栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

発熱に対する感覚(熱について②)

こんばんわ。
平成27年春に滋賀県栗東市で開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

小児科外来、特に救急時間外外来でですが、子どもの状態を心配し過ぎる保護者の方と心配しなさ過ぎの保護者の方がおられます。今日はその過ぎる方について。

 

何を心配になるのが多いか思い出してみると、
・とにかく熱が高いこと
・解熱剤で熱が下がらないこと
・熱が続いてること
あれ?熱ばかりですね。そう、熱に対する感覚が我々と最もずれているようです。
子どもの発熱の特徴は高熱になりやすく(40℃越え)、熱が上がる時の勢いが強いこと(解熱剤は歯が立たない)です。

 

夜中に高熱で外来受診して、小児科医に一生懸命に高い熱の経過や坐薬で下がらないことを訴えてるのに、軽く聞き流されて、食事摂れてますか?水分摂れてますか?おしっこ出てますか?と質問された経験ないですか?そう、何度の熱が出てるかや坐薬が効くかどうかは大きな問題ではなく、栄養が摂れてるか、脱水になってないかの方が重要なんです。通常の感染などによる発熱(熱中症などではない)で脳に障害を起こすこともないし、解熱剤が効かないことが重症である事を示すわけでもありません。

 

熱が何日(4,5日以上)も続いていて下がらないと受診されることも多いですね。そんなに前からの熱なのになんで夜中に受診するんだと私も若い頃は憤慨してましたが、自分も親になると、夜になると急に不安になってくるもんだと分かるようになりました。で、数日前からの熱は細かく1日1日の体温を聞くと上がったり下がったりしつつ、1日の体温のピークは下がってきてることもあり、それなら心配ない事が多いです。40℃近くに張り付きの高熱なら、入院治療が必要な感染症川崎病などの病気のことがあり、注意が必要です。

 

てなわけで、夜に熱が出たからといって、あわてて寒空の中、受診しなくても良いことがわかっていただけたでしょうか?どうしても高熱がかわいそうということなら、そういう時のために市販のでも良いので子供用の解熱剤を常備しとくのも良いと思います(実際のところはすぐさま熱を下げる必要は全くなく、熱を下げても早く病気が治ることはありません)。

ただし、3,4ヶ月未満の赤ちゃんになると話は別です。髄膜炎や敗血症になりやすく急速に悪化することがあります。高熱の時はすぐに受診して下さい。