栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

すいません、インフルエンザの薬出します。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

先日、他院でインフルエンザと診断されたけどタミフルを出してもらえなかったのでと受診された人がいました。健康な子にはタミフルなど使わずとも自然治癒するからと説明されたそうで。

 

確かに日本の抗インフルエンザ薬消費量は世界最大で、使いすぎによる耐性ウイルス(薬が効かないウイルス)の増加を心配されています。インフルエンザなら必ずタミフルなどのインフルエンザ薬を使わないと治らないと思われてる方が多くて、流行期の休日診療所では医者はロボットのようにインフル検査をしてタミフルリレンザを出すの繰り返しを強いられることがしばしばです。患者さんもそれだけが目的で医者の診察も説明も求めてない方も多いので、「もう検査キットもタミフル自動販売機で売って、勝手に自分で検査して勝手に薬飲めばいいじゃん」という愚痴が毎年聞かれます。

 

そんな中で前述の例のように、必ずしも抗インフルエンザ薬は必要ないことを説明し、インフルエンザと診断しても薬を出さないように努力されている熱心な先生も最近は増えているようです。

 

実際にどれくらいインフルエンザの薬剤耐性ウイルスが出てるか確認すると、年によっても違いますが1-4%ほどで、特にタミフル耐性のH1N1型(以前に新型と言われていたやつ)が多いようです。今シーズンはまだ出てないみたいでした。この数を多いと見るか少ないと見るかは難しいですが出ていることは確かで、一気に増えることも予想されます。

 

で、結局その前医でタミフルを出してもらえなかった患者さんに私がどうしたかというと、タミフル出しました。そのあえて処方しなかった先生、申し訳ございません。私は原則的にインフルエンザと診断された方には薬を出しています。

 

私のたいして多くもない経験でも脳症などの重篤な合併症になるのは、決して小さい赤ちゃんに多いわけでも、持病があって普段から体が弱い子に限られてるわけでもありませんでした。普通に健康に生活している子が突然発症していました。インフルエンザ薬を早期に始めてれば重症化が防げたかどうかもわからないし、薬の効果は有熱期間を1日短縮するだけと言われていますが。将来耐性ウイルスに苦しむ子どもが出てくるかもしれないけど、私としては目の前の患者さんを確実に治して行きたい、重症化を回避する出来るだけのことをしたいと思うのです。

母「40℃出ていて軽症ってことはないですよね」、私「40℃の熱だけで済んでるんだから軽症ですよ」

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

先日、予防接種をしていたけれど40℃の熱が出てインフルエンザと診断された子のお母さんとの会話です。


母「予防接種は意味が無かったってことですね」
私「確かにインフルエンザワクチンは発症は予防出来ないことが多いようだけど重症化予防にはなると思います」
母「40℃出ていて軽症ってことはないですよね」
私「40℃の熱だけで済んでるんだから軽症ですよ」

 

私たちが思っている重症と患者さんたちが思ってる重症とは随分違うようです。インフルエンザの重症というのは、呼吸が出来なくなり人工呼吸器につながれて集中治療室で治療しないといけなくなるほどの重症肺炎や、永久に目を覚ますことのない植物状態となる脳炎や、いきなり心臓が止まり死んでしまう心筋炎のような合併症を起こす例のことです。

 

40℃の熱が数日続いたくらいで治ったんなら軽く済んで良かったと思って下さい。それくらいインフルエンザは怖いウイルスなんです。

受付患者数の上限は999人です。

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

変わらずインフルもそれ以外の感染も多いですね、近くの病院の託児所では季節外れの手足口病が大流行してるようです。週明け月曜とか、なぜか水曜の今日までも朝からたくさん来院されて、てんやわんやでした。長くお待たせした方々、 申し訳ありません。

 

現在、当院ではインターネット予約システムで1日の受付外来患者数の上限を999人としています。つまり上限はありません。受付時間内にネット予約や直接来院された方はどれだけ多くなっても全員診るようにしています。もちろん、何か不測の事態が発生したら受付を打ち切るしかないのですが、今のところ打ち切ったことはありません。午前外来が午後の予防接種外来や訪問診療までに終わらなさそうになることは今日も含めて度々あったし、途中で受付停止しようか悩んだこともありましたが。少なくとも、夜診や土曜など、その後に別の用事が入っていなければ、全員診ます。

