栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

産院退院時や1ヶ月健診で軟膏5gチューブを1個だけ出してもらったら

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

生まれて間もなくから湿疹が出始めて、産院退院時や1ヶ月健診で非ステロイド系軟膏(スタデルムとか)や弱めのステロイドをごく少量(キンダベートなど5gチューブ1個とか)もらって、2ヶ月近くなるまで塗り続けてるけど治らないと受診される方をしばしば見かけます。

 

乳児湿疹(というかアトピー)は後々難治になる子は発症時期が1ヶ月未満など早いことが多く、両親のいずれかにアトピーがあると特に要注意です。難治化が予想されるアトピーは発症して出来るだけ早期に抑え込んでいきたいです。酷くなってからでも治療は出来ますが、コントロールするのに強い薬を長期間必要とするなど大変苦労します。食物アレルギーの合併も高頻度で見られます。

 

もし重症アトピーの初期だとすると、やはり初めから治りにくかったり、みるみる拡がったりします。数日塗れば完治しておしまいなんてことは残念ながらほとんどありません。湿疹の範囲にもよりますが、5gの軟膏なんて適正な量を塗り続けてたらとても1週間ももちませんし、数週間続けても余ってるなら、全然全く塗る量が足りていないです。

 

これは産院の先生が悪いんじゃありません、専門じゃないから仕方ないんです。専門外の処方は安全第一なので弱めの薬(無難な薬)を少しだけ出すというのが医師の間では常識です。私だってたまにお母さんに眠剤出して欲しいとか言われますけど、弱めのを短期間しか出せません。基本的に、とりあえず処方はするけど、すぐに治らなかったら小児科か皮膚科に行ってくれるものとして出してくれてると思ってください。

 

5gのキンダベートでも2〜3日塗ってすっかり治ってるならそれで良いですが、それ以上続けても良くならなかったり、塗れば治るけどすぐに再発するなら、同じ軟膏を塗り続けるのではなく、小児科を受診するようにして下さい。