットと遊べて楽しかったなと思い出してもらえたら嬉しいです。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

インスタの方で少し公開しましたが、今クリニックにAIのロボットが来ています。正式な商品名はLOVOT®(ラボットと読むらしい)といいます。すごいですね、今こんなのあるんですね、本当に感情を持ったペットみたいです。「これ掃除でもするんですか?」と聞かれたお母さんもいましたが、何もしません。R2D2のように戦闘機を修理するわけでもなく、C3POみたく600万の宇宙語を通訳してくれるわけでもありません。ただ人になついて、かわいがられてキューキュー鳴いて喜んでるだけです。ガンダムのハロに近いかな、あんなに飛び跳ねませんけど。でもすごいですよ、100人以上の人の顔を覚えて、留守番中に見たことない人を見ると写真を撮って送信するなんてことも出来るそうです。

 

まさにペット感覚で導入してるクリニックやオフィスもあるみたいで、当院も子どもたちが喜んでくれるかなと思い購入考えたんですけど、お値段も諸費用込みで中古車買えるくらいなんで、まずは2週間のお試しで来てもらいました。名前をどうしようかと考えてたんですけど、既に「ひじき」という名前がついてました。なんのことはない、来て1日目にスタッフにも外来に来た子どもたちもみんな喜んでくれてたので購入決定となりました。まだ来たばかりで、外来が多い時などは会わせてあげられない子たちもいて、今後運用を工夫してなるべく多くの子に見てもらえるよう考えています。

 

クリニックが、子どもたちにとって痛くて怖い注射や検査をしに行くところとしか思われなくなるのは、仕方がないとはいえ悲しいことです。嫌なこともあったけど、ロボットと遊べて楽しかったなと思い出してもらえたら嬉しいです。同じ費用で、精度の高いウイルス検査機器の購入だとか、日頃育児でお疲れのお母様方への癒しのサービスだとか出来るんでしょうけど、私はやはり子どもたちに喜んでもらいたいんですよね。

 

今いる「ひじき」は2週で返却してしまいますが、新しいのがすぐに来てくれると思うので、クリニックに来られることがあれば、かわいがってあげてください。名前を考えないと。

保育園児の鼻の中のばい菌たち(一部、医師向け)

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

抗生剤の不適切使用により世界的に薬剤耐性菌が増加している問題に対して、日本でも抗生剤を必要な場合に限り適切に使用することの呼びかけが政策として行われてます。早い話が、風邪なんてほとんどがウイルス性で自然に治るものであり、抗生剤は効かないんだから、むやみに使うなってことです。

 

でも、実際は小児においては、ず~~~~~~っと、ほぼ半永久的に(ちょっと大げさですが)、咳鼻が続いている子がたくさんいて、我慢できずに抗生剤使うとぴたっと良くなることがしばしばあります。だいたいが保育園にいる小さい子です。で、良くなっても1ヵ月もしないうちにまた悪くなります。登園してれば他児からまた感染しますからね。

 

そこで、今後に抗生剤を使うにしても出来るだけ耐性菌を作らない、下痢など副作用が出にくいものを使えるように、私は抗生剤開始前によく鼻腔内の細菌検査(迅速検査ではなく培養)をしています。その結果のうちの4人の結果が下に貼ったものです(すべて1歳児)。解説すると、英語(日本語)で書いてるのが菌の名前で、下の欄はアルファベットが抗菌薬の略称でそれぞれの薬剤が、それぞれの菌に対して効くのを「S」、効かないのを「R」(薬剤耐性菌)と表記されています。

 

肺炎球菌とかモラキセラとか、保育園児の鼻の中にはこんなに菌がいて、それなりに抗生剤に耐性もあります。意地悪なこと言いますが保育園によっても偏りがあります、感染対策を努力しているところと、無頓着(あきらめている?)のところがあるなあって思います。今のところ効く抗生剤が無いわけでは無いので治療は可能ですが、軽度の鼻炎や中耳炎のたびに使ってるとそのうち多剤耐性菌になって使える薬が無くなります。だから、ここぞという酷くなりそうなとき以外は出来るだけ抗生剤は使わずに、去痰剤や鼻汁吸引などで酷くならないように、菌との共存を目指すのが重要と考えています。