 

朝になって子どもが高熱だとか喘息発作だとか起きた時に、いざ、かかりつけ医にかかろうとしたら、「本日の外来枠はもうありません」なんてつれないでしょう。私はそういうふうにはしたくないのです。

 

ただ日曜や木曜午後の休診の時は診れません、ごめんなさい。お困りの際は医院の留守電に連絡先を入れてくれれば私の携帯に転送されるので、可能な限りコールバックしますのでご容赦下さい。

どれだけ忙しくなっても丁寧に診察することを忘れずにいたいと思います

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

2週間続けた診療時間についての希望アンケート調査が終わって、今日集計していました。インターネット予約受付開始時間、診療開始時間、予防接種外来時間、夜診療の開始と終了時間などに関してです。まだ細かく分析出来てないのですが、概ね現状のままで良いという意見が全ての項目で最多でした。また意外だった(実は少し予想してました)のが、夜診療は終了時間延長するより開始時間を早めて欲しいという意見の方が多かったことでした。

 

そして、自由記載の欄も作っておいたのですが、いろいろとクレームも含めてご意見をいただきました。それで少し驚き嬉しかったのが、多くの方に「いつも丁寧に診ていただき感謝しています」と、まるで「丁寧に」という言葉が選択肢にあったかのように、その言葉を使って評価いただいたことです。

 

これは私が特段意識していたわけではなく、具体的にどういうところでそう思ってもらってるのかわからないのですが、自分としては普通に診察していたのを丁寧に診ていると評価いただけていることは、とても自信になりました。ありがとうございます。これからもどれだけ忙しくなっても丁寧に診ることを忘れずにいたいと思いました。

予防接種外来枠はどうあるべきか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

最近受診いただいた方はご存知と思いますが、現在診療時間についてアンケートを行っています。ひょっとしたら診療時間を要望を参考に変更するかもしれません。

 

大きな焦点の一つは午後の予防接種専用時間帯です。現在は基本的に予防接種のみの時間帯として、感染症などの一般外来の受診はご遠慮いただいています。そして出来るだけ予防接種はこの午後の時間に、どうしても学校などで都合がつかない方のみ夜診や土曜の一般外来の中で接種しています。

 

こういうふうにした理由は、一つは一般外来の合間に予防接種が混在するより集約した方が効率が良く、スタッフのミスが生じる可能性も低いと考えたこと、 もう一つは感染の問題です。

 

現在一般外来の時間帯でも、感染症の患者さんと、湿疹や便秘などの非感染患者さんとは待合室、診察室ともに分けています。しかし、それでも駐車場で接触することもあるでしょうし、感染患者さんがそうとわからず非感染待合に入っていたこともありました。蕁麻疹や湿疹の悪化と思って受診された方が実はりんご病や溶連菌感染だったりと。現在は出来るだけスタッフの予診段階で気が付けるようにしていますが、いくら待合を分けても感染リスクをゼロ には出来ません。

 

予防接種に来て別の病気をもらって帰るほどバカバカしいことはないですよね。少しでもそういうリスクを減らすために、場所だけでなく時間帯での隔離をしたくて午後を予防接種専用枠とした次第です。なお、予防接種に来られた方も時々患者さん自身や保護者が風邪ぎみという方がいて、もう一つの別の待合室で待っていただくようにしています。

 

一方で幼稚園帰りなどに受診出来るように午後にも一般外来を希望される方もおられます。基本的に求められるニーズに応えて行こうというスタンスなので、アンケート結果によっては見直すかもしれません。ご意見があればメッセージをいただければ幸いです。

春の集団生活開始前に麻疹風疹、水痘、おたふく、B型肝炎のワクチンを必ず接種しましょう

こんにちは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

もう1月も終わり年度末に近付いて来ましたね。4月から小学校、幼稚園、保育園などの集団生活が始まる予定の子たちも多いのではないでしょうか。ランドセルなどの準備も必要ですが、集団生活でもらう感染症ワクチンの確認も忘れずにしておきましょう。

 

