栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

朝ドラ主人公のような悲劇を繰り返さないために、おたふくかぜワクチンを接種しましょう

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ワクチンねたばかりですいません。今日午前外来終わりにたまたまSNSで今朝の朝ドラでムンプス(おたふくかぜ)難聴の話が出て来たことを知りました。まだ1回も見たことなかったのですが、昼の再放送を見ました。こういう話だったとは知りませんでした。

 

ムンプス(おたふくかぜ)難聴の発症したときの様子や、症状、予後の説明までわかりやすくされていた上に、家族の嘆き悲しむ姿まで描かれていました。40年くらい前の話で、当時のおたふくかぜワクチンがどれほどメジャーだったかわかりませんが、ワクチンに関しては全く触れられてませんでした。

 

今でも年に何人もおたふくかぜの子を見かけます、感染者の数百人に1人が発症するムンプス(おたふくかぜ)難聴は過去の病気ではありません。といっても、それは日本くらいで、先進国のほとんどがこのワクチンを定期接種化していて、過去の疾患になっています。情けないことです。

 

定期接種化しない国が悪いと言ったところで、難聴になってしまったら元に戻すことは出来ません。1回5000円くらいですが(2回必要)、朝ドラのような悲劇にならないために必ずワクチン接種しましょう。初回は1歳になってすぐ、2回目は年長くらいで、2回接種が必要です。

4月からの年長さんは出来るだけ早く麻疹風疹ワクチンを接種しておきましょう。いきなりワクチン不足になったときに困らないために。

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
 
事務、看護師とも採用が決まりましたが、看護師、事務、脳波技師ともにまだ募集中です。よろしくお願いします。
 
私的な忙しさもあってめっきりブログ書かなくなってしまっていました。すいません。また頑張って少しでも子育て中のお母さん、お父さんに役立つことを書いて行きたいと思います。
 
そして、今年度ももうすぐ終わります。先月末も書きましたが年度末区切りで定期接種期間が定まっているのが麻疹風疹ワクチンと子宮頚がんワクチンですが、今回は麻疹風疹ワクチンに関してです。2回の接種が必要で、定期接種は1回目は1歳になったときから、2回目は年長さんになった4月から翌年3月の1年間での接種になります。現在年長さん(もうすぐ小学1年生)で未接種の人はあと3日しかありません!
 
麻疹は前回の騒ぎはいつでしたっけ?数年毎に国内でも流行があってそのたびにワクチンが全国的に不足して、ちょっとしたパニックになります。人生においてたった2回接種すればそれで終わるワクチンなのに毎回そんな風になるのは、流行したときには「接種しなきゃ」と焦る大人が、終息するとそのまま忘れちゃうんでしょうね、パニックが落ち着いたらすぐ接種すれば良いのに。そして数年してまた流行したらパニくるという繰り返し。1歳や年長にならないと接種出来ない子どもたちにとってはいい迷惑です。
 
風疹の方ですが、これは罹患しても本人は軽く終わるので良いのですが、妊婦さんが感染すると胎児が「先天性風疹症候群」といって生まれつき難聴や心臓奇形、白内障などいろいろな病気を抱えて生まれることがあり問題になっています。お母さんだけでなく、お母さんに感染させたお父さんや周りも含めた予防接種をしていなかった大人たちのために、罪の無い赤ちゃんが犠牲になるのです。
 
情けないことに我が国のワクチン行政は本当にお粗末で、流行が起きてワクチン需要が一時的に急増したりとか、製造メーカーが何らかの理由で作れなくなると、あっという間に不足して一本も入荷出来ない事態に陥ります。本当にビックリするくらいいきなり無くなります。2回接種出来ていない大人はもちろんのこと、この春から年長さんになる子たちは4月になったら早いとこMRワクチンは接種しておきましょう。いきなり無くなってパニックにならないために。

子ども達を「かゆみ」というストレスから守るために

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近、園医を担当している幼稚園の入園前健診が続いています。うちに赤ちゃんのワクチンの頃からよく来てくれている子たちもたくさん来られました。開院してもうすぐ3年だから、その頃赤ちゃんだった子はもう入園前なんだなあと感慨深く思っていました。

 

それにしても湿疹(アトピー)の子が多い、子どもだから外見は気にしないだろうけど、掻き傷もひどく四六時中掻いているような子ばかりでした。これだけかゆい状態が続いていたら発達にも影響するんじゃないかって思います(エビデンスは無いと思いますが)、絶対ストレスになってますもんね。全員のお母さんにそれに関して話をしていたら、永遠に健診が終わらないので、よほど酷い子以外はスルーでしたけど。

 

