栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

母乳や栄養のお悩みはなるべく早く相談を

こんにちは。栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

生まれて間もない赤ちゃんで、「なんか母乳が足りてないみたいでよく泣くんですけど、ミルク足した方が良いですか?」みたいな質問されることがあります。本当に母乳が足りてないなら必ず体重増加が悪いので、体重がよく増えてたら泣くのは母乳の問題では無いでしょう。体重が増えてなくて不足が疑われるときも飲ませ方に問題があるケースが多いようです。私は全くわかりませんが、当院の授乳指導をしてる保健師助産師によると乳首のくわえ方が浅いことが多いらしいです。相談いただければ実際に授乳しているところを見せてもらい指導させていただきます(もちろん私ではない)。その他には赤ちゃん自身の筋肉や神経、心臓の病気などで飲めないこともあります、程度によっては精密検査が必要になります。このへんはもちろん私の担当です。

 

母乳や栄養のお悩みの解決は早いほど良いので、気になったらデビューワクチン(2ヵ月)まで待たずに相談受診していただければと思います。なお、授乳に関する相談は対応出来る保健師助産師がいないときもありますので、明らかに授乳に関するときはあらかじめ電話で確認いただければと思います(ワクチンのときには大概います)。

不登校を何とかしたい

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

時期柄なのでしょうか最近不登校の相談が多いです。発達障害不登校などの新規相談外来は停止したままなのですが、もともとかかりつけとして受診してくれてた方には極力相談には乗るようにしています。開業して4年が過ぎて、小さい頃からよく来てくれてた子が学校に行きにくくなって親子で困っている様子を見ると、私も心が痛みます。

 

何とかしてあげたいとは思うけど、学校での情報が全く無いとかかりつけ医としても手の出しようがありません。自閉症スペクトラムでそもそも学校という環境に馴染まないのか、いじめがあるのか、新しい担任の対応が悪いのか。原因により全く対応が異なりますから。

 

皆さんに話していますが、一つ言えるのは学校側には複数の先生に対応してもらうことが大切です。担任が一人で対応してないでしょうか?不登校は最初が肝心です。なかなか複数対応をしてくれないときは校長先生に直接相談することを勧めています。学校として組織で対応してもらうようにしましょう。ていうか、いつの時代も一定数の不登校は存在するはずなのに、いまだに初期対応のマニュアル化も出来ていない学校が多いのには閉口します。

 

「学校なんて行かなくたって」と開き直るのも状況によっては止む得ないかもしれませんが、子ども自身の自己評価はやはり下がりますし、昨今の引きこもり問題も頭をかすめると、何とか解決して登校出来るならして欲しいですよね。

 

滋賀レイクスターズの選手が来てくださいました!

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

このブログには医療や育児に関すること以外は書かないルールにいつからか決めていたのですが、最近ちょっと楽しい出来事があり記事にしてしまいます。

 

一昨年から滋賀のプロバスケットボールチーム(Bリーグ)である「滋賀レイクスターズ」に広告を出しています。先月をもって今シーズンの試合がすべて終了ということで、昨日営業さんと選手二人が挨拶に来てくださいました。背の高い方がプロ1年目若手有望株の紺野ニズベット翔選手、もう一人はBリーグのファンなら誰もが知っているベテランで副キャプテンの伊藤大司選手です。二人に来てもらったのは実は当院スタッフのずうずうしいリクエストだったりします。二人ともフレンドリーにサインや写真撮影に応じてくれて、たくさん話もしてくれて、スタッフみんな大喜びでした。今シーズンは二部リーグに降格を危ぶまれるほど負け試合が多かったのですが(なんとか残留)、来シーズンはもっと勝ってくれると約束してくれました。もう今から9月の開幕が待ち遠しいですね。

 

写真はそのときにいたスタッフと、たまたま来ていたスズケンの担当さんとで、記念撮影。

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脱ステ治療の全部がデタラメではないでしょうが、あまりに勝ち目が乏しく失うものが大きいです