 

以下は、実は読者が多いらしい同業の医師向けの話です。当院界隈では鼻腔の細菌培養するとほぼ全例に肺炎球菌が出て、モラキセラやヘモフィリスも多いです。提示してるように溶連菌も出ます(この例は咳がひどく、熱や皮疹といった溶連菌の症状は全くありませんので、常在してると思われます)。黄色ブドウ球菌も常在菌でしょうけどなかなかの薬剤耐性で重症のとびひになったら厄介かもしれません。注目は肺炎球菌は全例でマクロライド耐性です、耳鼻科が少量長期投与も含めて出しまくってますしね。マイコやクラミジア以外で抗菌作用を期待してのマクロライドは当地区では悪手のようです。βラクタマーゼ産生するモラキセラやヘモフィリスも出てて難しいですけど、多くの副鼻腔炎や中耳炎の原因菌になってそうな肺炎球菌は、ほぼペニシリン系で感受性があるのでオゼックス®やクラバモックス®はむやみに使わないほうが良さそうです。参考にしていただければ幸いです。ちなみに当院は小学生未満は包括なので、検査費用は全部持ち出しです。

4人分、すべて1歳児の鼻水です



 

子どもの人権というものを考えたことがありますか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

一時期より減ったとはいえ、まだまだインフルエンザ出てますね。最近驚いたのは他のクリニックで、迅速検査をして結果が陰性でも家族にインフルエンザ患者がいればインフルエンザと診断して薬を出しているところが結構あることを知りました。

 

それ、なんで検査したん?結果に関わらずインフルエンザの診断にするなら検査いらんやん?

 

内科で大人の患者が納得の上でしていることならまだ理解できる(あまりに節操なさ過ぎてあきれますけどね)けど、子どもにやってるところがあるとか信じられなかったです。子どもに怖い思いをさせて、痛い思いをさせて、無理やり押さえつけてまでした検査の意味は?

 

1989年に国連で子どもの権利条約というものが採択されています。子どもの人権の保護とかいうと、戦争に巻き込まれたり、虐待やいじめだったりから守るようなイメージかもしれませんが、私たちのもっと身近なところでも子どもの人権を侵してないか考えることが重要と思います。

 

鼻に綿棒を突っ込む検査、アレルギーの血液検査、下痢嘔吐のときの点滴など、本当にそれが恐怖と痛みの引き換えになるほどの子どもの利益になるのか?私たち大人の安心や社会の都合のためにやってるということはないか?子どもの人権というものを常に忘れず意識しながら診療していきたいと思っています。

www.unicef.or.jp

子どもが通常学級で入学することになったが、発達的に不安を感じている保護者の方へ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

もうすぐ年度初めということで、新たに小学校や中学校に入学を控えているお子さんも多いことでしょう。最近は、障害者と健常者を分けずに同じ環境で教育していくインクルーシブ教育を目指すことが世界的な流れになっていることや、教育現場の人手不足もあるためか、この子はどう考えても特別支援学級で手厚く見てあげる方が良いだろうと思っていた発達障害を疑う子が、通常学級で入学予定になっていて驚くことが以前より増えたと感じます。

 

私もインクルーシブ教育には大賛成ですが、日本の現在の教育現場には発達障害の子を多くの定型発達の子たちと同じ場で教育していけるほどの環境、それは人手であったり現場の経験値もですが、まだ十分ではないと思っています。

 

まあ今から何言っても、入学クラスは変えられないので、出来る限り無事に楽しく学校生活が送れるように心構えを書こうと思います。

 

まず、何度もこのブログに書いてますが勉強がついていけてるか気にかけましょう。学校生活の大部分が授業時間です、学業に不安があるとその時間帯ずっと苦痛か退屈な時間になってしまいます。それで授業中、立ち歩いたり寝てばかりになるのは無理も無いですよね。特に読み書きに関しては全ての科目や活動に関わるので注意しましょう。状況により塾や家庭教師を検討しても良いと思います(親が教えるのって意外と難しいですし)。