でも、その中でもうちによく来てくれている子たちは、みんな肌がきれいで良かった。自分がやろうとしてきた結果が思わぬところで実感できてうれしかったです。赤ちゃんの頃から湿疹自体をコントロールすることと、お母さんのスキンケアへの意識と習慣を育てることは、後に子ども達を「かゆみ」というストレスから守るために大切なことです。うちではデビューワクチンのときから必ず意識して診るようにしています。

 

かといって湿疹治療は入園年齢から始めても全く遅くありません、乳児よりちょっとだけ治りにくいかもしれませんが。でも、いつだかも書いたように小学校に入ると途端に治療しにくくなります。子どもが傷がつくほどいつもボリボリどこかを掻いてるようなら、なるべく早めに治療に連れて行ってあげて欲しいと思います。

年長さんと高1女子は急いでワクチンを!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ほとんどのワクチンの定期接種対象期間(つまり無料で受けられる期間)は年齢で区切られてるのですが、MR(麻疹風疹)ワクチン2回目と、今話題の子宮頸がんワクチンのみ学年で区切られています。MRは年長さんの1年間、子宮頸がんは小6から高1までです。つまり期限が迫っています!

 

まだ接種してない人は、MRは3月末までに接種すれば良いですが、体調不良などで受けれなくなることも考えてギリギリにならないように早めに接種しましょう。

 

子宮頸がんは半年かけて3回接種なので、これまで全く未接種の人は3回目は残念ながら自費になりますが、2月中に1回目を接種すれば、2回目まで定期接種が可能です。

 

当院ではワクチンは直接電話で予約が可能です。大急ぎで接種しましょう!

インフルエンザの治癒証明は無意味です

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ、まだまだ看護師、医療事務、脳波技師を募集中です。

 

インフルエンザ騒動を振り返って。といっても、まだ結構おられるんですが、一時の殺到ぶりは落ち着いてきました。いろいろ思う事があったので、書いてみたいと思います。

 

まず、インフルエンザの患者さんも多かったですが、そうでない患者さんも多かった。普段ならこのくらいのカゼ症状なら受診しないであろう小中学生まで、念のため検査してもらえって言われて来られてました。当院では待合室は感染と非感染で分離してますが、感染待合でそれぞれの感染症の種類ごとに来院時から分離することなど不可能ですから、念のために受診して何かのウイルスに感染して帰ることになる可能性もあります。インフルエンザもカゼのうち。軽ければ部屋でゆっくり休んでいるのが一番です。

 

ふだんめったに来られない女子中学生が来院されるので、インフルエンザでふーふー言ってるのを尻目に、子宮頸がんワクチンを勧めることが出来ました。といっても、超絶忙しかったのでちょっとだけ話して、あとは私のオリジナルの子宮頸がんワクチンを勧める資料をお渡ししたんですけど。

 

改めて迷惑だったのは登校(園)開始のための治癒証明。そこかしこで既に言われてますが本当に無意味。水痘のように皮膚の状態を治癒基準にしているならわかりますが、インフルエンザの登校停止期間は発症日(発熱日)翌日から数えて5日かつ解熱した翌日から2日(幼児は3日)以上経過していることです。ですから、患者さんの自己申告をもとに我々は日数を数えるだけです。患者さんがウソついててもわかりません。ちょっと考えれば無意味であることくらいわかりそうなものなのに。別に忙しくないときなら良いですよ、すぐに終わりますから。でも、患者さんが多すぎて定数に達したらお断りせざる得ない状況で、治癒証明依頼目的の受診のために本当に診てあげないといけない患者さんが診れなくなるし、患者さん自身も無駄な受診のためにまた別の感染をもらうことだってあるのです。

 

実際、治癒証明を受診させてもらって来させる学校(園)は少数派ですが、意外と有名私立中学とかに多いです。通ってる子どもは賢いのに、学校自体はあまり賢くないようですね。

アトピーを一生の病気にしないために

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。まだまだ看護師、事務、脳波技師を募集中です!よろしくお願いします!

