栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

麻疹ワクチンが接種出来なくて憤ってる大人たちへ

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

現段階で、今回の流行に備えて成人の方が麻疹または麻疹風疹ワクチンを接種しようとしても難しいでしょう。なけなしの在庫は、乳幼児の未接種児に優先的にまわされています。未罹患またはワクチン接種歴が2回未満の成人の方に出来るのはさしあたり感染しないように祈るくらいでしょうか。手洗いもうがいもマスクも麻疹の予防には何の効果もありません、インフルエンザとは違います。

 

問われるのは、この騒ぎが落ち着いてワクチンの供給が安定した後に、接種できなかった大人たちが接種しに行くかどうかです。2007年の麻疹流行時、2013年の風疹流行時、今ワクチンが無いって騒いでいる大人たちは何をしていたのでしょう?その時も同じようにワクチンが無いって騒いで、流行が終われば忘れてそのままだったのでしょうか。それとも自分には関係ないって無関心で過ごしたのでしょうか。2007年でも2013年にでも、後からでも麻疹風疹ワクチンを接種していれば、今回ワクチンを探してあちこちの病院に電話する必要もなかったのです。

 

麻疹も風疹も一生に何度も接種しないといけないワクチンではありません。流行がある度に気が付いて皆が接種していれば、それだけ未来の流行は抑制されるのです。いくら接種しても免疫がつかない方も、ワクチンそのものが接種出来ない病気の方もいます。その方々を守るためにも、今回の流行が終わった後でも麻疹風疹ワクチンを打ちに行きましょう。

 

追記:麻疹ワクチンではなく、麻疹風疹ワクチンを打ちましょう。妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守るために風疹を流行させないことはとても大切です。

問題行動を放置するのが良いわけがない!

こんばんは。
滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

現在発達外来は諸般の事情により新患をストップしているので、最近はあまり発達障害関係は書いてこなかったのですが、これだけはやらないで欲しいことでしばしば聞かれることを書こうと思います。

 

問題行動を放置することです。一番多く聞かれる具体的な例は授業中の立ち歩きや勝手な行動を教師が無視していることです。先生に言わせると、障害なのであまり注意しない方が良いと思ったとのこと(本音は?)。

 

確かに多動症の子が他の子と同じように45分間着席のままで授業に集中し続けるのは難しいです。かといって、何にも注意されず放置されてるとそれが好ましいことかどうかがわからなくなってしまいます。

 

そこで一つの策として、みんなと同じ様には出来なくても本人に合わせて低いハードルのルールを作りましょう。座っていられなくなったら先生に挙手して許可を得ることにするとか、教室外へ出たいときには行先と時間を決めておくとか、15分おきに短かい休憩時間を作って教室外へ出ても良いことにするとか、、、。本人と話し合って頑張れそうなレベルのルールを作る、それに関わる大人たちは周知して注意や指示が人により変わらないようにする。ルールが守れたときは目に見える形で評価する(シールやコインを与えるなど)のも良いでしょう。

 

これは別に学校の授業に限ったことではなく家庭内でも同様です。やみくもに強く叱りつけるのも問題ですが、何にも言わずに好き放題させておくことも同様に避けるべきです。

風邪のときの薬に関するよくある質問。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

しばしば風邪薬処方のときに質問があることにお答えしたいと思います。

①粉(散剤)とシロップ(液剤)はどっちが効くのですか?

おそらくどっちでも変わらないと思います。飲ませやすい方で良いです。どうしてもどっちか選ぶなら粉ですかね。小分けになっているから衛生的っていうくらいの理由です。

②解熱剤は飲み薬と坐薬はどっちが効くのですか?

これもおそらくどっちもそう変わらないと思います。坐薬はしんどくて飲めない時でも入れられるメリットがあるけど、本人が嫌がって暴れるときは大変ですね。ときどき嫌がる子で、坐薬を濡らさずに入れられてることがあります、乾いたまま入れるとそりゃ痛いです(表面を少し溶かしてヌルヌルにして肛門に馴染ませて入れましょう)。ご注意を。

③1日2回と3回はどちらが良いですか?