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

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しばらくいわゆる脱ステロイド治療として一切ステロイドを使わずに湿疹の治療をしている方を見かけなかったのですが、最近になりたまたまか数人の方を診る機会があったので、ちょっと思うところを書いてみようと思います。

 

うちは乳児湿疹もアトピーも全力ステロイド推しでやっています。などと別に偉そうに言うことではなく、現在最も標準的に勧められている治療をやっているだけです。ネットで脱ステ治療をやっている方のブログや治療記録を見ていると、目を背けたくなるようなひどい状態の赤ちゃんが数ヶ月~数年経過してきれいになったという記事をみかけます。別にどこかの健康食品会社や医療機関の記事ではないので、嘘が書かれているわけではないと思います。私の知っている脱ステしている患者さんもまあひどい状態から治っていませんが、半年以上経過して変わらず脱ステしている割には悪化がそれ以上進行せずに止まっているようにも見えました。

 

おそらく脱ステしてきれいに治る子がいるのは事実なのだと思います。でも圧倒的にひどい状態のままの子の方が多い。ごく少数がステロイド中止して自力で治るのじゃないかと思います。理由はわかりませんが、どこかの時点から体がこのままじゃヤバいと感じて自身の体内からステロイドを作るようになるのかもしれません。でも、治る子だとしても数ヶ月~数年はかなりひどい状態を続けています。

 

乳幼児期って心や体の発達にとても重要な時期です。あまりにひどい血が滲むような広範囲の湿疹で低栄養になったり、一晩中眠れないほどのかゆみを経験させることが、子どもの心と体の発達に良いわけがない。そんなことしてまで勝率の少ない、運良く治るにしても発達を犠牲にして脱ステ治療を続けますか?

 

上述したように当院は標準的なステロイド治療をしているだけですが、ごく軽度の方を除き原則治るまで(保湿剤だけで良い状態を維持出来るまで)、しつこいくらいに再診予約をとり継続定期受診をしてもらっています。その都度、薬の塗り方やスキンケアなど確認して指導し、状態に応じて薬を増減していきます。治るまで離しません。多くの皮膚科や小児科のように薬だけ出して次回受診の指示もせずに、ちゃんと良くなっているかの確認もしないような治療はしていません。ときどき薬が無くなるまで来なくなる患者さんもおられますが、そういう方には当院での治療をお断りしています。だってそれでは絶対に治らないし、薬が欲しいだけならドラッグストアをおすすめしています。

 

ステロイド治療が全例デタラメとは言いませんが、その治療はあまりに勝ち目が乏しく、失うものが大きい、そこまで顔中、体中を血だらけにして、地獄のようなかゆみに何ヶ月も耐えてまで選択する治療ではない。乳児湿疹やアトピーは正しくステロイドを使えば、そんなに苦しまずとも治る病気なのです。

 

0.005%の副作用リスクを恐れて、74人に1人が罹患する子宮頸がんの予防機会を捨てますか?

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。
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子宮頸がんワクチンの話です。全部で3回接種です、高1(女子のみ)の3月末までが定期接種対象期間です。2月中に1回目を接種して、3月末に2回目を接種すれば、3回中2回は無料です(当院で接種してるサーバリックスなら)。3回目は6ヶ月後なのであきらめて自費で接種しましょう。当院では希望者には接種前に痛み止めテープを貼ってから接種しています。注射の痛みが怖い子でも大丈夫です。

 

副作用が心配ですか?回復しない重大な副作用は0.005%です(もっと低いと言う専門家もいます)。それに対して子宮頸がんは女性74人に1人が罹患します。私はいつも外来で不安がる保護者さんに、「外出すると車に轢かれるのが怖いからずっと自宅にこもってるようなもの」と説明しています。正確な確率の数値として同等かわかりませんが、まあそのくらい限りなくゼロに近い低い確率ということです。

 