 

アトピーのなかなか治らない年長の子っています。小学生くらいなら、そんなに人目を気にしないかもしれませんが、どう考えても気になってくるであろう中学高校の女の子にも。で、その子たちはどうやっても治らない重症アトピーなのかと思いきや、ほとんどが薬をしっかり塗ればかなり良くなるのに続けられない子たちです。これは私はずっと不思議だったんです、塗れば治るのに。1日1回か2回。たっぷり手に取ってザザッと患部に塗れば2~3分以内で終わる。歯磨きに要する時間より短い。これを続けるだけで水着も着れるし温泉にも行けるのに。欲を言えば保湿剤は1日何度も塗って欲しいし、入浴はぬるめ短め、食事睡眠にも少しは気を遣って欲しいですが、そこまで求めません。そこまでしなくても薬だけでも続ければかなりのレベルまで良くなります。かなり懇々と説明して説得して塗るようになってくれる子もいますが、1~2ヵ月でかなり良くなって、これを続けてくれたら少しずつ弱い薬にしていこうと思っている矢先に結局続けられず悪化して振り出しに戻ってしまいます。もちろんステロイドを続けることへの不安感から止めてしまう人もいますが少数です。


これはもう性格と習慣の問題なのだろうなと思うようになりました。健康を害するくらい太った人はなぜそんなになるまで食べる量を減らさなかったんだろう?時間にルーズで信用を落とす人はなぜ早め早めに動き出すようにしないんだろう?部屋をゴミ屋敷にしてしまう人はなぜそこまでなるまでに片付け始めなかったのだろう(私のことです(笑))?と。わかっちゃいるけど出来ないんでしょう、私だってすぐに部屋も机も散らかっては一念発起して片付けて、これからはこまめに片付けようと思うけどまた散らかる。40年変わらないですもん。

 

性格は持って生まれたものなのでそう簡単には変えられないけど習慣は作れます。歯磨きや洗顔が習慣になってない人はほとんどいませんよね。そのレベルで子どもが幼いうちから、湿疹があるときは薬を、調子が良い時でも保湿剤などでスキンケアをする習慣をつけてあげることです。それにはまず自分で塗ることが出来る年齢になるまでは、親自身が子どもに薬や保湿剤を塗る習慣をつけることが大切です。年長になってもアトピーの治療は可能ですが、厚くなってしまった皮膚や掻き傷の跡まで綺麗にするのは難しいし、完成されたアトピー体質はなかなかしつこくて乳幼児より難治であることは間違いないです。

 

乳幼児の軽いうちにしっかり治療して丈夫な皮膚にしていくと同時に、皮膚をきれいに保ち、悪化時は早めに治していけるように外用を習慣化することが重要です。それにはまず親がそれをしないと話になりません。アトピーは命にかかわる病気ではありませんが、子どもの一生を左右するしつこい現代の慢性疾患でもあります。 頑張って行きましょう!

「熱が出たときのけいれん=熱性けいれん」ではありません

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

事務、看護師とも採用が決まりましたが、看護師、事務、脳波技師ともにまだ募集中です。よろしくお願いします。

インフルエンザがいまだに終息する気配が見えないこの頃です。インフルエンザによる発熱は熱性けいれんを起こしやすいことで知られていますが、やはりこれだけ流行するとけいれんで搬送になる子も多いようで、当院でインフル診断した患者さんも何人かけいれんを起こしたと聞きました。

そこで熱性けいれんの症状について確認です。典型的な熱性けいれんは「全身の左右差のない数分以内に止まるけいれん」です。この典型的なタイプを専門的になりますが「単純型熱性けいれん」と呼びます。非典型的には「10分以上続くけいれん、24時間以内に何度も起きるけいれん、左右差があったり、手足や顔などの体の一部だけのけいれん、ぼーっとするだけの症状(厳密にはけいれんとは言わないですが)」といったけいれんで「複雑型熱性けいれん」と呼んでいます。典型的な単純型けいれんであれば、救急車で運ばれても症状を確認されてすぐに帰されることになりますが心配ありません。しかし、典型的でない複雑型であれば熱性けいれんではなく、「てんかん」や「脳症」などの症状の始まりのことがあります。救急車でけいれんの子が運ばれてくると、ちゃんと熱性けいれんの診断のトレーニングを受けた小児科医なら必ず保護者にけいれんの様子を細かく確認します。もし複雑型に属するけいれんなら、状況にもよりますが入院してさらなる検査や経過観察を、自宅に帰すにしても十分注意して後日外来で経過を確認するなどするものです。

ところが最近、発熱にともなうけいれんで救急搬送されても、ろくすっぽ細かく症状を確認されずに「熱性けいれんだから大丈夫、帰っていいよ」って帰されている子をよく見かけます。よく確認すると、どう考えても単純型ではないことがあります。かなり心配しています。「てんかん」なら、その日だけ発作を見逃すくらいならそれほどの不利益はありませんが、「脳症」を見逃すことになると、その子の命と人生に関わってきます。

「熱が出たときに起きるけいれん=熱性けいれん」ではありません。こんなこと患者さんに言ってもしょうがないかもしれませんが(小児科医に言わないといけないのですが)、せめてけいれんの症状は手足がどうなっていたとか、顔はどうだったかとか、どのくらい続いたとか、細かく医者に説明しましょう。