栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

これ点頭てんかん(ウエスト症候群)じゃないの?って心配になったときは

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

赤ちゃんの体がビクンと四肢を伸ばして首をうなずくような動きをすると、ネット検索で点頭てんかん(ウエスト症候群)を心配して受診される方がしばしばおられます。うちはてんかん診療をやってるのもあって、けっこう遠方から来られる方も多いです。同じような動きはモロ反射という正常な反射運動が有名ですが、これは日常では大きな音などに反応するものだし5か月以降は見られなくなるので、それに該当しないとなると一番にネットで出てくるものはてんかんしか無いかもしれません。

 

点頭てんかん(ウエスト症候群)は小児科医なら誰でも知っている超有名な難治性てんかんで、早期に治療開始しないと発作が止まらなくなったり、知的障害などの後遺症を残すと書かれてることが多いようで、焦った感じで皆さん受診されます。今は動画持参で来られるのでとても助かるんですけど、我々が動画を見てもはっきりわからない発作のことも多いです。脳波を録れば特徴的な激しい異常所見が出てるので、瞬時に白黒付くんですけど、直ぐに脳波が録れる環境ばかりではないですし、泣いて暴れてしまうと出来ない検査なので、上手く眠ってくれそうにない子は睡眠薬を使うなどなかなか簡単ではないこともあります。

 

ただある程度、外来診察や発作状況で目星は尽きます。まず、点頭てんかんは悪性の疾患ですので、そもそも元の発達が遅れている子や出生時に低酸素や低血糖などのダメージが合った子が多いです。また発症時は元気が無くなり、発達が悪くなってることが多いです。ニコニコして声を出したり遊んだりしてることは稀です。発作のときも前後で機嫌悪くしんどそうに泣いたりぐったりしてることがほとんどです。

 

早期治療が必要と言われていますし実際そうですし、ほとんどのケースは入院で強力な注射による治療を行うんですけど、その治療は発症から1ヵ月以内を目途に開始しています(多分今でも)。だから、発症して比較的早期に診断がつくと内服の抗てんかん薬やある種のビタミン剤などの効果を確認することもあります。つまり、1日を争うほどのものではないので、焦らずに検査方針などを立てる余裕はあります。

 

ですので、みなさんもの凄く心配になるのはわかりますが、冷静にかかりつけ医と方針を相談するようにしましょう。

 

なお、もしかして神経が専門じゃない小児科の先生もこのブログを見ているかもしれないので言っておくと、点頭てんかんを含む悪性てんかんも発症初期は発達も機嫌も良いことがあるので、初見時に大丈夫と思っても決めつけずに週単位で何回かはフォローするのを勧めます。私も最近絶対大丈夫と思った赤ちゃんが、念のため紹介した先で悪性てんかんの診断がついたことがありました。お気を付けください。