栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

ちゃんと予防接種してるのに発症してる子が多い?保健所は医療機関のワクチン保存管理状況を確認指導した方が良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。しつこいですが、看護師、事務、脳波技師を募集中です。

 

最近、ちょっと水痘が流行ってるみたいです。しかもワクチンをちゃんと2回接種してるにも関わらず発症してる方もちらほら見かけます。一定数は体質でワクチン接種していても効果がない方がいるのですが、ちょっと多い気がします。

 

それで気になってるのはワクチンの管理に関して、特に温度管理。ワクチンを保存するときの温度はワクチンの種類によっても違います。水痘やおたふくかぜワクチンなどの生ワクチンは5℃以下で凍結保存可ですが、ヒブや肺炎球菌などの不活化ワクチンは2〜8℃で凍結不可、インフルエンザやB型肝炎などは10℃まで大丈夫なようですがやはり冷凍不可です。理屈の上では全てのワクチンを2〜5℃で保存すれば良いのですが、なかなかに狭い範囲です。一般の家庭用冷蔵庫ではまず不可能でしょう。

 

当院では大学などの研究室用の保冷庫2台に保存しています。冷凍可能なワクチンは接種前までは冷凍で保存し、不活化ワクチンは庫内の場所によって間違えて凍結しないように少し高めに温度設定した保冷庫に入れています。接種直前のワクチンは全て同じ保冷庫ですが詰め込み過ぎて温度が上がり過ぎたり、逆に冷風が直撃して凍らないように気を遣っています。

 

医療機関によっては普通の家庭用冷蔵庫に無造作に詰め込まれてることもあるようです。インフルエンザワクチンくらいを余裕を持って入れておくには良いかもしれませんが(許容温度範囲が広いため)、生ワクチンを5℃以下をキープして保存するのはまず無理でしょうし、不活化ワクチンも詰め込まれて吹出し口の近くに置かれていたら凍ってダメになってるかもしれません。そういうワクチンではちゃんと水痘ワクチンを2回接種していても効果は期待出来ないでしょう。

 

現状ワクチンを仕入れてから接種までの管理は医療機関任せになっていますが、保健所などが各医療機関のワクチン保存管理の状況を確認指導をした方が良いように思います。折角、子どもが痛い思いをして接種するんだから、ちゃんと品質が保証されたワクチンを使ってあげたいですよね。