栗東よしおか小児科の院長ブログ

滋賀県栗東市で小児科医院を開業しています。小児の発達、小児の病気、開業準備のことなど書いてます。

年末年始などの連休中に嘔吐下痢症になったとき(五苓散も買っておきましょう)

こんばんは。滋賀県栗東市の「栗東よしおか小児科」院長の吉岡誠一郎です。

 

ここ数日の外来状況を見てると、この年末年始(2023-2024)、この界隈は本当に休日診療所や救急外来はヤバいことになりそうです。実は私も1日休日診療所の当番があるんです(涙)。

 

先日は発熱した時について書いたんですけど、少しでもみなさんが何時間も待たないといけない連休中の受診に行かなくても良いように、今日は最近増えてきてる胃腸炎について書いておこうと思います。

 

現在最も流行っている胃腸炎は、ウイルス性の比較的軽症なものがほとんどです。嘔吐から始まって頻回に続くけど、半日くらいで嘔吐が治まるにつれて下痢が始まり、しばらく続くというものです。

 

嘔吐は止まったけど下痢が続くという段階で受診される方がいますが、これは緊急の受診は不要です。順調に治っていってるところです。1日に数回の下痢で脱水になることは通常ありません。子どもには原則下痢止めは使いませんし(ウイルスの排出を遅らせるから)、せいぜい整腸剤という飲んでも飲まなくても良い薬を出すくらいです。整腸剤なら市販もされてますし。便が白っぽくなってるのを心配して来られる方もいますが、それはウイルス感染でよくあるので放置で大丈夫です。下痢が何日も続くようなら連休明けにかかりつけで相談してください。

 

困るのは、便が出ずに嘔吐が続くときです。確かにこれが続くと脱水になっちゃいますけど、経口補水液(OS1とかアクアライトとか)をペットボトルのキャプ1杯ずつくらいからの少量から飲ませて増やしていけば、嘔吐せずに水分が摂れるようになることが多いです。昔(かれこれ20年前とか)はよく外来で点滴してましたけど、最近はしなくなりましたね。ただでさえ苦しんでる子を大人が数人で羽交い絞めにして針を刺す(1発で終わるとは限らない)という恐怖とストレスを与えて、子どもに外来点滴で入れられる水分量なんて、2~4時間かけてせいぜいコップ1~2杯(200~400ml)ほどです。それなら口から少しずつ摂った方がましなことはわかってもらえると思います。点滴をしないまでも、受診されればナウゼリンドンペリドン)っていう吐き止めの薬(坐薬)が出されることが多いですけど、正直たいして効きません。気休め程度です。

 

しばしば、嘔吐するくせに飲みたがる子がいて、それで飲んでは吐きを繰り返すことがあります。これは余計にしんどくなるので保護者が一度に飲むのをセーブするようにして下さい。この飲みたがるけど嘔吐するという(口渇を伴う)ケースは五苓散という漢方がよく効きます。当院では院内で五苓散坐薬を入れて帰ってもらうこともしてますけど、市販されているのは内服薬のみです。でも、内服でも飲めれば効きます。ナウゼリンなんかより絶対効きます。漢方って〇〇湯っていうのが多いのでお湯で溶かして飲むイメージですが、五苓散は氷水で飲んでください。っていうか、胃腸炎の状態の子は冷水の方が飲みやすいらしいです。内服後、1回だけ嘔吐することも多いようですが、それ以後すっきりして吐き気も無くなるようです。二日酔い後の吐気にも効くので、連休前に1箱買っておくと良いと思います。

 

いろいろ書きましたけど、救急受診が必要な場合もあります。顔色が悪くてぐったりしてるとかは当然として、高熱が続く、強い腹痛、1時間に頻回にあるなど激烈な下痢、血便を伴うなどあれば、そもそもウイルス性腸炎ではない緊急疾患(食中毒性の腸炎、腸重積、虫垂炎髄膜炎など)のことがあるので躊躇せず受診してください。なお、水分もとれてないし尿も少ないと言って、ニコニコバタバタしてる、ご機嫌な子を連れて受診される方がいますが、脱水症になっていて機嫌の良い子はまずいませんので大丈夫です。