つい半年前に騒ぎになった麻疹は、みなさんほとんど忘れかけてるかもしれません。天災と同じで忘れた頃に感染症はやってきます。その時になって慌ててワクチン接種しても効果が出るまで数週はかかりますし、これまでに一回のみの接種しかしてないと効果は不十分となります。麻疹(麻疹風疹混合)ワクチンは未だに出荷制限はかかっていますが、以前ほどは入手困難ではなくなっています。今のうちに接種しておきましょう。

 

また、水痘やおたふくかぜもコンスタントに小さい流行は見られています。水痘は治療薬があるし、ほとんどが1、2週もすれば治りますが、水痘では水疱跡が顔などに消えずに残ることもあるし、脳炎や脳梗塞を合併することもあります。おたふくでの難聴は今まで考えられていたよりも多いと言われています。この二つのワクチンも2回接種が主流です。受けた記憶がある方も必ず母子手帳で確認しておきましょう。

 

最後にB型肝炎ですが、これは唾液や涙などの接触が多いと考えられる年少児は特にですが、集団生活で感染リスクが高くなります。このワクチンは半年かけて3回接種で終了するので、実はもう4月には間に合いませんが、しないよりマシです。定期接種に該当しなくても必ず接種しましょう。

 

まとめます。麻疹風疹、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎の4種のワクチンを就学、就園、入所の前に必ず接種しておきましょう。年度末ギリギリに打っても効果が出るのに時間がかかるので間に合いませんからね!出来るだけ早くに!

 

発達障害の応急処置やトリアージが出来る小児科医が増えれば良いと思う

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

以下の記事、元ネタも目を通しました。発達障害者支援法が出来て10年たって、実態はどうなんってるかという報告ですね。ざっくりいうと、教育側には見逃すなよ、ちゃんと引き継ぎしろよって話。我々医療側には、診れる医者増やして、もっと早く診てやれよって話ですかね。

 

教育側(乳幼児健診も含めて)の見逃すなってのは実際なかなか難しいと思います。いろんな病気もそうですが、明らかになって後から振り返るとおかしかったよなってのがあるけど、現実にそれを漏れなく見つけるのは相当難しい。引き継ぎ出来てないってのは、我々もたまに見かけます。これは怒られてもしょうがない怠慢です。すごく大変だったけど頑張って何とか落ち着かせた事例で、次の学年や進学先に全く知らされてなくて、全く配慮がされなくなって悪化したときは怒りを覚えます。医療者も保護者も、教育側で個別支援計画が作られているかどうかの確認は必須です。

 

医療側の専門的に診る外来を増やせってのも無理があります。しっかり診ようとすると、初診で1ケースに1時間以上かかることも多いし、よほど落ち着いてるのでなければ再診でも数十分はかかります。発達障害に該当する子が全体の6%いて、実際にはそうでないけど疑われて受診する子も含めたら(さらにドタキャンする患者まで含めたら)、どれだけ外来枠を増やしてもパンクしますよ。

 

でも、実際に外来やってみると、すぐには細かい診断も投薬も必要ない子もいるし、とても発達障害とはいえない子もいます。そういう場合でも数か月待ちで受診されてるし、保護者の不安もあるので、時間かけて話をするんですが。反対にこれはもっと早く診てあげないといけなかった、かなりこじれちゃってる事例もあります。

 

私が考えるのは、専門的に診断まで下したり薬を出すのは出来ないけど(一般小児科医にとって精神科で扱う薬を出すのって心理的にハードル高いんです)、とりあえず今の状況ならこうしとけば良いよとか、逆に急いで専門医に診てもらった方が良いよとか、応急処置というかトリアージのようなことが出来る一般小児科医を増やすのが現実的な解決策と思います。誰がやるって?少なくとも校医をされてる先生は対応出来るようにすべきでしょう。当院でも発達外来としての初診は止めてますが、簡単に相談に答えたりはしてます(数分で終われるくらいですけど)。

 

今頃の小児科クリニックって「子育て支援」とか掲げてるところも多いですよね。発達の問題は子育ての問題なのだから、そういうところには堂々と受診して相談されても良いんじゃないでしょうか(ただし土曜とか夜診とか忙しい時間帯は避けましょう)。

 

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