1年以上前にも書きましたが、多くの薬では3回の方が良いと思います。薬ってのは飲んでしばらくしてすっと薬物血中濃度が上がって、ゆっくり下がっていきます。薬には効きやすい有効血中濃度というのがあって、それを超えて上がると副作用が出やすく、それより下がってしまうと効き目が弱くなります。薬の分量は1日総量で決める(1回量ではありません)ので、1日2回にすると1回量が多くなって、ドーンと濃度が上がって、下がるのも早くなります。3回だとそれがなだらかになる。つまり3回の方が副作用は出にくく、効いてる時間も長いってことです。ただし、最初にドーンと濃度を上げて、さっと下げる方が効きが良く副作用も少ない薬も一部あります。私の意見としては去痰剤などの風邪薬くらいなら2回でも3回でもあんまり気にしなくても良いと思います、抗生剤は使うときはしっかり効いて欲しいので何とか3回で飲んでもらうようにお願いしています。ほとんどの薬は食後と薬袋に書いてあっても食前や空腹時でも良いし、朝・昼・夕が保育所などで無理なら朝・夕・眠前でも構いません。

 

当院では薬を飲ませたり、坐薬を入れるのが初めての保護者の方には、診察後看護師から詳しく説明しますので、遠慮なくお申し出下さい。

お母さんの麻しんの免疫があてにならないのに、赤ちゃんの定期接種が1歳からしか出来ないのっておかしくないですか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

さて、麻疹ワクチンがうちの地域でも手に入らなくなりました。だから、もうワクチンを勧めることはしません。以下、ひとりごとです。

 

現在、最も危険なのは全く麻疹ワクチンを接種してない(もちろん罹患もしてない)方で、まあこれは当然過ぎて特に言うことありません。注意が必要なのは、平成20年の2回のワクチン接種を定期化(このとき漏れが無いように中3、高3にも接種が出来るようにされた)の対象にならなかった平成2年4月より前に生まれた方々。またはそれ以降に生まれていても、その時期のワクチン接種を促す通達を親御さんが無視して接種してない方です。つまり現在のお父さん、お母さん世代ですね。高齢者は麻疹がまだしばしば流行っていた時期を経験しているし、子どもも2回の定期接種をしているので比較的安心です。ところで赤ちゃんはどうなの?

 

そう、以前から疑問だっけどこのたび改めて感じているのですが、1歳にならないと麻疹ワクチンが定期(無料)接種出来ないということ。これは1歳未満の乳児期は母体から免疫をもらってるから大丈夫という根拠なのですが、その母世代の抗体が下がっているから不十分だ、ワクチン追加接種すべきだという話になってるのって。これ、明らかに矛盾してますよね。母体からの抗体があてにならないなら、もっと早く乳児のうちから定期接種にすべきじゃないのでしょうか?実際麻疹風疹ワクチンの添付文書には年齢に関係なく接種出来ることになっていますし、リスクが高ければ6カ月からの接種も勧められています。なぜ、もっと早くから定期接種にしないんでしょう?

 

このたび乳児へ麻疹が感染しないかとても心配しています。対策としては、まずは家族が感染しないように最大限の努力をすることです。ワクチン以外には、おそらくそれしかありません。

 

追記:もし1歳未満で接種されても1歳からの定期接種は通常通り進めることになっています(1歳未満での免疫獲得が弱いことがあるため)、ご注意下さい。

B型肝炎ワクチン定期接種開始がもうすぐです。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

9月に入りましたね、急に日が短くなっていき少しさみしい季節ですね。

 

お待ちかねのB型肝炎ワクチンの定期接種化(無料化)開始が10月に迫っています。まだ専用の問診表さえ市から送られてきてないので大丈夫かいなって思ってるんですがね。で、当院では接種控えしている方は少数派なので、それほど混乱はないと見込んでますがそれでも多めに在庫を備えています。でもでも、何せ今年4~7月に生まれて無料化を待っていた子たちが一斉に接種を始めますし、それに伴いついでに兄姉も有料でも接種希望される方もしばしばみえますからね(→おそらくそこまでは行政は予測してないだろうけど、こういう方が結構多い)。全国的にはやはり不足が懸念されます。

 

