栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

B型肝炎ワクチン定期接種開始がもうすぐです。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

9月に入りましたね、急に日が短くなっていき少しさみしい季節ですね。

 

お待ちかねのB型肝炎ワクチンの定期接種化(無料化)開始が10月に迫っています。まだ専用の問診表さえ市から送られてきてないので大丈夫かいなって思ってるんですがね。で、当院では接種控えしている方は少数派なので、それほど混乱はないと見込んでますがそれでも多めに在庫を備えています。でもでも、何せ今年4~7月に生まれて無料化を待っていた子たちが一斉に接種を始めますし、それに伴いついでに兄姉も有料でも接種希望される方もしばしばみえますからね(→おそらくそこまでは行政は予測してないだろうけど、こういう方が結構多い)。全国的にはやはり不足が懸念されます。

 

それと、ここからはちょっとややこしい話です。1歳未満での接種しか無料になりません。B型肝炎ワクチンは3回接種で、3回目は早くても1回目から20週経過後に接種することになってます。だから、例えば4月の初めに出生した子は11月半ばまでに1回目を打たないと、3回目接種出来るようになった時期には1歳に到達してしまい任意接種(有料)をしないといけなくなります。

 

10月以降のワクチンを予約できる小児科で接種される方は、早めに予約しておくことをお勧めします。

 

もうね、いきなり出荷停止になりますからね。本当にこの国のワクチン行政は全く信用出来ません。

 

麻疹ワクチン、今からでも急いで!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

当院の夏期休診は今日(26日金曜日)まで。明日から通常診療ですので、よろしくお願いします。

 

休診中に恐ろしい話。麻疹で発熱後の発疹が出現した日に結構な規模のコンサートに行った19歳の若者がいたというニュース。その場で彼の周辺に、どれだけワクチン接種済だが抗体が付かなかったか消えてる人がいたか、ワクチン未接種のもう論外の迷惑野郎がいたかで、今後どうなるか。カタル期(高熱で鼻と眼がドボドボの一番酷い時期、通常発疹が出る前)は過ぎて感染力のピークは過ぎてたと思いますが。

 

そう、麻疹っていうと発疹のイメージがあると思いますが、通常、発疹が出てくるのは発熱後3〜4日してからです。しかも、発疹も典型的なこともあるけど、中途半端に抗体が付いてるとわかりにくい発疹にとどまることもあり、意外と発疹だけでは診断がつけにくいことがあります。実は診断根拠となる所見は発疹出現前から出てくる口内のコプリック斑という白い斑点です。ぱっと見はミルクカスが残ってるんかなと思わせますが、こすってもとれないのでコプリックとわかります。

 

もし、これからの時期に高熱と鼻汁と眼脂がドボドボしていたら、発疹が無くても口の中を覗いてコプリック斑が無いか確認しましょう。それがあって麻疹の可能性が高いとなっても、よほど死にそうでなければ急いで受診する必要ありません。受診しても飲んでも飲まなくても変わらないような風邪薬と解熱剤が出るだけです。インフルエンザのタミフルみたいな特効薬はありません。ちょっと死にそうなくらいでは点滴も入院もさせてもらえず、病院側の一刻も早くお帰りいただきたいオーラ満載で気分を害するかもしれません。麻疹に関しては病気本人のことより、感染を拡大させないことが最重要課題なのです。

 

麻疹はまだ滋賀には入って来てない様なので、もし麻疹ワクチンが未接種な方はまだ間に合うかもしれません、早めに、翌朝にでも、仕事を休んででも接種しましょう。

 

小児在宅医療を今後どうしていくか?

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

小児在宅診療を初めて1か月半がたちました。ほぼ週2件ずつコンスタントに訪問しています。緊急での往診も何度かありました。まだ1か月半しかたっていませんが始めて良かったと思っています。私の特性に合っているのかもしれません。

 

まず多くの開業医が在宅医療を敬遠する理由であろう緊急の呼び出しですが、私はおそらく他の人よりも深夜に寝ているところを電話で起こされても腹が立ちません(よくわからないけどすっごい不機嫌になる人もいるそうなので)。また、基本的に飲酒をしないのでどんな時間でも運転して出かけることが出来るし、通常通りの診療が出来ます。24時間のオンコールも以前に離島で1人小児科医として勤務していたときはそれが普通だったのでそれほど抵抗はありませんでした。

 

重症心身障害の子たちもたくさん診てきたので、治療方針にそれほど困ることもないです。高齢者の看取り前提の在宅医療と違い小児はメインが病院主治医なので、いざというときは相談も出来ますから、1人で困ることは避けられそうです。

 

今後どうしていくかは現在検討中です。今はまさに通常診療の合間に行っている感じなので、これ以上増やそうとすると今やっている診療のどこかを削るか、他に非常勤ででも医師を雇うかしないといけません。そうしてまで増やして経営的に厳しくならないだけの患者数を確保できるのか?精神的にも肉体的にも自分の体力が持つのか?

