栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

デビューワクチン頃の乳児期早期の湿疹治療はとても重要です

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

これから長きにわたりお付き合いするかもしれない赤ちゃんとは、初対面が2か月のデビューワクチンの時というのが少なくありません。2か月間ってけっこう長い時間ですっから、その間にも赤ちゃんにいろんな問題が既に発生していることがあります。前々回、前回に続きで、やはりしつこいですが皮膚トラブルについてです。

 

乳児湿疹がかなり進行しているケースを2か月デビューワクチンで見つけることがあります。聞くと乾燥肌だと思ってましたとか、ワセリン何度も塗ってましたとか、産科でもらったキンダベートとかクロベタゾン(両者は同じものです)を薄くぬってましたとか、それで何週間も過ごしていてひどくなっていることが多いです。ひどくなってからでも治療出来ますが、時間も手間もかかります。1週でも2週でも早く治療を始められていたら全然違ったのにといつも思います。

 

聞いたわけじゃないのでわかりませんが、赤ちゃんだって痒くてつらいと思います。痒くても上手く掻けないし、痒いと訴えることも出来ないのでストレスに感じてるはずです。手が顔に行くようになると、顔面の湿疹を掻いてしまい傷だらけになり、それを防ぐために手にミトンを付けらてるのを見ることがあります。順番が違います、ミトンではなく痒みを抑える治療をするのが先です。痒みの苦しみは変わらず、ミトンで手の微細運動発達が障害されて良いことないです。

 

また、この2~3か月頃から経皮感作といって、皮膚から食物成分が侵入して食物アレルギーの前段階が作られます。家族がこぼしたりして床に落ちた微細な食物に卵や小麦や牛乳などの成分が含まれてると、それが湿疹で荒れた皮膚から侵入して感作が成立します。乳児湿疹がひどい子ほど食物アレルギー発症のリスクが高いのはこれが理由です。健康な皮膚からはほとんど侵入しません。感作が成立してしまうと、原因食物の離乳食はかなり慎重に開始しないと食物アレルギーが発症します。ですから、湿疹はひどくなってからでも治療は出来ますが、それまでに経皮感作が既に起きていると手遅れなので、症状が軽いうちに治療開始したほうが良い理由の一つです。

 

ということで、赤ちゃんが思ってたようなきれいな肌にならないなと思ったら、デビューワクチンまで待たずに早めに小児科を受診しましょう。なお、皮膚科でも良いです、だけど皮膚科(一部の小児科も)ではしばしば薬だけ出して、治らなかったらどうするかなどといった今後の方針の説明が無いことが多いので、そこをしっかり確認するようにしてください。