どのワクチンでも言えるのですが、これだけ勧められて接種させず、これでもし自分の子どもが将来子宮頸がんになったら、その先その十字架を背負って生きていけますか?最後にもう一度言います、74人に1人が子宮頸がんになるのです。

発達障害かなと心配になったら、まずかかりつけ医に相談を

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

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発達外来の初診が数ヶ月待ちなので、発達の異変に気付いてもすぐに専門医に診てもらえずに不安を募らせる親が少なくないという記事でした(下にリンクあり)。

 

かくいう私も開業前に、その数ヶ月待ちさせている発達外来をやらせてもらっていた時期がありました。その患者さんたちは、

  発達障害の疑いが強く、何らかの環境調整(支援学級とか加配とか)や投薬が必要なケース

  発達障害の可能性があるが、困ること無く楽しく過ごしているので特別今やることはないケース

  現時点でまず絶対に発達障害とはいえないケース

というふうに大きく分けられました。発達専門の外来受診の必要があるのは①のケースのみです。②や③の患者さんは、他児との比較、他人からの指摘やネット情報から不安になったとかで受診されるみたいです。うちは大学病院だったので開業医や学校や自治体などからの紹介が無ければ受診出来ないです。だから、少なくとも親が心配だってだけでは受診出来ないはずなのに。

 

私は③の絶対発達障害ではなく定型発達の範囲内であるときははっきりそう言いますし、②の発達障害の可能性があっても、簡単な対応指導のみして日々を楽しく過ごしてもらうことが一番であることを説明します。いろんな○○療法とかありますが、ほとんど眉唾だと思っているので、基本勧めていません。無料で見てくれる地域の療育を勧めるくらいです。

 

発達障害が可能性が高く、問題行動が出ている段階の初診は、出生歴、発達歴、家族歴などを含めて詳細に聴取し、本人の診察もじっくりするので軽く1時間以上かかることも多いですが、②、③のケースなら15分もかかりません。ヤフーの記事にも書かれてますが、心配になったら、いつも受診している小児科のかかりつけ医に相談されたら良いと思います。専門外来の受診が不要なケースを地域で振り分けられたら、本当に必要な患者さんが数ヶ月待ちになることはかなり減るのじゃないかと思います。

 

追記:15分もかからなくても数分では終われないことも多いので、かかりつけ医での相談も混雑している時間は避けましょう。土曜とか夜診はやめて、平日昼前とかで。

 

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今の私たちに何が出来るか(小4女児虐待死の事件をうけて)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

現在も看護師さん、事務さんとも募集中です!よろしくお願いします!

 

この小4女児虐待死事件が毎日のように報道されるのを見て、皆さんも心を痛めていると思います。私も例外ではなく、しばらくこのブログも休んでいたのですが自分の気持ちの整理もかねて少し書かせていただきます。

 

こんなひどい話があるのか、心愛ちゃんの人生は何だったのか、この子を救えない社会って何なの?、この国って何なの?。こういうとき、何が悪いのか、誰が悪いのかって考えて非難するのではなく、私はいつも今の自分に何が出来るのかを考えるようにしています。

 

本当に偶然ですが、先日医師会の先生向けに虐待に関する講演をする機会をいただいたのですが、そのときに示した図(以下に提示)があって、虐待をする親の予備軍として育児不安を抱えていることが多いというものでした。心愛、こんなに愛情に満ちた名前をつけたときの両親自身、まさか自らがこんなひどいことをするようになるとは思ってもみなかったでしょう。今回のケースはDVが主な要因だったのかもしれませんが、育児支援という形ででも、子どもが小さい頃からお母さんが密に相談できる存在があれば防げたのではないかと思います。そう、鍵は育児支援だと思っています。

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当院は今でもワクチンでの来院時に身体測定を組み込むなどして、育児相談に出来るだけ対応してはいますが、まだ足りないかもしれません。これまで以上に育児の不安や相談を吸い上げられるようにするにはどうすれば良いか考えたいと思っています。子にとっても親にとってもこんなにひどい悲劇が二度と繰り返されないように。

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