それと、ここからはちょっとややこしい話です。1歳未満での接種しか無料になりません。B型肝炎ワクチンは3回接種で、3回目は早くても1回目から20週経過後に接種することになってます。だから、例えば4月の初めに出生した子は11月半ばまでに1回目を打たないと、3回目接種出来るようになった時期には1歳に到達してしまい任意接種(有料)をしないといけなくなります。

 

10月以降のワクチンを予約できる小児科で接種される方は、早めに予約しておくことをお勧めします。

 

もうね、いきなり出荷停止になりますからね。本当にこの国のワクチン行政は全く信用出来ません。

 

麻疹ワクチン、今からでも急いで!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

当院の夏期休診は今日(26日金曜日)まで。明日から通常診療ですので、よろしくお願いします。

 

休診中に恐ろしい話。麻疹で発熱後の発疹が出現した日に結構な規模のコンサートに行った19歳の若者がいたというニュース。その場で彼の周辺に、どれだけワクチン接種済だが抗体が付かなかったか消えてる人がいたか、ワクチン未接種のもう論外の迷惑野郎がいたかで、今後どうなるか。カタル期(高熱で鼻と眼がドボドボの一番酷い時期、通常発疹が出る前)は過ぎて感染力のピークは過ぎてたと思いますが。

 

そう、麻疹っていうと発疹のイメージがあると思いますが、通常、発疹が出てくるのは発熱後3〜4日してからです。しかも、発疹も典型的なこともあるけど、中途半端に抗体が付いてるとわかりにくい発疹にとどまることもあり、意外と発疹だけでは診断がつけにくいことがあります。実は診断根拠となる所見は発疹出現前から出てくる口内のコプリック斑という白い斑点です。ぱっと見はミルクカスが残ってるんかなと思わせますが、こすってもとれないのでコプリックとわかります。

 

もし、これからの時期に高熱と鼻汁と眼脂がドボドボしていたら、発疹が無くても口の中を覗いてコプリック斑が無いか確認しましょう。それがあって麻疹の可能性が高いとなっても、よほど死にそうでなければ急いで受診する必要ありません。受診しても飲んでも飲まなくても変わらないような風邪薬と解熱剤が出るだけです。インフルエンザのタミフルみたいな特効薬はありません。ちょっと死にそうなくらいでは点滴も入院もさせてもらえず、病院側の一刻も早くお帰りいただきたいオーラ満載で気分を害するかもしれません。麻疹に関しては病気本人のことより、感染を拡大させないことが最重要課題なのです。

 

麻疹はまだ滋賀には入って来てない様なので、もし麻疹ワクチンが未接種な方はまだ間に合うかもしれません、早めに、翌朝にでも、仕事を休んででも接種しましょう。

 

小児在宅医療を今後どうしていくか?

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

小児在宅診療を初めて1か月半がたちました。ほぼ週2件ずつコンスタントに訪問しています。緊急での往診も何度かありました。まだ1か月半しかたっていませんが始めて良かったと思っています。私の特性に合っているのかもしれません。

 

まず多くの開業医が在宅医療を敬遠する理由であろう緊急の呼び出しですが、私はおそらく他の人よりも深夜に寝ているところを電話で起こされても腹が立ちません(よくわからないけどすっごい不機嫌になる人もいるそうなので)。また、基本的に飲酒をしないのでどんな時間でも運転して出かけることが出来るし、通常通りの診療が出来ます。24時間のオンコールも以前に離島で1人小児科医として勤務していたときはそれが普通だったのでそれほど抵抗はありませんでした。

 

重症心身障害の子たちもたくさん診てきたので、治療方針にそれほど困ることもないです。高齢者の看取り前提の在宅医療と違い小児はメインが病院主治医なので、いざというときは相談も出来ますから、1人で困ることは避けられそうです。

 

今後どうしていくかは現在検討中です。今はまさに通常診療の合間に行っている感じなので、これ以上増やそうとすると今やっている診療のどこかを削るか、他に非常勤ででも医師を雇うかしないといけません。そうしてまで増やして経営的に厳しくならないだけの患者数を確保できるのか?精神的にも肉体的にも自分の体力が持つのか?

 

ただ、自分のやりたいことよりも求められることをやって行きたいので、ニーズがあるなら前向きに考えていきたいと思っております。