栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

熱性けいれんでもしっかり止めるべきだと思います

こんばんは。

本年4月16日に滋賀県栗東市に開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

ちょっと前に滋賀県小児科医会で講演をさせていただきました。開業医さんが多く来られるとのことで、一般小児科外来での小児神経疾患について話しました。といっても、頻度的に最も多い熱性けいれんの話で半分を費やしてしまいました。

 

講演後の質問や、聞いてくれた方の話から、熱性けいれんは良性の病気なので、「怖がらなくて良いもの、無理に止めなくても良いもの」という認識の先生が多いようでした。私ごとき若輩者の経験から話すのは恐縮なのですが、やはり熱性けいれんを甘く見過ぎると痛い目に合うと思っています。理由は、、、

 

①熱性けいれんに対する治療、予防のために過剰に検査や薬物を用いるべきでないという意見は、欧米では圧倒的です。欧米での熱性けいれんは日本の半分の頻度しかありません。さらに長時間止まらないけいれんから以降する急性脳症にしたって、日本に比べたらずっと少ないのです。そんな欧米の方針に乗っかるべきでしょうか?

②熱性けいれんに遺伝子が関与しているのは、人種間での頻度差や家族内集積性からも明らかです。いくつかの可能性のある原因遺伝子が見つかってますが、その中のいくつかは、ある種のてんかんを起こす遺伝子と共通しています。しかも、それはDravet症候群という横綱級の難治てんかんだったりします。やはり所謂てんかんと完全に一線を画したものではないと思われます。

③そもそも本当に熱性けいれんなのか?発熱に発作を誘発されたてんかんじゃないのか?これは熱性けいれんだから心配ないと言い切るのは、あくまでてんかんなど他の疾患では無い!と自信を持って診断出来てないといけません。

 

ガイドラインでは、投薬による熱性けいれん予防期間は1-2年となっていますが、私はてんかんと同じ3年を勧めています。さらに中止時期が冬場に重なるときは、感染症が減る春を待って中止にしています。

 

予防薬であるダイアップ坐薬を使うと、副作用の眠気により、脳症を疑う時に意識の評価が難しくなるという意見がありますが、そんなもんは脳波を録ればすぐに脳症かどうかはわかります。自分の不勉強(脳波解析)を棚に上げて、子どもをけいれんのリスクにさらさないで欲しいです。ちなみに滋賀医大関連病院で救急外来を担当しているような若手小児科医のほとんどは、休日だろうが深夜だろうが一人で脳波を記録して脳症かどうか判断出来るように教育していますから、滋賀県の方はご安心下さい。