こんばんは。
またまた告知。当院では4月から働ける看護師を募集中です、興味のある方はお気軽にお問合せ下さい!
ワクチンやウイルスを専門に研究していた方が、ワクチン反対という意見を言うとすごく説得力があるようですね。そりゃそうでしょう、ワクチンの隅から隅まで知っているのでしょうから。でも、その著書を読んで我々がすごく違和感があるのはなぜか検討してみました。
まず「ほとんど」とか「まれ」の基準があまい。インフルエンザでも肺炎球菌でもヒブでも感染して脳炎や髄膜炎になることはほとんどないですって。ほとんどってどの程度のことを言うのでしょう?小児科でそういった病気の診療している側からすれば、小児科医人生で1回見るか見ないかなら「ほとんどない」「まれな」と言えるでしょう。でも毎年数例を診るようなら完全に頻度が高い方に入ります。確率にしたら1/100とか1/1000とかになるのでほとんどないと思うかもしれませんが、その確率でも所属している学校や住んでいる地域から毎年数人ずつ発生していると考えたらどうですか?それでもほとんどないからワクチンなので不要と思いますか?
そして、疾患の重篤さをわかってない。細菌性髄膜炎は発症しても今の救急医療体制ならほとんど治せるようなことを何が根拠か知りませんが述べておられます。いくら医学が進歩しても、何も治療出来ないことなんてしょっちゅうです。急速進行型の脳症なんて、もう何やってもけいれんは止まらないは、あっという間に脳は破壊されていくし、もうどんな治療をしても火事をコップの水で消そうとしているような感じです。逆に急性散在性脳脊髄炎やギランバレー症候群といったワクチンをきっかけに比較的頻度が多く発症する疾患を重篤そうに書かれていますが、両方とも治療がほぼ確立されていて、こちらこそほとんど後遺症なく完治します。どのくらいかというと、私ごときでもそれぞれ両手で数え切れないほど診ていますが1例を除き全例治っています(その1例は発症から治療開始まで1週間と極端に遅れたケース)。
この手の著者に関して総じて言えることは、ウイルスの性質やワクチンの中身をよく知っているだけで、実際の病気がどのくらい発生して、どんな治療をされて、どのような経過をたどるとか何にも知らずに書いてるんですよ。参考までに無数にあるハチャメチャな記載の一部を下に挙げときますね。
ヒブや肺炎球菌が常在菌だから免疫力が極端に落ちているごくまれな場合に髄膜炎なるだけとか(→普通に健康な子に発症してますよ)、生まれて半年以内にごく近くに結核菌を排出してる人がいる以外はBCGは必要ないとか(→全国すべての結核菌排出者が把握されてるとでも思ってますか?)、今の日本には感染症で亡くなる赤ちゃんはもうほとんどいませんとか(→はあ?突っ込む気にもなれない)。。。
もう、ホントにめちゃくちゃです。