 

ただ、自分のやりたいことよりも求められることをやって行きたいので、ニーズがあるなら前向きに考えていきたいと思っております。

クリニックを土足にした理由

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

うちのクリニックは土足です。これはそうするように頼みました。さらに駐車場から診察室まで完全にフラットです。これは頼んだわけでもなく出来たらそうなっていました。これの方が安上がりなのでしょうか。

 

土足にしたのはベビーカーがそのまま入れるように赤ちゃんのお母さんのことを考えて、、、ではありません。赤ちゃんくらいなら抱っこして入れないこともないですものね。大きなバギーで移動する障害児(者)の方でも容易に受診できるようにしたかったからです。自力移動が困難な障害児(者)は近くのクリニックを受診したくても、スリッパに履き替えが必要というだけであきらめないといけません。

 

先日の19人殺害犯の障害者を排斥する思想は極端だけれども、障害者を見慣れずに育った大人たちが意志疎通も取れないほどの重度障害者と初めて接した時には、重度障害者の生きる意味について悩むことは多いと思います。私自身そうでしたもの。地域には一定数の障害者がいるはずなのに、地元の小学校には行けず養護学校に集められ、近所のクリニックは門前払いで特定の大病院にしか受診できない障害児とは、健常の子どもたちはほとんど接することなく大人になっていきます。障害が有っても無くてもそれぞれの命を大切に思う気持ちを育むには、子どもの頃から障害者を身近に感じる環境を作っていくことが必要なのではないかと思っています。

 

というわけで、地域の皆さんの健康を守りたいという理念をお持ちなら、そこに地域の障害児も含めてくれるのなら、土足で入れるようにしてください。これから開業をお考えの先生方へ。

多少の悪化因子に負けない皮膚を!

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

アトピーの治療の話です。治療はステロイド外用剤や抗アレルギー薬内服以上に、スキンケアが超重要であることは疑う余地はありません。いくら強い薬を使ってもスキンケアで様々な悪化因子(汚れ、乾燥、日焼けなど)から守らないと、すぐに悪くなってしまいます。アトピーを自覚して本人自身が治療しようとする子などかなり少数派ですし、保育園、幼稚園、小中学校に行ってる間は悪化因子に対して何にもなされないので、そういう子たちは治療に難渋します。

 

最初ひどい湿疹だったのが何とか頑張って治療して随分良くなってたのに、保育所に入った途端一気に悪くなってがっかりすることもしばしば。最近なら、小学生はプールが始まって日焼けと乾燥(塩素たっぷりのプール後に保湿も何もしないので)で悪化してる方がたくさんいました。

 

保育所とか、よだれや食べ物で顔が汚れてたらサッと拭いて、チャチャっとワセリン塗っといてくれるだけでも全然違うと思うんだけど、ほとんど放置みたいで。最近の保育所の売り手市場の風潮でそんな要求聞いてくれるわけもなく。小さい子に関して言うと、一日中母が一緒にいれる育休中とか夏休みのような長期休みに、出来る限り皮膚を正常化して多少の悪環境下でも負けない皮膚バリアを作り上げておくしかないかと思っております。

ネット予約のワクチン枠がいっぱいの時は直接お電話下さい!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

8月に夏期休診させていただくことや、在宅のために枠を減らしたこともあってか、現在ワクチンのネット予約が取りにくくなっております。予定よりワクチン接種が遅れていたり、乳児期早期の方など、一般外来枠でも比較的余裕のある日時での接種もしていますので、電話で直接お問い合わせ下さい。

 

ご迷惑おかけします。よろしくお願いします。

熱性けいれんだから大きくなったら治るんでしょ?そうですよ、でもそれが本当に熱性けいれんだったらね。

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

熱性けいれん治療ガイドラインがちょっと前に、10年以上ぶりに改定されました。以前のガイドラインが今では考えられないくらい根拠が乏しい研究をもとに作られたものであったことや、頻度が多い割に長い期間ガイドラインが改定されなかったことがあり、個々の医者で治療方針がまちまちだったのは問題になっていました。

 

治療する側の心理として発作が起こらないようにしたいのがあるのか、過剰に治療されてる傾向があって、一回の短時間の熱性けいれんのために以後長期間(10年以上のことも)にわたり発熱するたびにけいれん予防の座薬を入れ続けてる子がいたりして。今回の新しいガイドラインは長時間止まらないけいれんがあったり、家族歴などの悪化因子がなければ、発熱時の予防座薬使用は不要としています。

 

でも、一方でやはりけいれんに関してもびっくりするほど楽観的な方がいます。5歳過ぎてガンガンけいれんしてるのに、熱性けいれんだからそろそろ起こさなくなるんでしょって思ってる方がいます。しばしばある誤解で「有熱時のけいれん=熱性けいれん」という認識です。発熱はてんかんを含めた多くのけいれん発作を起こしやすくなります。 熱性けいれんは多くが1歳前後に発症してほとんどが1〜2回で起こさなくなる、左右対称で数分で止まるけいれん発作で、遅くても5歳くらいで見られなくなるものです。全ての発熱時のけいれんが熱性けいれんとは限らないのです。

 

5歳過ぎて熱のたびに何度もけいれんしているようなら、限りなくてんかんなどに近い病気と考えて出来る限り発作を予防する必要があります。前述のガイドラインが示すように過剰な治療は不要とするのは、それが本当に熱性けいれんの場合に限ります。1回ごとの数分のけいれんで脳のダメージはほとんどありませんが、何度も繰り返すと少しずつ脳障害をひきおこすし、15、30分以上と長時間止まらないけいれんはそれ自体の悪影響に加えて、けいれんで呼吸が止まり血圧が下がることによる脳の酸欠で取り返しのつかない後遺症を残すことがあります。

 

けいれんを甘く見ないようにしましょう。