栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

顔を引っ掻くのを予防するためにミトンを付けっぱなしにすることが微細運動の発達に影響しないわけがない

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

赤ちゃんのときに、自分で顔を引っ掻いて傷をつけるからと、手にミトンをつけている方がしばしばおられます。顔の乳児湿疹がひどい子などに多いですよね。

 

あれは私は明らかに良いものではないと考えています。人間の運動発達は大きく分けて粗大運動と微細運動に分けられます。粗大運動は寝返りしたり、歩いたりといった大きな運動の発達で、微細運動は手をつかって字を書いたり、箸を使ったりといった細かい運動の発達です。それはもう生まれた瞬間から始まっていて、触れたものをつかんだり、口でしゃぶったり、まじまじと自分で眺めたりといった行動がそれです。ミトンを付けっぱなしにして、その微細運動の発達を妨げにならないわけがない。

 

ネットで赤ちゃんミトンについての記事を見てると、発達には影響ないって書いてるのもあって、もう信じられないですね。どんだけ商品売りたいんだって思います。エビデンス(研究結果)は無いかもしれませんが、わかりきったことは誰も研究なんてしないですしね。

 

湿疹がかゆくて掻いてるなら、それをミトンで防ぐのは本末転倒ですから、ちゃんと湿疹の治療をしましょう。それでも引っ掻いて傷つけるのが気になるなら、せめて目が行き届く時間帯はなるべく外すようにしましょう。