栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

第6回ワクチン勉強会(肺炎球菌編)

こんばんは。

4月16日に滋賀県栗東市に開院予定の「栗東よしおか小児科」の吉岡誠一郎です。

 

今夜は肺炎球菌ワクチン。肺炎球菌は肺炎を起こすワクチンでそれを予防します、はい、おしまい。ではありません!肺炎球菌はもちろん肺炎を起こすし、それが重症化するのも怖いですが、こいつ髄膜炎を起こすのです。それが怖い。

 

髄膜ってのは脳をおおう膜です。そこに菌が付いて暴れるのが髄膜炎。ちなみに脳そのもので菌やウイルスが暴れると脳炎です。脳と近接した髄膜で菌が暴れると、脳もダメージを受けます。肝臓や肺などの他の組織と違って、基本、脳は一旦ダメージをうけると完全に戻ることはありません。だから多かれ少なかれ後遺症が残ることがほとんどです。また脳はもともと人間の身体で最も大事な臓器なので、血液脳関門(blood brain barrier)というバリアがあって、菌などの異物の侵入から守られてますが、赤ちゃんはその関門が十分でなくわりと簡単に髄膜炎になってしまいます。

 

ですから、ワクチンは2か月になったらなるべく早く打った方が良いです。このワクチンは赤ちゃんのときの重症化予防なので、大人になって感染するのを予防する目的ではありませんから(高齢者のはまた別)、早く打ち過ぎて免疫が消えることになっても問題はありません(とはいえ、そのへんにいる菌なので免疫は活性化され続けて消えることはない)。

 

あとこのワクチンですが、個々が打ち始める時期で、打っても良い本数(公費)が決まっています。通常2か月から全部で4回打ちます(4週ごとに1,2,3と打って、1歳になったらも4回目)、接種し始めが7か月過ぎたら3回(4週ごとに1,2と打たれて、1歳になったら3本目)、1歳過ぎたら2回(60日をあけて2回打つ)、2歳過ぎたら5歳まで1本だけです。なお、最後の1本とその前は60日あけないといけません。ややこしいでしょう、それは我々も同じです。だから、皆さん、2か月になったら忘れないように打ちはじめましょう。