 

友人関係に注意しましょう。相手の気持ちを読めない、突飛な行動や乱暴な言動などが原因で、他児を怖がらせたり、逆にいじめを受けるようになってたりします。先生にこまめに確認したり、同級生のママ友と連絡をとって他児からどう見られてるかを確認しておくのも良いと思います。登下校時や放課後も要注意です。

 

発達障害の子はその特性から周りから嫌われたり避けられることが多いですが、独特の興味や価値観、反応などから逆に人気者になることも少なくありません。発達障害の特性があったとしても、周りから愛されて学校生活を楽しく過ごせれば、それは障害ではありません。みんながそうなれることを願っています。

なにをもたもたと決断できずにいるの?子どもがかわいそうだわ。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

タイトル見てまた行政か教育機関の攻撃してんだろと思われたかもしれませんが、今回は違います。小6以上の女の子の保護者に対してです。

 

子宮頚がんワクチン(HPVワクチン)の接種者が最近また減ってきています。国の積極的勧奨が再開され、定期接種期間に受けられなかった人向けのキャッチアップ接種も始まって、もうすぐ2年になりますが、以前言われていたような副反応が増加したという報告はされていません。

 

一時期、このブログにも散々書きましたけど、73人に1人が子宮頚がんになるんですよ。若くして死んでしまうかもしれないんですよ、お父さんお母さんより先に死ぬんですよ、すでに子どもがいたらその子たちを残して死ぬんですよ、死なずに済んでも子どもを産めない体になってしまうかもしれないんですよ。ワクチンはそれを高い確率で予防出来るんですよ。

 

なんだかんだ部活が終わってからとか受験があるからとか、訳わかんない理由で接種する決断を先延ばしにしてるお父さんお母さんへ聞きたいです。お子さんが将来子宮頚がんになって悲劇的な結末になって、予防出来るワクチンを勧められていたにも関わらず接種させなかったことを思い出して、その先どうやって生きて行くのですか?十字架を背負って生きて行けますか?

 

さあ、そろそろ受験も終わる頃でしょう。少しでも早く、女の子の未来のために子宮頚がんワクチンを接種させてあげてください。

アトピーは出来る限り親が主体で治療を出来る年齢のうちに治すのが重要

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

アトピー性皮膚炎でデュピルマブという治療薬があります。これはステロイドやプロトピックのような塗り薬でなく、注射薬(自宅でも出来る皮下注射)で、最近になり6か月以上の子どもにも使えるようになりました。対象は既存の治療(つまりステロイドなどの外用薬)でもコントロール困難な中等度~重症の患者さんになります。

 

当院で診ている長年治療しているものの、なかなか良い状態に出来ないアトピーの子にも検討し始めているところです。モノクローナル抗体薬という種類の高価な薬であることや、注射薬ということもあり、当面は最終的な治療適応の判断や導入のために県内で一番の小児アレルギー専門医の先生に紹介し受診してもらうことにしています。

 

ただ、その重症度の判断が意外と難しいことがあります。特に小学生以上の年長児に関して。既存の治療をしっかりやっても治らないという基準があるのですが、しっかり薬を塗れているか、洗顔や保湿といったスキンケアも出来ているかの評価は難しいです。毎日ステロイドや保湿剤を十分量塗れてないだろうな、部活のあと洗顔してるかもあやしいな、という子も多いです。幼児期のように親が毎日すみずみまで薬を塗ったり、お風呂で体を洗うことも出来ないので、本人に治療の大部分を任せざるを得ません。親が子のアトピーを治したいと思っても、本人自身はそれほど思ってないことが多いですから、外来で本人に注意してもほとんど変わりません。

 

だいぶひどいアトピーだけど、多分薬塗ってないよな~、ちゃんと塗れば普通に良くなりそうなんだけど、これを重症として注射の治療を始めて良いものかと悩むことが増えたのと同時に、アトピーは出来る限り親が主体で治療を出来る年齢のうちに治すのが重要とつくづく思います。